じじぃの「科学夜話・地球への帰還で不安なことは?宇宙飛行士に聞いてみた」

大西宇宙飛行士 ソユーズMS-01宇宙船(47S)船内映像

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=cRiztH_R2DA

ソユーズ宇宙船

ソユーズ

ウィキペディアWikipedia) より
ソユーズは、ソビエト連邦およびロシア連邦の1 - 3人乗り有人宇宙船である。2人乗りボスホート宇宙船に続くもので、ソ連の有人月旅行計画のために製作されたが、結局有人月旅行計画は実現されなかった。
【帰還船】
大気圏再突入のために機械船から分離された後は、過酸化水素を利用した一液式スラスタを用いて適切な姿勢を維持し、突入時の最大加速度を軽減する。再突入の際は格納されたパラシュートを開いて減速し、地上約0.8mまで降下した時に、帰還船の下に取り付けられた小型の固体逆噴射ロケットによって、エアクッション効果を利用して着地の衝撃を和らげる。
帰還船の表面はアブレータによりコーティングされている。これはちょうど接着剤が固まったようなもので、化学繊維に含浸させて固めることにより強度を維持している。再突入時にはアブレータ自体が溶けて熱分解する際の融解熱と分解熱、および炭化したアブレータによって内部を保護する。

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『宇宙飛行士に聞いてみた! 世界一リアルな宇宙の暮らし Q&A』

ティム・ピーク/著、柳川孝二/訳 日本文芸社 2018年発行

宇宙から地球について考えよう より

Q 宇宙から地球に戻る際、なにか特別な訓練や準備をするのですか?

A もちろん。

ミッションの最後の2週間は、地球への帰還に備え、多くのタスクがスケジュールに組まれている。もっとも重要なのは、そゆーず宇宙船内の安全な運航に必要なスキルと、地球へ向かって下降する際に起こりうる緊急事態への対処法を復習することだ。
ロシアのスターシティのシミュレーターで、最後に緊急訓練をしてから半年以上も経っていた。自然に反応できるまでスキルをたたき込まれたはずなのに、宇宙で6ヵ月も過ごすと少しさびついているのがわかった。
降下についての手順やチェックリストを各自が復習するのはもちろん、私たちクルーは実際にソユーズに乗り込み、モスクワの運用管制センターの教官とやり取りしながら、ISSからの分離、下降、大気圏への再突入についてシミュレーションを行った。
ISSでかなり長く過ごしたので、ソユーズはとても狭く感じられたが、もうじき家に帰るのだとはっきり感じた。
ソユーズの船内でもいくつかチェックすべきことがある。
宇宙飛行士は6ヵ月の宇宙滞在で背が3%高くなる。172cmと小柄な私でも5cmものびた。無重力状態では背骨にかかる負荷が減るからだ。背骨どうしの間が広がり、背骨まわりの腱や靭帯もゆるむ。
実は地球でも就寝時に同じことが起こるが、程度はもっと軽い。一般的に起きぬけは背が1cm高くなり、日中に重力がかかることでもとに戻る。
打ち上げ前にソユーズの座席の型取りを行う際、エンジニアはこの背骨の伸び率を考慮に入れ、頭の部分に数cm大きめのスペースを取っておく。
地球帰還の準備の一環としてこの座席を再度チェックする。ジェットコースター並みの再突入時に体がちゃんと防護されるように、フィット具合を確認する。
分離の3~4日前、船長のユーリ・マレンチェンコとティム・コプラがソユーズの電源を投入し、制御システムや推進システムの機能を確認した。この6ヵ月の間、ソユーズは休止状態にあったことを考えると、おれは帰還準備において非常に重要なプロセスだ。
ソユーズISSから分離する際、バネの力によって毎秒0.1mというゆっくりした速度で押し出されていく。この段階で、システムが通常どおりに機能しないとか、宇宙船を制御できないなんてことを見つけたら大変だ。
宇宙服もチェックする必要がある。火災や帰還モジュールの減圧などが生じた場合、宇宙服が私たちの命を救い、真空空間から守ってくれる。地球帰還の1週間ほど前に着用してみてきちんと作動することを確認した。とくに漏れがないことは大切だ。
ソユーズは再突入の前に居住、帰還、推進の3つのモジュールに分離し、帰還モジュールのみが地球に戻り、ゴミは居住モジュールもろとも大気圏に突入して燃えつきる。
船長のユーリはソユーズの荷積みの責任者だ。帰還モジュールにそれほどスペースはないが、可能なかぎり重要な機器や実験データは持ち帰らなければならなかった。直ちに生命科学実験にまわす凍結した唾液や尿、血液のサンプルも含まれていた。
ちなみにソユーズへの荷積みは、運用管制センターが承認したリストに基づいて行う。もし宇宙船の質量の見積もりや重力中心の設定が正しくないと、ソユーズを地球へ安全に帰還させ、目的地に到着させるよう計算されているエンジン燃焼に誤りが生じ、とんでもないところに着陸することになる。