じじぃの「科学・芸術_841_仮想水・日本の食材」

014-206:暮らしの中の水

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=ddy7IjbA6ys

世界一の水輸入国は日本だった…!

●小麦1トンの生産に2000トンの水が必要
1990年代、ロンドン大学名誉教授のアンソニー・アラン氏が小麦1トンを生産するためには約1000トンもの水が必要なので、水不足に苦しむ中東の国々にとって穀物の輸入は、その分国内の水資源を使わずに済むという視点から、水を輸入しているようなものだ、として、これを「バーチャル・ウォーター貿易」と呼んだ。
http://www.buaiso.net/business/eco/1132/

仮想水

ウィキペディアWikipedia) より
仮想水(virtual water)とは、農産物・畜産物の生産に要した水の量を、農産物・畜産物の輸出入に伴って売買されていると捉えたものである(工業製品についても論じられるが、少量である)。ヴァーチャル・ウォーターともいう。
世界的に水不足が深刻な問題となる中で、潜在的な問題をはらんでいるものとして仮想水の移動の不均衡が指摘されるようになってきた。
畜産物はとりわけ、使用する飼料により仮想水の量が大きく変わる。穀物飼料を用いる場合は、非常に多くなる。牛肉は、ウシの成育期間が長いこと、飼料に穀物を多く使うことから、1kgあたり仮想水が多い。
牛丼1杯に水が風呂桶10杯分の2トンほど必要になると形容される。あるいは、安価なジーンズを1本作るのに最大1万1000リットルの水が使われ、1ドル未満のハンバーガーに2400リットル以上の水が必要だというイギリスの非営利団体ウオーターワイズによる試算もある。

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『日本の「水」がなくなる日―誰も知らなかった水利権の謎』

橋本淳司/著 産業編集センター 2018年発行

外国の水でつくられる日本の食材 より

天ぷらうどんの材料のうち、国内で100%まかなえるものがどのくらいあるのか。まず、うどんはどうだろう。日本人は麺が大好き。関西うどん、きしめん、素麺、ほうとう、うーめん、讃岐うどん伊勢うどんなど、数えあげたらきりがない。でも原料の小麦は輸入されているものも多く、100%国内産というわけではない。オーストリアで干ばつが起きてさぬきうどんが原料不足になったこともあった。
エビ天はどうか。日本人のエビの年間消費量は、世界の漁獲高の1/4を占める。日本は、ベトナム、フィリピン、タイ、インドネシア、マレーシアなどからエビを買っている。こうした国では海岸のマングローブ林を伐採し、小さな池をつくって、エビの養殖を行なう。たくさんの赤ちゃんエビを小さな池に放流すると病気が広がるので、それを防ぐためにクスリを散布する。エサの食べ残しやエビの糞でも水が汚れる。その結果、小さな池は5年ほどで荒れ地になり、エビの養殖を続けるために、別のマングローブ林が伐採される。考えようによっては、日本人がエビを食べるたびに、「生命のゆりかご」といわれるマングローブ林が消えていることになる。
つゆに使われる醤油の原料である大豆もほとんどが輸入。
目の前の天ぷらうどんの材料のうち、日本国内で100%まかなえるものは何かというと水。水しか自給できていない。日本は食料を海外から輸入している。小麦、大豆、トウモロコシなどの穀物を中心に、野菜、肉など、食卓に並ぶあらゆるものを外国から買っている。こうしたものをつくるのにつかわれた水は外国の水なのだ。