じじぃの「科学・芸術_16_中国の紙の製法が西洋に伝わった訳」

El Cid 1961 1080p BluRay x264 anoXmous 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=LtuvHew1zi4
NHK高校講座 世界史 「第13回 十字軍の時代」
まずは、地中海の東にある、エルサレム旧市街を訪れます。
ユダヤ教キリスト教イスラームの3つの宗教の聖地です。
しかし、今も多くの宗教的な対立が起こっています。
これまで、エルサレムをめぐって、さまざまな民族が争ってきました。
そのきっかけとなったのが、11世紀末に始まった十字軍の遠征でした。
https://www.nhk.or.jp/kokokoza/tv/sekaishi/archive/resume013.html
エル・シド (映画) ウィキペディアWikipedia)より
エル・シド』(原題:El Cid)は、1961年制作のイタリア・アメリカ合衆国合作の映画。アンソニー・マン監督。チャールトン・ヘストンソフィア・ローレン出演。
11世紀後半のレコンキスタで活躍したカスティーリャ王国の貴族エル・シドことロドリーゴ・ディアス・デ・ビバール(Rodrigo Diaz de Vivar)の生涯を描いた作品。

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『逆説の世界史 2 一神教のタブーと民族差別』 井沢元彦/著 小学館 2016年発行
遠征と聖地エルサレム キリスト教VSイスラム教「連鎖する憎悪」の原点 (一部抜粋しています)
しかし、栄えたウマイヤ朝も内部の矛盾から崩壊していく。ウマイヤ朝は領内にいるイスラム教徒以外の異教徒に対して改宗は強制せず、そのかわりに税金(人頭税)を納めさせていた。ところが、同じ税金をアラブ人以外のイスラム教徒にも課していたのである。これはアラブ人優遇政策であり、明らかな不公平でもある。
そこで、「そもそもウマイヤ朝は正当なカリフであるアリーの子孫を虐殺するという不正によって成り立った王朝であるから従うべきではない」と考える人たち、つまりシーア派ウマイヤ朝の崩壊を策すようになった。もちろん、こういう動きは教義の違いに端を発することだが、シーア派の信者にはアラブ人優遇政策に反感を持つペルシャ人が多く、アラブ人とペルシャ人ではそもそも肌の色が違うことも、両者の対立に拍車をかけたかもしれない。
この対立を利用したのが、スンニー派アラブ人でありながらシーア派との協調関係を築くことに成功したハーシム家出身のサッファーフ(通称は「アブル・アッバース」)である。彼は750年にウマイヤ朝を滅ぼし、カリフの座を奪うことに成功した(カリフ在位750〜754年)。
アッバース朝(750〜1258年)の誕生である。
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最終的に3つに分裂してしまったイスラム帝国のうち、最も有力だったアッバース朝が建国の翌年の西暦751年に、タラス河畔の戦いで当時の中国「唐」の大軍を破った。そこで捕虜となった唐人に製紙職人がいて、その結果、イスラム社会ひいては西欧社会に紙の製法が伝わったということは、文化史そして情報史上に大事件として特筆しておかねばなるまい。
現在の欧米社会には他の社会に対する歴史的偏見がある。英語「ペーパー(paper)」の語源はエジプトの「パピルスpapyrus)」であるが、パピルスは紙ではない。植物の繊維を張り合わせただけで、折りたたむと破損してしまう。だから巻物(スクロール)にするしかない。しかし、紙は植物の繊維を砕いて鋳物のように成形したもので、前後左右に折りたためるという決定的な長所がある。これによって初めて冊子(コーデックス)つまり一般に言う「本」を作ることが可能になった。これは人類の文明に対する偉大な貢献である。その功績は中国人のもので、エジプト人や欧米人のものではない。
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後に蒸気機関を開発し、その力で世界を植民地化した欧米諸国は、現在までの世界の「勝者」であるが故に、昔は中国やイスラム帝国に、学問や科学技術ではるかに及ばない時代があったということを封印したいらしい。
しかし、それは歴史上の事実ではない。なぜそんな偏見がはびこるかと言えば、1つは今述べたように彼らが「勝者」になったからだが、もう1つは一神教の偏見、つまり相手を「無信の徒」と見る感覚がその原因だろう。正しい神を信じていない人間が、正しい神を信じた人間より優れた技術を持つはずがない、という思い込みである。
そしてその思い込みが加速されたのが、まさに十字軍の時代であった。
それ以前はキリスト教徒とイスラム教徒の対立はそれほど深刻ではなかった。その証拠となる歴史的事実は、スペインの偉大な英雄「エル・シッド(El Cid)」の生涯である。