じじぃの「歴史・思想_390_地球に住めなくなる前に・ハビタブルゾーン・はやぶさ2」

Japan's Hayabusa-2 space probe brings rare asteroid samples to Earth | DW News

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=pac5ZZTjIl0

はやぶさ2」 実況ライブ (カプセル再突入・着陸実況)

はやぶさ2」地球帰還 ライブ配信・パプリックビューイング

2020年11月30日 宇宙科学研究所
●実況ライブ 記者会見 (カプセル回収後)
12月6日(日) 16:30 ~
(日) https://youtu.be/G5y0AydymyQ
(英) https://youtu.be/9fQGsBKnH-U
http://www.isas.jaxa.jp/outreach/announcements/002507.html

『私たちが、地球に住めなくなる前に 宇宙物理学者から見た人類の未来』

マーティン・リース/著、塩原通緒/訳 作品社 2019年発行

宇宙から見た人類 より

太陽系の先で

地球から最も近い星にも少なくとも1個は惑星がある。わずか4光年のプロキシマ・ケンタウリは、いわゆる赤色矮星(M型矮星)で、太陽よりもずっと暗い。2017年には、べりぎーの天文学者ミカエル・ギヨンの率いるチームが、また別の赤色矮星のまわりに太陽系のミニチュア版のような惑星系を発見した。計7個の惑星が、地球の1.5日から18.8日を「1年」として、その赤色矮星のまわりを回っていた。外側の3つの惑星はハビタブルゾーン(生命居住可能領域)にある。そこに住めたらさぞや壮観だろう。どれかひとつの惑星の地表に立てば、あとの2つが私たちの月ぐらいの大きさで、たいへんな速さで弧をを描きながら空を渡っていくのが見えるのだから。ただし、そこはまったく地球らしくない。おそらく潮汐ロックの現象[潮汐力の影響で自転と公転の周期が同じになること]により、惑星は主星にいつも同じ顔を向けているだろう――一方の半球は永久に光を受けていて、もう一方の半球はずっと暗いままなのだ(万が一そこに知的生命がいた場合、そこでは一種の「分離」が普通になっているかもしれない。天文学者は片方の半球に隔離され、あとの全員はもうは他方の半球に住んでいる!)。しかし通常、赤色矮星は強烈な磁気フレアを起こすため、その影響でこれらの惑星の大気は吹き飛ばされている可能性が高い。だとすると生命にとってはあまり恵まれた環境ではないだろう。
これまでにわかっている太陽系外惑星の存在はほぼすべて、その主星運動や明るさに及ぼされる効果を検出することによって間接的に推論されたものである。これらの惑星を直接観測できれば何よりなのだが、それはなかなか難しい。どれほど難しいかをわかってもらうため、どこかに宇宙人がいると想像してみてほしい。その宇宙人の天文学者は高性能の望遠鏡を持っていて、地球を(たとえば)30光年先から眺めている。まあ近傍の星ぐらいの距離である。宇宙人からすると、私たちの惑星はカール・セーガンの言う「青白い小さな点」にしか見えないだろう。とても近くにある主星(太陽)のほうが何十億桁も明るいわけだから、サーチライトの隣にホテルがいるようなものだ。宇宙人のほうに向いているのが太平洋なのかユーラシア大陸なのかによって、その青い影の見え方はわずかに異なる。宇宙人の天文学者は、地球での1日の長さ、季節、陸と海の存在、気候について推論できるだろう。かすかな光を分析することで、地球に草木の生えた地面と酸素を含んだ天気があることも推論できるだろう。
今日では、世界最大級の地上望遠鏡が国際共同事業によって建設されている。いくつかはハワイのマウナケア山頂に集積し、またいくつかはチリのアンデス高地の晴れて乾燥した空の下に散らばっている。
    ・
これらの惑星のはたしていくつに生命体の住んでいる可能性があるのだろうか。もしも存在していたなら、それは火星にひょっとして見つかるかもしれない生命体よりも、はるかに興味深く、はるかに風変わりなものかもしれない。ともすると知的生命と呼べるものだってありうるかもしれない。だが、その公算については皆目わからない。私たちはまだ、生命の起源――ある化学的「混合物」から、代謝と繁殖をする存在が出現すること――が銀河系全体でたった1回しか起こらなかったような、非常に珍しい偶然である可能性を掃除できていないのだ。逆に、ある「適切」な環境さえ整っていれば、この決定的な移行はほぼ不可避だったという可能性もある。今のところは、まだ何もわからない。地球上の生命のDNAとRNAの化学的構造が唯一ありえるものなのか、それとも単に、ほかのところでも実現できる多くの選択肢の中のひとつの化学的基部にすぎないのかもわからない。

さらに根本的なことを言えば、液体の水が本当に必須なのかどうかもわからない。タイタンの冷たいメタンの湖の中でも生命を生じさせられるような化学的経路があったなら、「居住可能(ハビタブル)な惑星」の定義は今よりずっと広くなるだろう。