じじぃの「『震える舌』・破傷風の恐怖・水害発生時の危険!夕刊フジ」

東日本大震災直後のボランティアの人々

夕刊フジ

2020年9月8日発行

東日本大震災から9年半 忘れない、立ち止まらない】人生を破壊する「破傷風」の恐怖 より

カーテンが翻り、部屋に明るい光が差し込む-そんな平和そのものの光景が、見る者の背筋を凍らせる映画をほかに知らない。昭和55(1980)年に公開された「震える舌」(原作・三木卓、監督・野村芳太郎)の一場面だ。
実話に基づき、破傷風に侵された幼女の壮絶な戦いをつづったこの映画は、ややホラーチックな面は強いが、感染症の恐ろしさを余さず伝えている。
映画では、痙攣(けいれん)によって骨が折れんばかりに背中が弓なりとなり、舌をかみちぎるほど歯を食いしばるため、すべての歯を抜かざるを得ないなど、激烈な発作の様子が描かれる。わずかな光刺激や人の笑い声まで筋肉発作の引き金になり、カーテンの隙間から漏れる日光さえも命取りとなりかねない-重症化すれば人生を破壊する、それが破傷風という病だ。
熊本県の豪雨被害を受けて今年7月、地元の小学生たちがボランティアで片づけをする様子が新聞などで報じられた。
その一見“尊く見えてしまう”写真を目にした瞬間、私は恐怖のあまり静止した。児童が半袖・半ズボン姿で泥の中に手足を突っ込んでいたからだ。
震える舌」は、泥水で遊んでいた少女が、落ちていた釘(くぎ)で指をケガするところから始まる。壊れた家屋の釘、流入した泥の中には、必ず破傷風菌がいるといっていい。
乳幼児期に混合ワクチンを接種済みの子もいるだろうが、怖いのは破傷風菌だけではない。大雨、洪水後の汚泥には糞尿や多くの有害物質が含まれ、その中で作業にあたることは、大人でも危険が伴う。
加えて、この新型コロナ渦の中だ。免疫力が弱く、まだ自分では判断も拒絶もできない児童・生徒に無防備な格好で奉仕作業させることを、決して“美談”にしてはならない。
台風シーズンを迎え、水害発生の危険が各地で高まっている。だからこそ今、各メディアに提案したい。
汚泥中の有害物質や破傷風菌の危険性を伝えたうえで、紙面に大きく「こうした観点から、当社では、装備の伴わない大人はもちろん、児童・生徒が軽装で作業に従事する場合、他への影響を鑑み、取材はいたしません」と宣言するぐらいのことをしてもらえないだろうか。

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じじぃの日記。
この頃本屋に行くと、店頭に「感染症」関係の本が並ぶようになった。
本をぱらぱらとめくると解説に、三木卓著『震える舌』の本の紹介記事があった。
  平和な家庭でのいつもの風景の中に忍び込む、ある予兆。それは幼い娘の、いつもと違う行動だった。やがて、その予感は、激しい発作として表れる。
9月8日の『夕刊フジ』に「人生を破壊する『破傷風』の恐怖」が載っていた。
錆びた釘で指を刺した経験があるが、この記事から「破傷風」の恐ろしさが伝わってくる。
まだ9月も半ば、これからも台風がやってくるだろう。
水害が発生し、泥水の中で後片付けなどをする際は気をつけた方がいいようだ。