じじぃの「人の生きざま_606_竹村・健一(ジャーナリスト)」

テレビ番組名場面(竹村健一資料館) 動画 YouTube
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50年間の著作を語る 01(竹村健一資料館) 動画 YouTube
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竹村健一の名言 地球の名言
竹村健一(たけむら けんいち、1930年4月7日 - )は、大阪府出身のジャーナリスト、評論家、著述家。妻は元宝塚歌劇団の女優「加賀葵」。
毎日新聞社の英語新聞「Mainichi Daily News」の記者を経て、「山陽特殊鋼」へ入社。その後「追手門学院大学英文科」の助教授、「拓殖大学客員教授などを務める。その後、マーシャル・マクルーハンのメディア論の紹介で注目され、文筆活動を開始。テレビやラジオなどのメディアに多数出演し、保守的な論調で知られている人物。また、パイプを銜えた独特な風貌や独特の口調でも有名であり、多くの芸人が物真似芸を披露している。
http://earth-words.org/archives/3098
『テレビ屋独白』 関口宏/著 文藝春秋 2012年発行
『テレビの本質』 (一部抜粋しています)
テレビが誕生して間もなく、マクルーハンという博士がアメリカで話題になった。
この博士が、「テレビの本質とは……」と言い出したのである。早速日本でもその翻訳本が出た。
テレビが好きでこの世界に入った私としては、是非モノで読まねばならないと、頑張ってみたものの、博士の論文はチンプンカンプン、頭がウニになってしまいそうで往生した。
が、、メディアというものは、「ホット」と「クール」に大別できると言ったあたりは、今でも強く印象に残っている。
「ホット」と「クール」。
そう言われても、「何のこっちゃ?」と思われる方が大半だろう。
では、映画、ラジオは「ホット」、テレビは「クール」。これならどうだろう。
「私もうウニになりそう」という声が聞こえてきそうだが、そのあたりを「マクルーハンの世界」という解説本を書いた竹村健一氏が、持論を交えながら上手く説明していた。
たとえば、映画の大事なシーンで、1匹のハエが舞い込んだらどうなるだろう。おそらく芝居もなにもドッチラケになって、観客は「金返せ!」と大騒ぎになるに違いない。もちろん映画の場合、そんなシーンは撮影中にカットになっているから、現実にはありえないのだが……。
ではテレビではどうなるか。視聴者はハエに気づいた時から、ハエの動向が気になり始め、大事なシーンをそっちのけで目はハエを追い、誰がこのハエをどうするのか、その結末に興味を示すようになると竹村氏は言うのだ。
たしかに、夏場のスタジオでは、しばしば起こることで、出演者やスタッフは、気づいていて気づかないフリをしながら、コマーシャルを待ち、コマーシャルに入ったと見るや、総出で追っ払うのである。
それをテレビで見ていた人が言うには、「面白かったね。みんなどうするのかと思ってハラハラしたよ」……竹村氏やマクルーハンの予言的中。どうやらテレビと、映画、ラジオは、その本質が異なるようである。
さらに竹村氏は言う。
映画で、画面に映っている役者が、カメラ目線で「あなた!」と叫んだとする。それを見ていた観客は、皆、自分に言われたと感じてしまう効果があるが、テレビの画面から指を向けられ「あなた!」と言われても、それほど自分のこととは思えず、つい後ろを振り返って、「おい! 何か言ってるぞ!」と言いたくなるほど、他人事にしか感じないものだそうだ。
事実、番組の最後に、視聴者に指を向けて、「また、あなたとお会いしましょう!」を売り文句にした番組があったが、それほどの効果はなかった。
また最近、カメラに向かって、「どうぞお楽しみに!」と話しかける番組宣伝が横行しているが、それを見た視聴者が、どれだけ楽しみにするかは疑問である。
つまりは、ここからは多少私の持論も混ざりこむが、「クール」とは客観性、「ホット」とは主体性と思っていただければ、少しはマクルーハンに近づけるかな……と勝手に思い込んでいる。