じじぃの「人の生きざま_794_郭・台銘(台湾・鴻海精密工業の創業者)」

台湾総統選挙 与党・国民党が公認候補者を変更(15/10/18)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=ErWBtmpOV-8

鴻海精密工業の創業者、郭台銘氏

台湾・総統選 「無所属」有力2氏が出馬見送り

2019.9.17 産経ニュース
台湾の来年1月の総統選で、無所属での立候補が有力視されていた鴻海(ホンハイ)精密工業の創業者、郭台銘(かく・たいめい)氏(68)と柯文哲(か・ぶんてつ)台北市長(60)の2人が17日の届け出期限を前に、相次いで出馬見送りを表明した。
両氏は今後に含みを残したものの、再選を目指す民主進歩党蔡英文総統(63)と野党、中国国民党の韓国瑜(かん・こくゆ)高雄市長(62)の対決を軸とする構図に逆戻りした形だ。
https://www.sankei.com/world/news/190917/wor1909170030-n1.html

『世界から追い出され壊れ始めた中国』

宮崎正弘/著 徳間書店 2019年発行

モラルが希薄な実業家が台湾総統へ挑戦 より

道徳なき人物の典型例が飛び出した。
「中国の代理人」=郭台銘が台湾総統選挙へ立候補を表明した。北京の指令を受けての行為なのか、個人的野心を果たそうとしているのか不可解である。
シャープを買収したことで日本でも突如有名になった郭台銘は、外省人2世で、親は山西省から移住した。アップルなどにスマホ部品を納入する鴻海精密工業フォックスコン)は最盛期、中国全土に100万人もの従業員を抱えた。こうなると台湾企業というより鴻海精密工業は中国の大企業である。胡錦濤時代から中華思想を鼓舞し、習近平とも2回個別に会見している。台湾民衆は、彼を阿漕な経営者と見ている。
台湾の国会を占拠した民主主義運動(ひまわり学生運動)では「民主主義など糞の役にも立たない」と言い放ち、民主活動家からは蛇蝎のように嫌われた。
映画にもなったが、深圳の鴻海精密の工場では過酷な労働条件に自殺が相次ぎ、工場には飛び降り防止の金網が張られた。悪名が中国でも轟いたが、郭台銘はまったく怯まず、従業員を酷使した。
「道徳のない経済は犯罪である」と言った二宮尊徳箴言を思い出した。
もともと彼はプラスチック成形の小さな町工場から企業し、”台湾の松下幸之助”といわれた王永慶を深く尊敬して、早朝から深夜まで猛烈に働いた。「フォーブス」の富豪ランキング2018では、世界78位となった。スマホ不況に陥ると、主力の河南省鄭州工場で5万人を平然と馘首し、同時にロボット化を進めて、近く50万人のレイオフを準備している。各地の工場では深刻な労働争議が続いている。
中国での評判も共産党上層部は別として、庶民の間の評判は芳しくない。トランプ大統領と会ってウィスコンシン州には巨大投資をして液晶パネル工場を建設すると約束したが、先行きが暗いとなるや計画の大規模な縮小、研究センターに留めるなどとした。トランプ大統領が直接、郭台銘に電話をかけて見直しを要請すると、郭台銘は記者会見をやり直すなどジグザグぶりを示した。この舞台裏では孫正義、アリババの馬雲が密接につながっていた。
台湾への愛国心は希薄で、メンタリティーは中国大陸的だ。大胆不敵な決断力と電光石火の行動力、そして巨額の借金を気にしない直進型、いや暴走型経営で知られる。
この暴れん坊が次期台湾総統選挙に国民党から立候補すると言い出したのだから、国際ニュースになる。国民党は着々と巻き返し作戦を展開しており、民進党の牙城といわれた高雄市長選選挙で番狂わせ、韓国諭が当選した。国民党の時期総裁候補は朱立倫が本名と見られていたが、韓国諭(高雄市長)のほうが世論の人気が高く、また無所属の何哲文(台北市長)が立候補するとなると乱戦になる。