じじぃの「擬傷・コチドリが見せる奇妙な行動!生き物の死にざま」

Killdeer faking injury

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=3UCKnC1L_Rc

Tasmanian Devil

『生き物の死にざま――はかない命の物語』

稲垣栄洋/著 草思社 2020年発行

コチドリ――子を守るための「擬傷」と遺伝子の謎 より

地面に立つコチドリが翼をだらりと下げ、翼を引きずるようなしぐさをしている。
近づけば、翼をだらりと下げたまま、なんとか逃れようとする。
追いかければ、コチドリもこちらのようすをうかがいながら、少しずつ少しずつ逃げていく。
ところが、しばらく翼を引きずりながら移動していたかと思うと、いきなり飛び立ってしまった。
じつは、この鳥はケガをしていたわけではない。ケガをしているふりをしていたのである。これは「擬傷」と呼ばれるコチドリの仲間に見られる行動である。
コチドリは、スズメより一回り大きな体の鳥で、砂浜や河原などに生息している。砂浜や河原は大きな木がなく、木の上のような安全なところに巣を作ることができないので、砂地の中に巣を作らざるをえない。そのため、巣とはいっても、砂地にくぼみを作っただけの粗末なものだ。大きな木も、岩もなく、見通しがよく隠れることのできない環境でヒナを育てなければならないのである。
親鳥は敵が巣に接近すると、警戒の声を上げる。すると、ヒナはじっと息を潜めて動かなくなる。ヒナにできることは、ただただじっとして、敵に見つからないようにすることだけなのだ。
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コチドリが見せる奇妙な行動は、しばしば学者たちを悩ませてきた。
コチドリが翼を引きずるようなしぐさをするのは、傷ついたふりをしているのではなく、パニックになって飛べなくなっているだけだという解釈もされてきた。しかし、コマドリの行動を見ると、間違いなく、子どもを救おうとしているように見える。
現在では、コトドリの擬傷は「利己的な行動である」と説明される。
遺伝学者のリチャード・ドーキンスは「利己的な遺伝子」という考え方を提案し、生物は個体が遺伝子よりも優先するのではなく、遺伝子の方が個体よりも優先すると説いた。すべての生物の体は遺伝子の乗り物にすぎず、遺伝子を増やすために「個体」という生物の体は利用されている、としたのである。
生命の本質は遺伝子にある。そう考えると、利他的と思えた生物の行動の多くは説明ができる。
自らの遺伝子は子にコピーをしていくことができるから、自らの本体を頑(かたく)なに守らなくても、たくさんのコピーを増やしていけばよい。
コチドリの親鳥が子どもを守ることも、次世代にコピーした遺伝子を残すためと考えれば、利己的な行動として説明できるのだ。

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どうでもいい、じじぃの日記。
コチドリが見せる奇妙な行動は、しばしば学者たちを悩ませてきた」
イギリスの動物行動学者リチャード・ドーキンスの著書『利己的な遺伝子』によれば、すべての生物の体は遺伝子の乗り物にすぎないのだそうだ。
世界一醜いと言われている「タスマニアンデビル」。
しかし、タスマニアンデビルの子どもはやたらと、可愛い。
可愛いというのもドーキンスによれば、「利己的な遺伝子」になせる親の本能なのだそうだ。
今のところ、「本能」も「愛」も利己的な遺伝子によって説明されるらしい。