じじぃの「科学・芸術_817_世界の文書・世界最初のツイート」

Oldest Tweet In The World.

『図説 世界を変えた100の文書(ドキュメント):易経からウィキリークスまで』

スコット・クリスチャンソン/著、松田和也/訳 創元社 2018年発行

世界最初のツイート (2006年) より

若くてシャイなとある起業家が、インスタント・メッセージング・システムを思いついた。それを使えば誰もが、携帯電話で世界中に短いテキスト・メッセージを送信できるのだ。それから彼は、最初の「ツイート」を送った――それが彼を億万長者にするとは、夢にも思っていなかった。

異常なまでの成功を成し遂げたソーシャル・ネットワーキング・サービスであるFacebookが世に出てからちょうど2年後の2006年初頭、サンフランシスコ在住の30歳のデジタル時代の革新者が、全く無料のソーシャル・ネットワーキングマイクロブログのシステムを思いついた。ジャック・ドーシーと仲間たち(イヴァン・ウィリアムズ、ビズ・ストーン、ノア・グラス)は経済的な後援を得てそのプロジェクトの開発に着手した。彼らはそれを「ツイッター」と呼んだ。
ドーシーがこの名前を特に気にいったのは、それがちょうど鳥の囀りのような「取るに足らない情報の短い発露」を意味しているからであり、ツイッターは登録ユーザーが「ツイート」と呼ばれる140文字までの短いメッセージの発露を送受信できるオンラインのソーシャル・ネットワーキング・サービスとして構築されていた。ツイートはウェブサイトのインターフェイスを通じて投稿され、非登録ユーザはそれを読むことはできるが、投稿はできない。
2006年3月21日午後9時50分、ドーシーは最初のツイートを送信した。曰く、「just setting up my twttr」。そして4ヵ月後にこのサイトは立ち上げられた。ツイッターは瞬く間に人気を博し、2012年には1億人以上のユーザを獲得している。2014年7月にはユーザ数は5億人にまで拡大し、その内の2臆7100万人がアクティブ・ユーザとされている。その広告収入によりドーシーはたちまち億万長者になった。
ドーシーの当初の予想を超えて、一部のツイートは取るに足らないどころではない有益なものとなった。何百万というスポーツファンは、ツイッターは、ツイッターを用いてスポーツ・コンテンツやコンサート等のソーシャル・イベントに関する即時ニュースを得た。モルドヴァで抗議者たちがそれを用い、2009年「ツイッター革命」と名付けられて以後は、このソーシャル・ネットワーキング・サービスは政府活動家にとって死活的なツールとなった。ツイートを初めとするソーシャル・メディアはニュース速報の効果的なソースとして認められるようになった。自然災害やテロ攻撃の際には特に有用だった。
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だがツイッターやその他のソーシャルメディアが批判に曝されないわけではない。例えばマルコム・グラッドウェルはツイッターを「会ったこともない人間をフォローする(あるいはフォローされる)手段」と呼び、それが強い動機を生み出すことがありうるのかと問うている。また、僅かに140字に切り詰められた見解の単純過ぎるメンタリティを嘲笑する者もいる。