じじぃの「人の生きざま_616_ジャレド・ダイアモンド(進化生物学者)」

ジャレド・ダイアモンド 文明崩壊は何故起こるのか 動画 TED
https://www.ted.com/talks/jared_diamond_on_why_societies_collapse?language=ja#t-4179
「銃、病原菌、鉄」 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=5Oyrc9aySm0
Jared Diamond


文筆劇場・ジョン・スミスへの手紙/ジャレド・ダイアモンド(著)『銃・病原菌・鉄』に思う
NHK プレミアム8 未来への提言「生物地理学者 ジャレド・ダイアモンド」(2011年2月24日放送)を視聴しました。
広く信じられているのは「白人がほかのどの人種よりもすぐれているから」とする説。著者はこれを「19世紀の人種差別意識そのもの」と退け、「遺伝子レベルで精査すると白人と非白人の間に優劣の差はない。わずかに肌や髪の色が違うだけ」と論じた。
http://www.bunpitsugeki.jp/john2922.htm
『銃・病原菌・鉄』のジャレド・ダイアモンド氏に聞く 2013年3月1日 日経ビジネスオンライン
ジャレド・メイスン・ダイアモンド(Jared Mason Diamond)
1937年9月米ボストン生まれ。1958年に米ハーバード大学で生物学の学士号を取得後、1961年に英ケンブリッジ大学で生理学の博士号を取得。その後、生理学者として分子生理学の研究を続けながら、進化生物学、生物地理学へと研究領域を広げた。特に鳥類に興味を持ち、ニューギニアなどでのフィールドワークを行なった。そこでのニューギニアの人々との交流から人類の発展に関心を深め、その研究成果の一部が『銃・病原菌・鉄』として結実した。
アメリカ科学アカデミー、アメリカ芸術科学アカデミー、アメリカ哲学協会会員。アメリカ国家科学賞。マッカーサーフェローシップ、ルイス・トマス賞など受賞多数。200本以上の論文を発表したほか一般書も多く出版。おもな著書に『銃・病原菌・鉄』『セックスはなぜ楽しいか』『文明崩壊』などがある。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20130228/244340/
『文庫 銃・病原菌・鉄 上: 1万3000年にわたる人類史の謎』 ジャレド・ダイアモンド/著、倉骨彰/訳 草思社 2000年発行
人種による優劣という幻想 より
認知心理学者たちは多大な努力を払って、同じ国に住む人間であっても、先祖の出身者によって知能に差異があることを見いだそうとしてきた。とくにアメリカでは、多くの白人心理学者たちが、何千年ものあいだ、アフリカ系アメリカ人はヨーロッパ系白人より先天的に知能が低いことを示そうとしてきた。しかしながら、よく知られているように、彼らの比較研究の対象となった人びとは、生まれ育った社会環境や教育環境が大きく異なっていた。
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この問題に対する私自身の見方は、過去33年間、ニューギニア人たちといっしょに野外研究活動をしてきた経験からきている。私はニューギニア人たちと行動をともにしはじめたときから、平均的に見て彼らのほうが西洋人よりも知的であると感じていた。周囲の物事や人びとに対する関心も、それを表現する能力においても、ニューギニア人のほうが上であると思った。よく知らない場所の地図を頭の中で描くといった、脳のはたらきを表すような作業については、彼らのほうが西洋人よりもずっとうまくこなせるように思える。当然のことながら、ニューギニア人は、西洋人が子供の頃から訓練を受けている作業はうまくこなせない。だから、辺鄙な村に住み、学校教育を受けたことのないニューギニア人が町にやってくれば、町の西洋人の目には間抜けに映るだろう。その逆に、私には、ジャングルの小道をたどるとか小屋を建てるといった、ニューギニア人であれば子供の頃から訓練を受けている作業はうまくこなせない。だから、彼らといっしょにジャングルにいるときは、自分はいかにも間抜けに見えるだろうと、私はいつも意識されたものである。

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『文明崩壊 上: 滅亡と存続の命運を分けるもの』 ジャレド・ダイアモンド/著、楡井浩一/訳 草思社 2005年発行
わたしの立場――環境保護とビジネス より
今日、人間による環境侵害の問題は論争の的になっており、おおかたの意見は対立し合うふたつの立場のあいだに位置する。一方の立場は、ふつう”環境保護主義”と呼ばれるもので、現在わたしたちのかかえる環境問題は深刻であり、緊急の取り組みを必要としていて、今のような経済成長と人口増加の率は維持していけないと主張する。もう一方の陣営の主張は、保護主義者たちの懸念は大仰かつ不当で、現在どおりの経済成長と人口増加は可能であるとともに望ましいというものだ。後者の主張をひとくくりにしてレッテルを貼るのはむずかしいので、本書では単に”非環境保護主義”と総称することにする。これは特に大企業や経済界の利益を代表する意見ではあるが、”非環境保護主義=企業利益優先主義”という等式は成り立たない。環境保護主義に懐疑的な人のなかには、大企業や経済界に属さない人も多いからだ。さて、本書を執筆するに当たり、わたしは両陣営に対してどういう位置に立っているのか?
わたしは7歳のときから、バードウォッチングをやっている。生物学を修めて学者になり、この40年間、ニューギニア熱帯雨林の鳥について研究してきた。鳥が大好きで、鳥を観察することと熱帯雨林にいることを楽しんでいる。ニューギニアやほかの多くの地域で、種を存続させ、自然環境を保護するための活動に、積極的に携わってきた。十数年前からは、最大級の国際的な環境保護団体、最もコスモポリタン的な理念を持つ組織である世界自然保護基金アメリ支部の理事を務めている。そういう履歴や活動のせいで、わたしは非環境保護主義者たちから、「恐怖をあおる男」「ダイアモンドは憂鬱と破壊の伝道師だ」「リスクに尾ひれをつけて語る」「人間の要求より絶滅危惧種の鳥のほうを優先する」などという批判を浴びてきた。しかし、わたしはニューギニアの鳥たちを愛する一方で、息子たちや友人たちがニューギニア人たちやその他の人々に、それをはるかに上回る愛情を抱いている。わたしが環境問題に関心を持つのは、それが鳥に与える影響より人間に与える影響を顧慮するからだ。
その反面、わたしは、大企業や、環境資源を利用するその他の諸機関の側で働いた経験が豊富で、企業論理にも興味があり、現在も関わりを持ち続けているので、しばしば非環境保護主義者と見られる。
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実際には、わたしは大企業に雇われているわけではないし、たとえ客として招かれるときでも、その現場で起こっていることを率直に論評している。一部の現場では、石油会社や製材会社が破壊的な活動に携わっているのを見て、そう直言した。別の現場では、慎重にふるまっているのを確かめて、その評価を伝えた。環境主義者たちがもし、現代世界で最も強大な力を持つ大企業と積極的に関わっていなかったら、世界の県境問題を解決することはとてもかなわないだろう。だから、わたしは本書を、環境問題と企業の現実、その両方に身を置いた経験を踏まえて、中庸の観点から書いていきたいと思う。