じじぃの「ポリオウイルス・1961年にソ連とカナダから生ワクチンを輸入!池上彰のニュース検定」

Franklin D. Roosevelt

アメリカ大統領とその持病~|健康診断を活かす

草加商工会議所
病気と闘いながら大統領としての激務を続けることの大変さは、筆舌に尽くしがたいものがあったと思います。
そこで今回は、著名なアメリカ大統領を苦しめた病気について、現在明らかになっているエピソードを交えながら、いくつかの例をお話しいたしましょう。
まずは、第32代のフランクリン・ルーズベルト大統領です。
第二次世界大戦中のアメリカを主導し、連合軍に勝利をもたらした中心人物として有名なルーズベルト大統領は、39歳の時にウイルス感染が原因で起こるポリオ(急性灰白髄炎:口から感染したポリオウイルスが脊髄の中に入り込んで炎症を起こし、主として手足に麻痺が残ってしまう病気)に罹患したため下半身麻痺となり、車椅子で執務を行っていました。
ただし最近の研究によると実はポリオではなく、同じくウイルス感染が契機となって起こるギラン・バレー症候群(多発性の神経炎により筋肉が麻痺する病気)であったという可能性も示唆されています。
http://www.sokacity.or.jp/kenkou/k_number/kenkou170210.html

池上彰のニュース検定

2020年5月14日 テレビ朝日 【グッド!モーニング】
きょうのキーワード 「記者と大臣」。

問題 「1961年、日本がポリオワクチンを輸入した国は?」

アメリカとイギリス
ソ連とカナダ
・ドイツとフランス
正解 ソ連とカナダ
池上彰さん解説】
 「今感染症といえば新型コロナウイルスですが、以前はポリオという感染症が大流行しました。ポリオは小児麻痺ともいわれる感染症。ポリオウイルスが神経を冒し、腕や足が麻痺することもある病気です。1960年当時、患者は5000人を超え300人以上が亡くなりました。ポリオに感染した患者の多くは子供でした。この問題を連日報道したのが後に国会議員となるNHK記者・上田哲でした。上田は生ワクチンの緊急輸入を主張。テレビでキャンペーンを展開しました。こうした運動もあって幼い子供を持つ母親らは連日 厚生省へ生ワクチン輸入を陳情しました。しかし生ワクチンは毒性を弱くしたウイルスそのもの。様々な副作用の危険性がありました。当時の厚生大臣古井喜実は『すべての責任は私がとる』と決断しました。その結果、日本政府は1961年にソ連とカナダから生ワクチンを輸入しました。1ヵ月で小学生以下の子供に一斉投与したのです。この生ワクチンの投与で患者は一気に減りました。そして1980年以降 日本でポリオ患者は出ていません。ポリオは記者の情熱と政治家の決断によって根絶できたのです」

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『免疫力を強くする』

宮坂昌之/著 ブルーバックス 2019年発行

百日咳・ジフテリア破傷風・ポリオ より

ポリオ

小児マヒともよばれ、RNAウイルスのポリオウイルスによって起こる病気です。5歳未満の小児がかかりやすく、大人にも感染します。ただし、ヒトにのみ感染するので、理屈からすれば、この病気はヒトへのワクチン接種率を上げることにより、撲滅可能なはずです。
ポリオウイルスの感染経路は、主に経口感染ですが、感染初期では咳やくしゃみによる飛沫感染もあります。ウイルスが口から入ると、咳や腸管の粘膜で増え、血液を介して中枢神経系に到達します。脊髄運動神経に感染して、ニューロンを破壊し、弛緩性マヒ(だらりとしたマヒ)を引き起こすことがあります。感染者200人につき1人に不可逆性のマヒが起こります。一方、感染しても、大部分(90~95%)の人には症状が出ません(不顕性感染)。しかし、このような状態でも、感染者の糞便にはウイルスが放出されるので、人から人へと感染が広がる感染源となります。
日本では1960年に大流行があり、全国で約6500名の患者が出ました。その翌年、ポリオ生ワクチンが緊急輸入されて学童への経口投与が一斉に行われるようになり、これが効果を示してその後は患者が激減しました。