じじぃの「科学・芸術_851_米国の企業・グーグル(検索)」

AlphaGoとの2局目を終え脱力する柯潔

「AlphaGo」という“神”の引退と、人類最強の19歳が見せた涙の意味

人類最強の棋士・柯潔(カ・ケツ)と囲碁AI「AlphaGo」の三番勝負は、AIの3連勝で幕を閉じた。
完敗が決まった最終戦、19歳の柯はこれまでにない苦悶の表情を浮かべた。そして試合後の記者会見で、AIを開発するDeepMindはAlphaGoが囲碁を「引退」すると発表した。「囲碁の神」とまで言われたAlphaGoは、棋士そして人類に何をもたらすのか。現地からのレポート。
https://wired.jp/2017/05/28/future-of-go-summit-day5/

『世界の覇権企業 最新地図』

現代ビジネス研究班/編 KAWADE夢文庫 2019年発行

グーグル(Google、アルファベット Alphabet) 最強の検索会社が、半導体開発に進出した事情 より

最強の検索会社で知られるグーグルは、現在、持ち株会社の1員である。2015年、グーグルはグループの持ち株会社「アルファベット」を立ち上げ、現在はアルファベットの名でも知られる。
グーグルは、もともと独自の検索エンジンで起業している。グーグルには高い理想があった。「世界じゅうの情報を整理し、あまねく情報を提供する」ことこそ、グーグルは自らの社会的使命と考えた。
数ある検索エンジンのなかで、グーグルの検索エンジンの能力は高く、多くのユーザーがグーグルに頼るようになっていったから、グーグルは一大広告塔になり、多くの広告収入が集まるようになった。
グーグルは、卓越したAI系企業である。近年、グーグルの開発するAIの能力の高さを世界に思い知らせたのは、「アルファ碁」であろう。2017年5月、中国・浙江省、サイバー先進都市として知られる鳥鎮で、囲碁の対局があった。かたや中国ナンバーワンの囲碁棋士であり、かたやグーグル傘下のディープマインド社の開発したAI「アルファ碁」である。
中国政府は自国のトップ棋士が小癪(こしゃく)なAIを打ち負かしてくれると思っていたようだ。だが、「アルファ碁」は3番勝負にすべて勝利、中国のトップ棋士を泣かせ、グーグルのAI開発の進化を印象づけた。
グーグルのAI開発の進化は、このところの翻訳機能向上が物語っている。グーグルは2006年にネットでの翻訳サービスをはじめたが、初期のころの信頼性はきわめて低いものであった。だが、2017年になると、翻訳能力は飛躍的に向上、英文は読解できる和文に変換できるようになっている。
グーグルのAI開発を進化させたのは、じつは半導体である。グーグルはひところまで半導体開発とは無縁であったが、2010年代には着手していた。グーグルは独自に、AI用の半導体TPU(Tensor Processing Unit)を開発した。それも、きわめて短期間であったといわれる。
TPUの開発により、グーグルの追求している「ディープ・ラーニング(深層学習、コンピュータが自ら学習して、より正確な判断をとれるようになる技術)」の技術が大きく高められたという。これを活かし、グーグルは翻訳機能を著しく向上させたのである。「アルファ碁」にもTPUが使われているから、グーグルの開発した半導体の性能がいかにハイレベルかわかろうというものだ。
こうしてグーグルが半導体企業にもなっていったということは、グーグルの能力がいっそう高まり、支配領域がいっそう広がりことを意味している。すでに、グーグルは検索以外に多角化を進めている。投稿動画サイト「ユーチューブ」を買収、運営もしているし、スマートフォン向けのOS「アンドロイド」も提供している。だが、グーグルの野望はこの程度ではなく、より大きい。
グーグルは、自動車分野に進出を狙っているが、ほかにも、グーグルは医療の世界、電子カルテ事業にも参入しようとしている。とくに狙いをつけているのは、日本である。グーグルの日本における電子カルテ市場参入の突破口となるのは、広島のエムネスという会社である。
エムネスは遠隔画像診断をサポートする会社であり、グーグルのクラウドプラットフォームを利用している。そこから、グーグルはエムネスをパートナーに、日本の医療ビジネスに参入しようとしているからだ。
グーグルが独自に半導体を開発したのも、こうした新たなるジャンルへの浸透のためだろう
グーグルもまた、覇権会社として強力な地位を得ようとしているのだ。