じじぃの「科学・芸術_777_現代中国・狭まる台湾包囲網」

Chinese Admiral Ideas: Invade Taiwan and Sink Two U.S. Aircraft Carriers

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=0U-hUuvvaHs

中国 2隻目の空母

台湾、中国製ハイテク機器を公的機関から締め出し

 2019/1/23 日本経済新聞
台湾の蔡英文政権が中国のハイテク機器への規制強化に乗り出す。
安全保障上の懸念から公的機関などでの使用を規制する中国企業のリストを3月末までに公表する。通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)などが対象となる見通しだ。統一を目指す中国の圧力で苦境が深まるなか、中国に強硬姿勢を強めるトランプ米政権に同調する思惑もあるとみられる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40348870T20C19A1000000/

『現代中国を知るための52章【第6版】』

藤野彰/編著 赤石書店 2018年発行

狭まる台湾包囲網 経済緊密化の陰で増大する統一圧力 より

中共中国共産党の略称)の『遼寧』が昨日、わが国の防空識別区に入り、台湾海峡の中間線の西側を南西に向かって航行している」。台湾の国防部(国防省)は2018年3月21日、中国が2012年に就役させた空母(遼寧)の動静を発表した。遼寧は2016年末から年明けにかけ、台湾を時計回りに1周するように航行した前例がある。台湾近海に出没すること自体はもはや珍しくないが、その時期が憶測を呼んだ。
「中国人民と中華民族は偉大な祖国の領土をわずかであれ分割させないという信念を共有している」。中国の習近平国家主席は2018年3月20日に閉幕した全国人民代表大会全人代)で演説し、台湾独立を阻止する意思を改めて表明した。2期目の任期に入ったばかりの習近平が演説の直後に遼寧台湾海峡を通過させたことには、独立を志向する台湾の蔡英文(ツァイ インウェン)政権を牽制する意味が込められていたとの見方が強い。
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1993年には中台窓口団体のトップがシンガポールで会談し、団体間協議の定期開催や知的所有権の保護、犯罪捜査での協力などで合意した。当局間に窓口団体経由とはいえ対話のメカニズムができたことで、台湾海峡の緊張は一時的に緩和した。ところが、台湾が1996年に初の総統直接選挙を実施すると、中国は近海でミサイル演習を行って威嚇した。台湾初の民選総統となった李登輝が1999年、中台は「特殊の国と国の関係」だと発言すると、中国は再び反発し、当局間対話は完全に中断した。
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しかし、2016年の台湾総統選で民進党蔡英文が当選すると、中台蜜月(国民党・馬英九政権下)は終わりを遂げた。中国は蔡英文が「92年コンセンサス」を認めないことを批判し、当局間対話の停止を通告。外交戦を再開し、台湾が外交関係を持っていた22ヵ国のうち、2016年に西アフリカの島国サントメ・プリンシベ、2017年にパナマ運河を持つパナマ、2018年にカリブ海ドミニカ共和国、アフリカのブルキナファソ、中米のエルサルバドルと相次いで国交樹立し、台湾と断交させた。馬政権時代には黙認していた世界保健機関(WHO)関連など一部の国際会議への台湾代表の参加にも圧力を加えるようになった。
一方で、政治の紆余曲折を比べると、中台の経済関係はおおむね順調に拡大している。台湾の税関当局のまとめでは、2017年の台湾から中国への輸出は890億ドルと2001年の18倍近くに膨らんだ。同年の中国の世界貿易機関WTO)加盟を機に、パソコン組み立てなど台湾の主力産業であるIT(情報技術)製造業で工場の中国進出が一気に加速。台湾で製造した半導体、液晶パネルなど基幹部品を中国に輸出し、中国の割安な労働力でパソコンやスマートフォンなど完成品に組み立て、米国や日本など世界に輸出するサプライチェーン(供給網)ができあがっている。代表例が米アップルの「アイフォーン」の製造を担う台湾の鴻海精密工業だ。電子機器の受託製造サービス(EMS)で世界最大手の鴻海は広東省深圳や河南省鄭州に巨大な工場を持ち、中国で約100万人を雇用しているとされる。企業別でみると、鴻海グループは中国の輸出の最大の担い手だと見られる。中国の証券当局は2018年3月、鴻海の中核子会社の上海証券取引所への上場を申請から1ヵ月あまりと異例の早さで承認した。台湾の企業を優遇し、蔡政権と分断することをもくろんでいるようだ。
今後の中台関係を占うカギは大きく分けて3つある。1つは中国の憲法改正で、国家主席の任期延長が可能になった習近平の出方だ。
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(2つ目は住民意識。「中国人」より「台湾人」という意識が強い)
3つ目は米国の台湾政策だ。米国は1979年に外交承認を台湾から中国に切り替えたものの、歴代政権はその後も民主体制に移行した台湾を武器売却などで支えてきた。トランプ米大統領は就任直前の2016年12月、蔡英文と電話で協議し、その後には「一つの中国」の原則への疑問を示して中国を驚かせた。当時は外交に不慣れなトランプによる勇み足との解釈が多く、習近平が2017年4月に訪米した際には、トランプは「一つの中国」の原則を尊重する表明し、中国側を安堵させた。
ところが、トランプは2018年3月、米国と台湾の間であらゆるレベルの高官の相互往来を解禁する「台湾旅行法」に署名し、成立させた。米中間では2018年に入ってから、通商問題で摩擦が強まっており、トランプには台湾を対中牽制のカードとして意図的に使おうとの思惑がにじむ。蔡英文は台湾旅行法の成立に歓迎の意を述べたが、台湾内部では米中2大国の間で翻弄されることへの警戒も根強い。
中国が海洋進出を強めるなか、太平洋への出入り口を塞ぐように浮かぶ台湾の地政学的な重要性は増している。実際に、2018年3月に遼寧台湾海峡を通過したのは中国が領有権を主張する南シナ海での演習に向かうためだった。中国と台湾の統一・独立問題がどう決着するかは、朝鮮半島情勢と並び、東アジア情勢の大きな変数と言える。