じじぃの「科学・芸術_346_量子コンピュータ」

【R&Dフォーラム2017】光を使って難問を解く量子ニューラルネットワーク 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=j8sP24fSyMQ
国産量子コンピューター試作機asahi.com HPより)

   
量子ニューラルネットワークjst.go.jp HPより)

国産量子コンピューター試作機、無償公開へ 改良目指す 2017年11月20日 朝日新聞デジタル
スーパーコンピューターをはるかに超える高速計算を実現する「量子コンピューター」の試作機を、国立情報学研究所などが開発し、27日から無償の利用サービスを始める。世界的な開発競争が進むなか、試作段階で公開して改良につなげ、2019年度末までに国産での実用化を目指す。
基礎研究は1980年代に始まり、日本の業績も世界的に評価されている。だが、実用化では米IBMやグーグルなどが先行。カナダのD-Waveシステムズは11年に一部実用化し、米航空宇宙局(NASA)や自動車部品大手「デンソー」、東北大などが活用している。
http://www.asahi.com/articles/ASKCD13LMKCCULBJ00D.html
共同発表:光を使って難問を解く新しい量子計算原理を実現 2016年10月21日
NTTのチームが推進する大規模光パラメトリック発振器群による量子ニューラルネットワークの実装とNII−スタンフォード大学のチームが推進する原理実証・応用探索は、ImPACT「量子人工脳を量子ネットワークでつなぐ高度知識社会基盤の実現」プロジェクトの要の研究課題です。これは、組合せ最適化問題を高速に解くための量子ニューラルネットワークのハード/ソフト技術を確立するものだからです。
今回開発したマシンを使って、組合せ最適化問題の一つである最大カット問題の解を、高速に探索できることを実験的に実証した本成果は、実社会の様々な問題への適用を目指すにあたって、その拠り所となる成果です。本研究開発の成果を弾みに、量子ニューラルネットワークの実機開発と、一般ユーザに使っていただくためのクラウドサービスに向けた活動の、更なる加速を図ります。
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20161021/index.html
量子アニーリング(西森秀稔) 2017/12/9
量子アニーリング最適化問題のための汎用解法であり,D-Waveマシンのような量子アニーリング装置の基本動作原理である。1998年の門脇・西森の論文で提案され,量子力学を使わない手法に比べて高速化が見込める明確な数値データが示された。
http://www.stat.phys.titech.ac.jp/~nishimori/QA/q-annealing.html
週刊新潮 2017年12月14日号』
科学探偵 タケウチに訊く! 科学作家 竹内薫 より
●量子脳が誰でも使えるようになったって本当?
内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の1つとして、NTT、国立情報学研究所などが、日本初の量子コンピュータの試作機を発表した。
第4次産業革命というと、どうしても人工知能とロボットがクローズアップされるが、もちろん、世界各国とも量子コンピュータの実用化に向けて鎬を削っている。
シュレ猫 「量子コンピュータは、もうカナダのD-WAVE社が実用化してるにゃ」
まあ、そうなのだが、D-WAVE社は超電導技術を使っていたので。装置を極低温まで冷やさなくてはならず、電力消費や大規模化に向けての問題があった。今回は、「光パラメトリック発振器群」、ようするにレーザー光を用いるため、常温でも大丈夫なのだ。
また、これまでは、計算に使う素子(それが「量子」だから量子コンピュータと呼ぶ)同士をつなぐのが難しかったが、今回は、量子同市が全部きちんとつながって安定するので、かなり画期的だといえる。
シュレ猫 「そもそも計算と素子の関係がわからないし、つながりってニャんなの?」
では、猫にもわかる説明をしてみましょう。あみだくじのようにつながった水道管網があるとしよう。上には水を送り出すバルブが並んでいて、下には水が出てくる吐水口が並んでいる。上のバルブを開けて順に1滴、0滴、1滴、0滴、と水を垂らすと、あみだくじの下から0滴、0滴、1滴、1滴と水がでてきた。これは、ある数字を入れたら、別の数字が出てきたのと同じなので、立派な計算とみなすことができる。で、バルブと吐水口が「素子」だとしたら、素子の間をつないでいる水道管が素子同士の「つながり」、ということになる。
水道管の代わりに、光や電子や超電導回路のような「量子」を使えば、それは(古典計算ではなく)量子計算と呼ばれる。
そもそも、一口に量子コンピュータと言っても、いくつもの種類がある。(これまでのコンピュータの延長戦上にある)量子ゲート方式、D-WAVE社が採用した量子アニーリング方式、そして今回の量子ニューラルネットワークが主なもの。方式によって得手、不得手があり、今後、どの方式が主流になっていくのかは、いまのところわからない。将来的に、複数の方式が混在して発展してゆく可能性もある。
シュレ猫 「今回の発表の凄さがイマイチわからないにゃー」
はいはい、人間の脳はシナプス同士の結合からできていて、それを真似たのが(人工知能に使われる)ニューラルネットワークだ。今回は、シナプスの代わりに光パルスを使って、量子ニューラルネットワークを構築した。ようするに光を使って「量子脳」を作ってしまった、ということなのだ!