じじぃの「人の死にざま_1706_ポール・ベール(物理学・生理学者)」

山ガール

山ガール必見!高山病対策とは? 美と健康のサプリ
高山病とは、別名「低酸素症」「山酔い」ともいわれます。
http://www.supkomi.com/knowledge/mtfuji-mountain-climbing.html
Paul Bert
ポール・ベール( Paul Bert, 1833年1886年 )はオーセールに生まれ、最初はエンジニアを目指し理工科学校(エコール・ポリテクニーク)に学んだが、次いで法律を学び、最終的には生理学者として、1866年にボルドーで当時としては最年少の教授となる。
潜水時の減圧症の原因を突きとめた功績は現在にも影響を及ぼしている。
しかしポール・ベールの名を現在に知らしめているのは、彼の政治家としての功績である。特にジュール・フェリー( Jules Ferry, 1832年1893年 )と共に、公教育における非宗教・無償・義務の3原則を確立したことで知られている。
http://www.fra5.net/extrait/extrait209.html
『人間はどこまで耐えられるのか』 フランセス・アッシュクロフト/著、矢羽野薫/訳 河出文庫 2002年発行
どのくらい高く登れるのか (一部抜粋しています)
高山病は何世紀も前から知られていた。昔の人にとっては謎の病気であり、神の住む場所だから人間は気が狂うのだとか、山の植物が毒を発散しているせいだとか考えられていた。そのためにヨーロッパでは、山は長い間危険と謎のベールに包まれていた。しかし、19世紀後半からスポーツとしての登山が広まると、人びとは自然と戦い、世界有数の高峰を最初に制覇しようと競いあった。一方、生理学者は高度が人間の体におよぼす影響に注目して、高山病の原因が少しずつ解明された。人類が初めてエベレストの登頂に成功したときも、科学の研究がかなり重要な役割を果たした。しかし、登山家が科学の予想する限界より高い頂に立つたびに、科学者は驚かされる。
高高度は、一般に、とくに根拠はないようだが、海抜3000メートル以上とされる。世界中の山岳地帯ではおよそ1500万人が高高度で生活しており、そのほとんどはアンデス山脈ヒマラヤ山脈エチオピア高原に集中している。そして、さらに多くの人がスキーやバックパッキングや観光旅行で高度3000メートル以上の山を訪れる。現在、人間が定住している最も高い場所はアンデスのアウカンキルチャ山にある採鉱の町で、標高5340メートルに達する。硫黄鉱山は標高5800メートルにあるが、その高度で寝泊まりするより毎日460メートル登るほうが楽だという。インドの軍隊も、標高5490メートル付近に何ヵ月も舞台を駐留され、中国との国境を警備することで知られている。しかし、人類が長期間、継続して暮らせる高度はそのあたりが限界だろう。標高5000メートル以上で生活することは、さまざまな危険にあふれている。とくに危険なのは空気中の酸素濃度が下がることで、寒さ、脱水症状、強烈な太陽放射も大きな障害となる。
高度が上がると、空気は薄くなる、つまり空気中の酸素が減って、ほとんどの生物に深刻な影響をおよぼす。人間はすべての細胞に絶えず酸素を供給しなければならない、細胞内で炭水化物などの食べ物とともに酸素を燃焼させ、エネルギーを生成しているのだ。筋肉細胞のように大量の酸素を燃焼させる細胞は、それだけ多くの酸素を消費し、運動するほど余計に必要となる。酸素は1775年に「発見」され、その効用もすぐに解明された。高山病の主な原因は酸素が不足すること(低酸素症)であると発見したのはフランスのポール・ベールで、それから100年後のことだった。しかも高山病と低酸素症の関係が広く受け入れられるまでには、さらに長い年月がかかった。