じじぃの「歴史・思想_397_2050年 世界人口大減少・マルサス『人口論』」

world population from ( 2020 - 2100 )

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=qsOlTseHjZg

2055年には1億人割れ…日本の人口推移をグラフ化してみる(高齢社会白書)(最新)

2020/09/10 ガベージニュース
推計によれば日本の総人口は2055年には1億人を割り込み9744万人、その後もさらに減少を続け2065年には9000万人を切るとされている。
そしてそのうち3400万人近くが65歳以上の高齢者。
http://www.garbagenews.net/archives/1999775.html

『2050年 世界人口大減少』

ダリル・ブリッカー、ジョン・イビットソン/著、河合雅司/解説、倉田幸信/訳 文藝春秋 2020年発行

人口は爆発しない――マルサスとその後継者たちの誤り より

だが既に農業革命は起きていた

このマルサスの預言(長期的な人口増加と長期的な社会の繁栄は絶対両立しないという説)は暗く、残酷で、しかも間違っている。彼がこの理論をまとめていたちょうどその頃、世界人口は人類史上初めて10億人を突破し、その後100年で20億人になり、今では70億人を超えている。それなのに、現代に生きるほぼすべての人が、マルサス時代のイギリスの貧困層よりも健康で幸福で長生きしているではないか。
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1798年マルサスが『人口論』を出版したとき、イギリスではすでに農業革命から100年以上が過ぎていた。農業革命は、力を持つ地主や資本家などが共同耕地から小作農家を追放し、土地を囲む「エンクロージャー」から始まった。詩人たちはいまでもこの行為を略奪だと嘆くが、農業の担い手が自分で土地を支配できるようになったからこそ、イノベーションを起こして収穫と利益を最大化できたのである。品種改良の実験を重ねた結果、牛1頭から得られる枝肉の量は1710年の370ポンドから1795年には550ポンドに増えた。「かぶのタウンゼンド」と呼ばれたチャールズ・タウンゼント子爵は、かぶやクローバーなどの作物で実験を重ね、土壌の質を改善して休耕地の必要性をなくした。そのうえ、脱穀機や刈り取り機、鉄製のすき、ジェスロ・タルの種まき機など、いくつもの大きな発明もあった。マルサスが最初に『人口論』を書いたとき、彼は国勢調査の結果を知る由もなかったが(イギリスが最初に国勢調査を実施したのは1801年)、イングランドおよびウェールズの人口は1700年に550万人ほどおり、マルサスが『人口論』を書いた頃には900万人を超えていたと今では推定されている。その頃のイギリスは世界的な農業革命と産業革命の最先端におり、それにともなう人口爆発はこの先も永遠に続くかのように見えた。農業革命と産業革命が人口増加を支え続けると思われたからだ。

1972年、ローマクラブによる『成長の限界

スタンフォード大学生物学者ポール・エーリック(『人口爆弾』の著者)が、その前にはマルサスが、将来予測を間違えたからといって、その後もも繰り返し登場する終末論者たちはまったく自信を失わなかったらしい。エーリックの次に大ヒットした終末論は、1972年にローマクラブが出版した『成長の限界』(ダイヤモンド社、1972年)である。ローマクラブとは、まったく共通点のないさまざまなトレンドを結びつけて、地球全体の大きな流れを分析しようと当時新設されたシンクタンクだ。MIT(マサチューセッツ工科大学)が開発したコンピュータ・モデルを使った分析をもとに、ローマクラブは次のように結論した。
「世界人口、工業化、環境汚染、食糧生産、および資源消費が今の増加ペースのまま変わらないとすれば、今後100年以内のどこかで地球上の成長は限界に到達するだろう。もっとも可能性が高そうなのは、人口と工業生産能力の両方が突如として減少を始め、その流れを止められなくなるという結末である」
マルサスが指摘した幾何学的な人口増加と資源消費により、2010年代には一人当たり生産高の減少が起き、2020年代には飢餓による死亡率の上昇が始まり、2030年前後には世界人口が減り始め、現在のような文明社会はおおむね崩壊するだろう。

子づくりを勧める親族の影響力が低下

ここでスペインを例にとろう。
かつての巨大帝国は今や完全に人口増加の「第5ステージ」に入っている。女性一人当たりの出生率は1.3ときわめて低く、人口置換水準をはるかに下回る。平均寿命も82.5歳と非常に長く、世界で4番目だ(日本、アイスランド、スイスに次ぐ)。だが、長生きする人がこれほど多いスペインでも2012年から人口が減り始めた。地域によっては赤ちゃんがひとり生まれる間にふたりが死んでいく。今のところ人口減少はゆっくりしたペースで、2011年の人口4680万人から40万人が減ったに過ぎない。だが、減少ペースはこの先加速しそうだ。スペイン政府は今後10年で100万人、2080年までには560万人減ると推計する。人口減少の流れを反転させるか、少なくとも減少ペースを緩和したいと強く願うスペイン政府は、国内の人口動態の不均衡解決に向けた国家戦略を考える”セックスの権威(ツアー)”を任命したほどだ。
欧州では大半の国がスペインと似たような状況にあり、移民の受け入れを制限している国はとりわけ厳しい。欧州だけではない。日本は今後35年間で人口が25%減り、1億2700万人から9500万人になると予想される。やはりアジアでもっとも経済が成熟している韓国とシンガポールも減少率は似たような数値だ。