じじぃの「科学・芸術_328_海水淡水化プラント」

東レ - 世界最大の海水淡水化プラント向け 逆浸透膜 : DigInfo 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=PjRcu9XNMOU

水ビジネスの幻想と現実[2]--日本勢唯一の“独壇場”に異変、水処理膜の覇権争い 2010年10月01日 東洋経済オンライン
その逆浸透膜で目下、世界をリードしているのが日本企業である。調査会社推計によれば、日本の主要な膜メーカーである日東電工東レ東洋紡の合計シェアは5割に達する。
http://toyokeizai.net/articles/-/5104/?page=2
『新しいニッポンの業界地図 みんなが知らない超優良企業』 田宮寛之/著 講談社+α新書 2016年発行
希少資源「水」を創り出す「水ビジネス」 より
国連の関係機関の試算によれば、2050年には慢性的な水不足に悩む人の数が40億人に達するとのこと。
水不足は深刻な問題だが、水不足を解消するところに大きなビジネスチャンスがある。経済産業省が2010年にまとめた報告書によると、2007年の水ビジネスの世界市場規模は36兆2000億円だが、2025年には86兆5000億円と2倍以上に拡大する見込みだ。水ビジネスに関連する企業は、水ビジネス市場の拡大とともに大きく成長していくことになる。
世界中で水が足りないならば作るしかない。水を作るのが海水淡水化プラントだ。中東では海岸近くに海水を淡水にするプラントが建てられている。中東諸国は原油で稼いだカネをプラント建設につぎ込んでいる。日本でも慢性的な水不足に悩む沖縄には淡水化プラントが設置されている。
淡水化プラントの建設、運営など全般を仕切るのは総合商社。現地政府や自治体などと契約を結び、巨大な施設を造って運営するといったビジネスは総合商社の得意とするところだ。さらに、千代田化工建設日揮東洋エンジニアリングなどのエンジニアリング企業も淡水化プラントで実績がある。
ところで、プラント内で海水をどのようにして淡水にしているのだろうか。海水を熱して水蒸気を集めて淡水にするのは古い方式。これでは燃料費がかさんでしまうし、二酸化炭素(CO2)が大量に発生してしまう。
現代では海水を濾過膜に通して塩分を取ってしまう方法が取られている。この濾過膜では日本の日東電工東レ東洋紡の3社で世界シェアの5割弱を占める。この3社のほかには三菱レイヨン(非上場)、旭化成クラレダイセルなども濾過膜を製造している。
海水をこの濾過膜に通すためには、ポンプで海水に強い圧力をかけなくてはならない。また、海水から取水する際にもポンプが必要となる。ポンプメーカーとして有力なのが、荏原製作所、酉島製作所など、荏原製作所はポンプ総合メイカーで国内最大手。酉島製作所は売上高全体では荏原製作所に及ばないものの、海水淡水化用ポンプを得意としており、この分野では世界シェア4割に達する。このほか帝国電機製作所、電業社機械製作所、鶴見製作所といった企業が、海水淡水化に使用されるポンプを製造している。
さらに注目はチタン関連企業だ。海水淡水化の機械を鉄で作るわけにはいかない。そんなことをすればあっという間に錆びてしまう。そこで錆びにくい金属としてチタンが使用される。チタンはプラチナ(白金)とほぼ同等の強い耐蝕性があり、海水にはほとんど反応しない。また、金属疲労も起こりにくいので、プラント設備にはもってこいの金属だ。チタン関連企業としては、大坂チタニウムテクノロジーズ、東邦チタニウム神戸製鋼所などが挙げられる。