じじぃの「操作されている世界の大学ランキングと評価?ビッグデータの罠」

107本の中国医学論文が不正により取消に【禁聞】 20170426 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=YPi0ojbG6CQ

中国発、学術論文代筆ビジネスの闇、あるいは光──なぜそこまでして論文を発表しなければならないのか 2016.10.25 クーリエ・ジャポン
「サイエンス・サイテーション・インデックス」(SCI)は、国際的に信頼された科学技術文献索引システムの1つで、世界中の学術誌に掲載された論文を検索できる。
だが近年、この業界に中国から大量の論文が投稿されるようになり、掲載後にその多くが撤回されるという事件が頻発。なぜそんなことが起こっているのか。陰に陽に活躍する論文代筆ビジネスの真相に迫る。
https://courrier.jp/news/archives/65980/
『あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠』 キャシー・オニール/著, 久保尚子/訳 インターシフト 2018年発行
操作できるランキング より
USニューズの大学ランキングが抱える最大の弱点が見えてきた。ジャーナリストが教育の優劣を測るために選んだ代理評価項目は、何だかんだと言っても、理にかなっている。そう、彼らが犯した壮大な過ちは、代理項目を測定に用いたことではなく、ある項目を代理項目として採用しなかったことにある。その項目とは、授業料と入学金である。学生が支払うお金の問題が、モデルに組み込まれていないのだ。
この事実は、私たちがこれから何度も直面する重要な問いにつながっている。モデル作成者の目的は何か、という問いである。試しに、1988年当時のUSニューズの編集者になったつもりで考えてみよう。最初の統計モデルを組み上げた後、そのモデルがはじき出したランキングが果たして正しいのかどうか、いったいどう判断すればよいのか? ひとまず、すでに確立されているヒエラルキーがランキングに反映されていれば、それなりに信憑性があるとみなされ、迎え入れられることだろう。ハーバード大学スタンフォード大学プリンストン大学イエール大学がランキングの上位に並んでいれば、そのモデルは妥当であると――モデル作成者やモデルを使用することになる顧客の頭のなかにある「公式化されていないモデル」を再現できていると――みなされるはずだ。
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ランキングの成長に伴い、ランキングを操作しようとする努力も活発になっている。2014年にUSニューズが発表した世界の大学ランキングでは、サウジアラビアのキング・アブドゥルアジーズ大学の数学科が、ハーバード大学のすぐ後ろの7位に入っていた。同大学の数学科はどういうわけか、開設後わずか2年で、ケンブリッジやMITなどの並みいる数学の強豪を一足飛びに追い抜いたのだ。
一見したところ、これは好ましい展開のように思える。おそらく、MITやケンブリッジが名声の上に胡坐(あぐら)をかいているあいだに、勤勉な反逆者たちは一流の仲間入りをしようと懸命に努力していたのだろう、と。純粋に評判だけを頼りにしたランキングでは、このようなどんでん返しが起こるまで何十年もかかる。データに基づくランキングだからこそ、驚きべき速さで実態が表面化したのだろう、と。
しかし、アルゴリズムは操作されることもあるのだ。バークレー校の計算生物学者リオル・パクターは、この件を詳細に調べた。すると、このサウジアラビアの大学は、論文の被引用回数がきわめて高い数学者の多くに連絡を入れ、7万2000ドルの報酬で非常勤教職員になってほしいと申し出ていたことがわかった。パクターがブログに投稿した採用レターの文面によれば、この申し出に応じる数学者は年に3週間、サウジアラビアで勤務する取り決めになっている。彼らのために、大学側はビジネスクラスの航空券と5つ星のホテルを手配する。もしかしたら、彼らにサウジアラビアで活動してもらうことが地元に何らかの恩恵をもたらすこともあるかもしれない。しかし、大学側は彼らに、大手情報企業トムソン・ロイターの引用文献データベースに掲載される所属の書き換えを求めている。トムソン・ロイターのウェブサイトは、USニューズのランキングでも参照されており、重視されている。つまり、サウジアラビアの大学は、新たに採用した非常勤教職員の論文を、同大学から出された論文として主張できるようになるわけだ。論文の被引用回数はアルゴリズムの主要なインプット情報になっているので、キング・アブドゥルアジーズ大学のランキングは急浮上することになった。