9-11 world trade center New York City terrorist attacks live 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=aXHoSbTOdQ8
崩壊する世界貿易センタービル
崩壊後の世界貿易センタービル
『ニューヨークからアメリカを知るための76章』 越智道雄/著 赤石書店 2012年発行
世界貿易センタービル より
世界貿易センター(WTC)ビルの設計者ミノル・ヤマサキは、9/11の14年余前に病死していた。正確には、ヤマサキは建築デザイン担当で、構造エンジニアリングはレズリー・ロバートスン麾下(きか)の事務所の担当だった。基本的には、WTCの建築学的特徴は以下のとおりである。
(1)超高層ビルを支える膨大な支柱がオフィス・スペースの邪魔になるので、一切の支柱を排除し、中央を最上階110階(400メートル)まで垂直に貫くエレヴェーター空洞のケーシングを強化して大黒柱に代える。これによって、ヤマサキは「1000万平方フィート(93万平方メートル)のオフィス・スペースを確保せよ」という施工主の難題に応えたのである。(結果的に7つの超高層ビル全体で104万平方メートルになった)。(2)その代わり、外部構造をおびたたしい柱を林立させた巨大な鳥籠として編み上げ、大黒柱を支える。瓦解後、簓(ささら)、つまり細く割った竹の束のように崩壊現場に突っ立っていたのが、鳥籠の各支柱の基部の残骸である。(3)鳥籠の各支柱は、各階の床と天井で横につなぎ合わせる。(4)さらには、大黒柱から各階ごと壁面に向かって梁(はり)を延ばし、鳥籠の列柱に連結して固定する。つまり、「鳥籠」を鉄筋コンクリート支柱で覆っていれば、WTCはあれほど早く崩壊せずにすんだのだ。
テレビ映像でご覧になったように、激突したボーイング767搭載のケロシンが引き起こした大火災によって、まず激突部分の外壁を支える鳥籠の支柱と、それらを固定した各階の床と天井が溶解した。南棟56階にオフィスを持っていた建築家ボブ・シュルトンは言っている。「高層ビルが崩壊する軋みが聞こえた。茹でる前のひと束のスパゲティを折る音のようだった」。この音こそ、「鳥籠」が折れる音だったのである。「茹でる前のひと束のスパゲティを折る音」! 何という脆さか! これで大黒柱は機能しなくなり、炎上していない高層階の重量を支えきれず非炎上部分が陥没、やはり炎上していない低層階の天井と床を次々と突き破り、ついにビルは何千人もの人々を呑み込んだまま倒壊した。
【世界貿易センター倒壊の唯一の空中写真】
2010年2月12日、『ニューヨーク・タイムズ』のニューヨーク市欄に、初めて上空からの世界貿易センター(WTC)ビルの炎上と倒壊場面の写真が公開された。倒壊の瞬間、巻き上がった噴煙がロウア―・マンハッタン全域はもとよりニューヨーク湾にまで膨れ上がる光景は、これまで見てきた地上やビルからの写真とは比較にならない異様さだ。
テロ発生時点で全米に航空機の飛行が厳禁されたが、高層ビルの屋上に孤立した人々を発見すべく、ニューヨーク市警のヘリが1機だけ飛行を認められた。同乗の景観が撮影したものが2779枚。ABCニュースに渡され、同ニュースはうち12枚を公開した。同ニュースは、09年、情報公開法に基づいて写真を保管している「国際科学技術協会(NIST)に公開を要求していたのだ。NISTはWTC炎上崩壊を調査してきた機関である。
機上から撮影されたものはこれらの写真だけで、個々の噴煙の膨脹ぶりはそれら個々の噴煙自体の爆発としか思えないほどすさまじく、近隣のビル群をなぎ倒してもおかしくない迫力がある。たとえば、WTCの3フロア分以外に、隣接の金融センター・ビルにもオフィスを構えていたリーマン・ブラザーズ(LB)は、そちらでも社員1名が死亡し、ビル全体がWTCの瓦礫のため使用不能となった。20余の隣接ビルも崩壊または損傷した。WTCからかなり離れた街路でも、噴煙や粉塵に呑み込まれれば窒息死は免れなかっただろう。それでも、おびたたしい車や人影は路上に写っている。また、噴煙が散逸したあとのWTC近辺のビルの屋上は粉塵だらけで、壁面が黒く煤けている。