じじぃの「科学・芸術_778_現代中国・火薬庫の新疆ウイグル」

The Uyghur Muqam of Xinjiang

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=5-KM037IHiY

報道1930

2019年11月28日 BS-TBS
【キャスター】高畑百合子、松原耕二 【コメンテーター】堤伸輔(雑誌編集者) 【ゲスト】藤崎一郎(元駐米大使)、木村太郎(ジャーナリスト)、津上俊哉(日本国際問題研究所・客員研究員)

米中”人権”でも対立 香港は14分で壊滅? なぜ? 中国人民解放軍の特殊部隊が。ウイグル”弾圧”文書 習近平政権内部から流出か。

●“ウイグル弾圧の文書” 記者の団体が公開
ウイグル族の収容施設は、500ヵ所に100万人超のウイグル族を収容。
ウイグル語を北京語に矯正したり、食事、トイレ、入浴も24時間監視されていて、思想を改めなければ出所できない。
中国・耿爽報道局長は、「西側メディアはデマを楽しんでいる。テロ対策であり民族や宗教、人権侵害は存在しない」と発言。
米国・ポンペオ国務長官は、「非常に深刻な人権侵害。でたらめではなく意図的で継続中のもの」と発言。
津上俊哉、「捕まっている人たちは、ウイグル社会の知的なリーダーの人たち。大学教授やインテリとかそういう人たちを集中的に捕まえて放り込んでいる。ウイグルの文化みたいなものを抹消しようとしているように見える。自分の頭で考えられる人たちが一番怖いと思っているんだと思う。早く大変まずいことになっていることに気が付いてもらいたい」
米国で「香港人権民主主義法」が成立したことについて。
木村太郎、「ユダヤ人から見ればウイグル弾圧はホロコーストと同じに見える。米国にはユダヤ人が多い。米国は今後きびしく中国の人権弾圧にあたるだろう」
https://www.bs-tbs.co.jp/houdou1930/

【主張】ウイグル人収容所 中国は過酷な弾圧やめよ

2019.2.14 産経ニュース
トルコ政府が中国政府に対し、トルコ系少数民族ウイグル人の人権を尊重し、中国内のウイグル人収容所を閉鎖するよう声明を出した。
声明は、中国政府が新疆(しんきょう)ウイグル自治区で100万人以上のウイグル人を恣意(しい)的に逮捕し、収容所などで拷問や洗脳をしていることは「もはや秘密ではない」と指摘し、人道上の「大きな恥だ」と非難した。
https://www.sankei.com/world/news/190214/wor1902140004-n1.html

『現代中国を知るための52章【第6版】』

藤野彰/編著 赤石書店 2018年発行

火薬庫の新疆ウイグル情勢 先鋭化するイスラム系民族の抵抗 より

一般的な日本人にとってイスラム教やムスリムという存在は文字通りの異文化という感覚があるが、中国大陸に住む中国人にとっては比較的身近な存在と言っていい世界である。中国では東西南北を問わずアッ口にモスク(イスラム教寺院)が点在し、中国語でイスラム教を意味する「清真」の阿kんバンを掲げたムスリム用のレストランも随所に目にすることができる。実のところ、中国は知られざる「イスラム大国」であり、計55の少数民族のうち、10の民族(回族ウイグル族、カザフ族、トンシャン族、キルギス族、サラール族、タジク族、ウズベク族、ボウナン族、タタール族)がイスラム教(タジク族がシーア派である以外はすべてスンニ派)を信仰している。
これらイスラム系小数民族の総人口は約2314万人(2010年)に達し、大陸総人口の約1.73%を占める。中東諸国で言えば、この数字はサウジアラビアの人口の約8割に相当する。世界最大のムスリム人口を擁するインドネシアを除くと、中国は東アジア地域で最も広域的に膨大な数のムスリムが居住する国ということになるだろう。中国のイスラム系諸民族のなかで人口第1位の同族にほぼ匹敵する1000万人の人口を抱えているのがテュルク系のウイグル族であり、その本拠地の新疆ウイグル自治区チベットと並んで分離独立運動がくすぶる、民族問題の台風の目となっている。
新疆は18世紀の清・乾隆帝時代に清朝の疆域(領土)に組み込まれたことから、新領土という意味でその名がつけられた。日本の4.4倍の約166平方キロメートルもの広大な面積を持ち、中国国土の6分の1を占める中国最大の1級行政区(省・直轄地・自治区)だ。ロシア、モンゴル、カザフスタンキルギスタジキスタンアフガニスタンパキスタン、インドの8ヵ国と国境を接し、国境線は約5700キロメートルにも及ぶ。新疆は中国内地と中央アジア、南西アジア、南アジアを結ぶ重要な回廊に当たり、習近平政権が国家戦略として取り組んでいる「一帯一路」のシルクロードの中核地域であることから、その地政学上の重要性はこれまで以上に高まってきている。「一帯一路」が成功するかどうかは新疆の安定と発展にかかっていると言っていいが、実際の新疆の治安情勢は中央政府が望んでいる安定とはほぼ遠い状況にあり、長年にわたって大規模な民族争乱や当局機関への襲撃事件が絶えず勃発している。
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ウイグル問題がチベット問題と質的に異なるのは、「テュルク系民族」「イスラム教」を紐帯として中央アジア、中東へと連なる広大な関連地域を背後に抱えている点だ。しかも、中国国内にはウイグル以外にも多くのイスラム教徒がいることから、新疆の民族対立の泥沼化は中国のイスラム社会に動揺を与え、イスラム系の周辺諸国にも大きな影響を及ぼす。まず弾圧ありきでは解決への出口は見えない。さらなる経済水準の底上げはもとより、少数民族の実質的な自治拡大、宗教管理の緩和、民族の援護・文化の尊重などを通じて民心の安定を図ることが先決であり、新疆情勢は混迷加速か融和促進かの重大な岐路に直面している。
しかし、中国当局の政策は新疆の「中国化」推進の方向へと動いている。新疆が同じ自治区チベットと大きく異なるもう1つの要素はその民族構成である。チベットでは漢族の居住者が増加したとはいえ、依然としてチベット族が多数派を占めているのに対し、新疆ではウイグル族と漢族の人口は拮抗し、地域によっては漢族が圧倒的な多数派となっている。『新疆統計年鑑2015』(中国統計出版社)によると、新疆におけるウイグル族と漢族の人口比率は1:0.76であり、漢族人口がウイグル族人口に迫る勢いであることがわかる。新疆の政治経済の中心である区都ウルムチでは漢族人口が2014年時点で72.1%を占めているのに対し、ウイグル族はわずか13.7%にとどまっており、主客逆転が固定化している。新疆全体として漢族人口が非常に多いということはそれだけ両民族の接触面が広いということであり、潜在的な緊張関係が常に社会に存在するということでもある。