じじぃの「782_チャールズ・キーリング(地球化学者)」

The Keeling Curve animation

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=rEbE5fcnFVs

Keeling Curve (1958 - present)

チャールズ・デービッド・キーリング

ウィキペディアWikipedia) より
チャールズ・デービッド・キーリング(Charles David Keeling、1928年 - 2005年)はアメリカ合衆国の化学者。カリフォルニア大学サンディエゴ校スクリップス海洋研究所教授。
1958年からハワイのマウナロア観測所にて大気中の二酸化炭素濃度の精密な観測を継続的に実施し、二酸化炭素濃度が長期的に増加していることを世界で初めて突き止めた。この二酸化炭素濃度と年代の曲線はキーリング曲線(英語版)と呼ばれ、世界で高く評価されている。

                          • -

『科学大図鑑』

アダム・ハート=デイヴィス/著、田淵健太/訳 三省堂 2018年発行

われわれは地球温暖化の原因だ チャールズ・キーリング より

大気中の二酸化炭素(CO2)の濃度が、上昇しているだけでなく、災害をもたらす温暖化の原因になるという認識は、1950年代に初めて科学界と世間一般に広く注目された。それまでの科学者は、大気中のCO2の濃度はときどき変化するが、常に約0.03%、すなわち約300ppmと想定していた。1958年、アメリカの地球化学者チャールズ・キーリングは、自分が開発した高感度の機器を使って、CO2の濃度を測り始めた。
キーリングはいくつかの場所――カリフォルニア州のビッグサー、ワシントン州オリンピック半島アリゾナ州の高山の森林――でCO2を測定した。また、南極での測定結果や航空機からの測定結果も記録した。1957年、ハワイ州のマウナロア山の頂上の海抜3,000mのところに測候所を創設して定期的にCO2の濃度を測定し、3つのことを発見した。
第1に、地域的に、1日の中で変化があった。その濃度は、緑色植物が最も活発にCO2を吸収する午後3時頃最低だった。
第2に、地球規模で、1年を通しての変化があった。北半球は植物が育つ土地が南半球より多く、植物が成長していない北半球の冬のあいだ、CO2の濃度はゆっくり上昇した。5月にピークに達し、そのあと植物が成長し始め、再びCO2を吸収し始めた。その濃度は、北半球の植物が冬に備えて地上部だけ枯れる10月に最低まで下がった。
第3に、重要なこととして、その濃度は容赦なく増加していた。極氷のコアは空気の泡を含んでいて、それは、紀元前9,000年からのほとんどの時期、CO2の濃度が275ppmから285ppmのあいだで変化してきたことを示していた。1958年にキーリングが測定すると315ppmで、2013年5月までに、平均濃度は初めて400ppmを超えた。1958年から2013年までの濃度の増加は85ppmで、55年間に27%増加したことを意味した。これは、大気中のCO2濃度が増加していることを示す初めての具体的な証拠だった。
CO2は温室効果ガスであり、太陽からの熱を取り込むのを助長するもので、CO2濃度の増加は、地球温暖化をもたらす可能性が高い。キーリングは次のことを見つけた。「南極で、CO2濃度は、1年に約1.3ppmの割合で増加していた……観測された増加の割合は、ほぼ、化石燃料の燃焼から予想される値1.4ppmである」。すなわち、人類は地球温暖化の少なくとも原因の一部にはなっている。