じじぃの「沈黙の春・ヒアリは危険な虫か?外来種のウソ・ホントを科学する」

Inside the World of Fire Ants!  動画 Youtube
https://www.youtube.com/watch?v=rz3UdLEWQ60
船を漕いで移動するヒアリ

沈黙の春』へのアプローチ レイチェル・カーソン日本協会 関西フォーラム
アメリカの海洋生物学者レイチェル・カーソンの『沈黙の春』が雑誌『ニューヨーカー』に掲載されたのは1962年6月16日のことでした。
沈黙の春』は、DDTをはじめとする農薬・殺虫剤など化学物質がとめどなく使用されたならば自然の生態系はどうなるのか、そこに生きる生きものはどうなるのか、さらに人間にはどんな影響がでるのかということを鋭く問いかけた警告の書です。彼女の警告は大きな反響をよびおこし、アメリカ社会をかえたといわれています。
http://jrcc-kansai.org/about-rcc/silent-spring/ss-approach/
外来種のウソ・ホントを科学する』 ケン・トムソン/著、屋代通子/著 筑紫書館 2017年発行
侵入にまつわる5つの神話 より
昆虫の部では、主役の座はなんといっても南アメリカヒアリだ。ヒアリアメリカに年間20億ドルもの負担をかけているともっぱらの評判で、ただほかの例にもれず、この費用の大半は、ヒアリが実際に何かに損害を与えたというよりも、防除のコストだ。だがヒアリが起こす問題とはどの程度のものなのか。わたしが説明するまでもない。沈黙の春で、かのレイチェル・カーソンが、すでに詳しく語ってくれているからだ。歴史を変えた名著と呼べるほどの本は多くはないが、これはまさにその数少ないうちの1冊であろう。
 アメリカ合衆国にやってきてから40年あまり、その間ヒアリはほとんど注目されなかった。発生数が多いほうの州では迷惑がられていたが、それというのもヒアリが、1フィートは優に超える塚のような大きな巣を作るからだった。農作業機械を運転する邪魔になるのだ。それでも、最も注意が必要な害虫の20種に数えた州はたった2ヵ所で、その2州でも順位は下のほうだった。役所でも住民の間でも、ヒアリが農作物や家畜に害をなすという懸念はなかったようだ。
 幅広い対象を死に至らしめる力を備えた化学薬品が登場すると、ヒアリに対する政府の姿勢は急転換した。1957年、アメリカ合衆国農務省は省が誕生して以来の一大広報キャンペーンをぶち上げた。ヒアリはある日突然、集中砲火のような政府広報、映画、政府後援のニュース記事の標的となった。南部の農業を破壊し、鳥や家畜、あまつさえ人間の命までをも奪う張本人に仕立て上げられたのだ。大々的な撲滅計画が発表され、連邦政府は被害のある各州と協力し、南部の9つの州で、最終的には2000万エーカーに及ぶ範囲が防除されることとなった。
カーソンはこれに続いて、ヒアリが農業や野外生物に深刻な被害をもたらし、人間の健康を脅かすという主張を慎重に検証し、すべてを退ける。『沈黙の春』は基本的にとても熱のこまった弾劾の書だが、カーソンは、ヒアリに対してディルドリンとヘプタクロルを隙間なく散布するという計画に向けて、それまでは出し惜しんでいたかのように、最も手厳しい批判を繰り出していく。
 害虫駆除の計画が、これほどあまねく、また当然の報いとはいえ誰からも忌み嫌われた例はない。歓迎したのは薬剤が「バカ売れ」して利益を上げた輩だけだ。計画もずさんなら実施もお粗末、徹頭徹尾有害しかなく、昆虫の大量駆除の悪い手本の見本市だ。しかも金銭的にも、動物の命と生活を破壊したという意味でも、とてつもなく高くついたばかりか、農務省に対する一般の信頼を失墜させるという代償まで払った。この期に及んでまだ農務省に資金提供しようとする者があるとしたら、理解不能だ。
究極の皮肉は『生物侵入』が合衆国の章でヒアリの罪状の中心に挙げているのが、コリンウズラの減少の原因だということだ。だがカーソンも記しているように、ヒアリ駆除の対象地域でコリンウズラがいなくなったのは、何よりも、散布された毒性の強い有機塩素系殺虫剤のせいだ。ヒアリはたしかに、コリンウズラに何かしら悪影響を与えたかもしれないが、コリンウズラが長期にわたって姿を消してしまった責任をアリに負わせるのは飛躍のしすぎだ。事実は、いつものように外来生物に大きな濡れ衣を着せようとしているだけのことだ。

                          • -

どうでもいい、じじぃの日記。
外来種のウソ・ホントを科学する』という本に、「侵入にまつわる5つの神話」が載っていた。
「事実は、いつものように外来生物に大きな濡れ衣を着せようとしているだけのことだ」
本の中に、「船を漕いで移動するヒアリ」の写真が載っていた。
アリは、結構 頭がいいんですね。
私よりも賢いのかもしれない。 (^^;;