じじぃの「科学・芸術_952_世界の陰謀論・消えた時間」

Bermuda Triangle: what happened to Flight 19? - BBC

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=FfsQBeXWktU

The Bermuda Triangle. Still taken from show

『ビジュアルストーリー 世界の陰謀論

マイケル・ロビンソン/著、安納令奈/訳 ナショナル・ジオグラフィック 2019年発行

消えた時間

時間には2つの顔がある。まず、計測できる時間。もう1つは、数量化も確かめることもできない時間だ。前者の時間を計るのはいたって簡単。時計やカレンダーなど、人が作ったツールを使えばいい。となると、「ファントム時間仮説」が示すように、時間の間隔をコントロールすることができてしまう。時間のもう1つの顔は、光の速さで移動するときに、時間は遅く流れるというもので、アインシュタイン特殊相対性理論によって導かれた。史実を疑う一部の人によれば、バミューダ・トライアングルは、四次元を越えて移動できる場所らしい。

ファントム時間仮説

ドイツの作家であり歴史修正論者であるヘリベルト・イリダ(1947年~)は、1991年にファントム時間仮説を発表した。この説によると、今の私たちが生きている時代は、21世紀ではなく、18世紀なのだという。1582年、グレゴリウス13世(1502~1585年)がユリウス歴からグレゴリオ暦に切り替えたことについて調べていたときに、イリグはこれに気づいたらしい。ユリウス暦は、ユリウス・カエサルが紀元前45年に制定した太陽暦である。

バミューダ・トライアングル

バミューダ・トライアングルとは、大西洋に浮かぶ三角形の大きな海域で、その面積は約130万平方キロ。フロリダ半島沖南東とバミューダ諸島、それにプエルトリコを結ぶ一帯に広がっている。ここは航海が危険な海域として、昔から船乗りたちに恐れられていた。ところが20世紀になると、謎めいた場所として話題になる。この海域を通る船や飛行機が行方不明になり、しかも、あとかたもなく消えてしまうからだ。科学的調査の多くは、結論として、異常に強い風と潮流をその原因に挙げている。その一方で、まったく違う結論を導き出す説もあとを絶たない。
おそらく、そのなかでひときわ有名なのが、宇宙人がこの三角地帯を利用して、人間を誘拐・拉致している、という説だ。この説は、ベンジャー雷撃機の編隊「フライト19」が1946年12月にミステリアスな消え方をした事件を基にしている。編隊は、途中までは通常の訓練飛行をしていた。ところが、操縦士が取り乱した声で無線連絡をしてきた。ナビゲーション装置が機能せず、方向を見失ったというのだ。以降、その編隊からの通信は途絶えあとには何も残らなかった。この海域では過去に説明のつかない失踪が数え切れないほど起きている、という1950年の報告を皮切りに、その後も報告が続々と寄せられている。1964年、ここは魔の三角地帯だという伝説が本格的に支持されるようになると、作家のヴィンセント・ガディスはこう推理した。この編隊と乗員は、人智を越えた力に遭遇した。それはもしかしたら、宇宙人による被害かもしれない、と言い出したのだ。
また、この海域に1万年前に隕石が落下し、隕石の磁力がいまだにナビゲーション機器を狂わせている、という説を唱えたものがいた。また別の説では、失われたアトランティスの都市がこの三角地帯の海底に眠っており、巨大なピラミッド型のクリスタルが異常な潮流と風を発生させる何らかのエネルギーを放出している、という。おそらくほかのだれよりも奇想天外な説は、この三角地帯ではタイムワープ(時間歪曲)が起きやすく、四次元の時間に移動できるという説だ。