じじぃの「神話伝説_181_割礼」

Circumcision | Nucleus Health 動画 Youtube
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 割礼

12.パウロ神学「割礼」
●ガラテヤ人への手紙
5-2 見よ、このパウロがあなたがたに言う。もし割礼を受けるなら、キリストはあなたがたに用のないものになろう。
5-3 割礼を受けようとするすべての人たちに、もう一度言っておく。そういう人たちは、律法の全部を行う義務がある。
5-4 律法のによって義とされようとするあなたがたは、キリストから離れてしまっている。恵みから落ちている。
http://manga.world.coocan.jp/new-pauro-12.html
『シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧』 エマニュエル・トッド/著 文藝春秋 2016年発行
ドイツと割礼 (一部抜粋しています)
先鋭なイスラム恐怖症がどんなものであるかをさらに見ておくなら、ドイツには、「ペギーダ」(PEGIDA)の不気味な夜の集会よりもずっと興味深い事例がある。法務エリートたちと一般の人びとに共通する無意識がそれである。これが示すのは、イスラム恐怖症にとって、反ユダヤ主義と一致するのがどれほど容易なことかという点だ。
2010年の終わり頃、4歳のチュニジア人少年がケルン市内の医院で割礼を受けた後、出血して病院に運び込まれて治療を受けるということがあった。検事が、執刀した医師――シリア人――を「荷重情状付き身体毀損」のかどで起訴した。1審の区裁判所は公訴棄却とした。だが、検事は粘り強い人物で、ケルン地方裁判所に控訴した。地裁は医師を放免したが、しかし2012年5月7日の判決で、割礼について、体を「取り返しのつかないかたちで永続的に」変形させる以上、刑事罰の対象となる傷害罪であると司法判断を下した。割礼ユダヤ教およびイスラム教の伝統で、かなり広範にアメリカ的なものともいえる(米国人男性のおよそ半数は割礼を施されている)が、それがドイツの裁判所によって、不可逆的な身体毀損と定められた。なぜなら、「身体的インテグリティ(身体を完全な形に保全すること)への子供の権利は親の権利より優先されなければならない」……というものだった。
この司法判断は、ドイツで滑稽なほど大まじめな議論を引き起こした。その果てに、いくつかの世論調査が、ドイツ人の55%がケルン地裁の判断を肯定していることを明らかにした。結局、イスラエルから来た抗議がアンゲラ・メルケルとドイツの諸政党を世界の現実に引き戻し、さまざまな宗教的マイノリティが割礼をおこなうことを合法化する法案が、ドイツ連邦議会にて2012年12月12日、賛成434票、反対100票、棄権46で可決された。ところが、割礼をめぐるドイツの物語はそれでは終わらなかったのである。
2013年9月末、ドイツ社会民主党の議員マレーネ・ルプレヒトが欧州評議会の議員会議に、「子供の身体的インテグリティの侵害」に対抗する措置をちるよう加盟各国に促す決議案を提出した。その決議案は賛成78票、反対13票、棄権15で採択された。欧州評議会議員はこうして諸国家に対し、「女性器切除のような最も有害な行為を公に断罪し、それらを禁止する法制度を採択する」ことを、また、「医学的に正当化される場合を除く少年男子の割礼のように、今日いくつかの宗教コミュニティにおいて広く普及している行為に関して、遵守されるべき医学的・保健衛生的の諸条件を明確に定める」ことを要請した。ルプレヒトが長く代議士を務めていた地元はニュールンベルクの辺りで、そこはバイエルン州の少数派プロテスタントの地域に属する。
またも、イスラエル国家がこの決議文に対して抗議しなければならなかった。だが、その抗議を待つまでもなく、人は単なる良識に照らしてこの抗議文を反ユダヤ主義的かつイスラム恐怖症的と見做すべきだった。ユダヤ教イスラム教のいずれが主な標的となっているのかは分からないけれども、ルプレヒト自身は自分を、子供の権利を擁護する戦士というふうに見ている。それにしても、割礼に関するドイツの強いこだわりには驚嘆する。人類学がそのフィールドワークで、割礼を問題視したことは一度もない。まして、子供に関してそれを問題視したことなどまったくない。実地調査によれば、割礼を施された者も同様に自分の状態に満足していて、何の不満も抱いていない。したがって、ほかでもないドイツが、100万人のユダヤ人の子供を皆殺しにしておいてからまだせいぜい70年しか経たないのに、その国内にいる他のユダヤ人の子供たちの身体的インテグリティに関して、何の後ろめたさもなしに判定者のような態度をとるのはどういうことなのだろうか。唖然とするほかはない。