じじぃの「科学・芸術_482_パルサー・重力波」

UChicago Physicists Help Decipher Gravitational Waves 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=P0E5KDoSRHU
2つのブラックホールが合体する際に
発生した重力波が検出された

重力波、世紀の発見をもたらした壮大な物語 2016.02.12 ナショナルジオグラフィック日本版サイト
100年におよぶ壮大な探し物に、ついに決着がついた。科学者たちはレーザーと鏡を使って、時空のさざ波「重力波」を直接観測することに成功した。
今回の発見により、科学者は初めて重力波を直接捉えることに成功した。けれども重力波の存在は以前から証明されていた。1974年、ジョー・テイラー氏とラッセル・ハルス氏が、連星パルサーという新しい奇妙な天体を発見した。連星パルサーの正体は、お互いのまわりを回る2つの中性子星である。このパルサーを観測した彼らは、回転の軌道がどんどん小さくなっていることを発見し、その原因は重力波が系からエネルギーを持ち去っているからであるとしか考えられないことに気づいた。
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/021200053/
『なぜE=mc2なのか?』 ブライアン・コックス、ジェフ・フォーショー/著、柴田裕之/訳 紀伊国屋書店 2011年発行
パルサー より
アインシュタインの理論は、宇宙でもとりわけ注目すべきもの、すなわち、「パルサー」と呼ばれる回転している中性子星を使って、高い精度での検証が済んでいる。中性子星とパルサーについては第6章の最後で触れた。それらは宇宙に数多くある。回転している中性子星は、時空の大規模な歪みを引き起こし、また、世界最高の原子時計に匹敵するほど安定して時を刻むため、地球から望遠鏡を使って正確に観察できるもののなかで、特別な存在だ。一般相対性理論を検証するのに完璧な環境を提供するものと言えば、パルサーが浮かぶだろう。パルサーは、回転するときに電波を発して時を刻む。灯台を想像すればいい。灯台の明かりは細い光線を放ちながら1秒ほどで1回転する。
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パルサーは宇宙では珍しくもないが、2つのパルサーが互いに周回している例は1つしか知られていない。この連星パルサーの存在は、2004年、電波天文学者たちによって確認され、その後の観測が、アインシュタイン一般相対性理論の、これまでで最も精密な検証につながった。
この連星パルサーは驚くべきものだ。今では、およそ100万キロメートル離れた2つの中性子星からなることがわかっている。この連星のすさまじさを想像してほしい。2つの星はどちらも、太陽並の質量が1つの都市ほどの大きさに圧縮されていて、1秒に何百回も回転し、地球から月までの距離のたった3倍の間隔で猛然と周回し合っているのだ。アインシュタインの理論を検証するために連星パルサーが役立つのは、一方からの電波が宇宙の他のパルサーのすぐそばを通る場合があるからだ。これは、超規則的な電波ビームが大きく曲がった時空領域を通過し、その際に余分に時間がかかることを意味している。精密に観測すればその遅れを測定でき、それによってアインシュタインの理論の正しさを確認できる。
連星パルサーには他にも長所がある。2つの星が互いを周回するとき、時空でさざ波を起こし、それが外側に広がるのだ。このさざ波は、連星の回転速度のエネルギーを奪うので、2つの星は渦を巻くように、ゆっくりと内側に向かう。このさざ波は重力波と呼ばれ、その存在もまたアインシュタインの理論が予測している(ニュートンの重力には重力波は存在しない)。