じじぃの「人の死にざま_1650_フランク・M・バーネット(ウイルス学者)」

Sir Frank Macfarlane Burnet (1899-1985) 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=AMf6XTYq_HQ
バーネットが考えたクローン選択説 (brh.co.jp HPより)

自然選択とクローン選択 JT生命誌研究館
私が免疫学に初めて出会ったときはポーリングの指令説は既に否定され、それに代わってオーストラリアのノーベル生物学賞受賞に輝いたバーネット(Burnet)博士が提唱していたクローン選択説が主流になっていた。
https://www.brh.co.jp/communication/shinka/2014/post_000010.html
第60回ノーベル生理学・医学賞 バーネットとメダワー「後天的免疫寛容の発見」臓器移植への道 2015年9月2日 サイエンスジャーナル
1960年のノーベル生理学医学賞は、「後天的免疫寛容の発見」である。受賞者はオーストラリアのウイルス学者、フランク・マクファーレン・バーネットと、イギリスの生物学者、ピーター・ブライアン・メダワーである。後天的免疫寛容とは何だろうか?
免疫は体内に侵入した異物を排除するシステムだ。通常の場合ウイルスや細菌、寄生虫といった抗原に対して、免疫反応が起きる。移植された臓器や輸血された血液にも免疫反応が起きて、拒絶反応が起きることがある。
この説明には自己と非自己という表現が使われるが、非自己を排除することにより、正常な状態を維持しようとするものである。もともと体内にある自己には免疫は作用しないが、本来は非自己なものであっても、自己に害を及ぼさないものには免疫が働かない状態を免疫寛容という。
http://sciencejournal.livedoor.biz/archives/5103202.html
『精神と物質―分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか』 立花隆利根川進/著 文春文庫 1993年発行
運とセンスが発見を左右する (一部抜粋しています)
――運というのは、”運がいい”の運ですか。
「そう。大発見した人はみんないうね。自分はラッキーだったって。今度いっしょにノーベル賞をもらった人で物理学賞のミュラーね。例の超伝導に関して重要な発見をした人だけど、向こうで彼と話してたら、彼も自分の発見は運がよかったからできたんだといっていました」
――利根川さんも運がよかったんですか。
「ぼくもラッキーですよ。つまりね。何かを発見するということは、研究者の努力の積み重ねだけでできるものじゃないんですね。結局、科学というのは、自然の探求のわけね。ところがネイチャーというのはロジカルじゃないんだ。特に生命現象はロジカルじゃない。ロジカルにできていれば、理づめで考えていけばわかるはずだけど、そうじゃない。ネイチャーが今こうあるのはたまたまそうなっているというだけの話なの。生物の世界というのは、何億年にもわたる偶然の積み重ね、試行錯誤の積み重ねでいまこうなっていることであって、こうなった必然性なんてないわけですよ」
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――それが運のよさということですか。もう1つの、センスというのはどういうことですか。
「これまたむずかしいんだけど、まあ、勘といってもいい。ネイチャーはこうなってるんだろうといろいろ仮説をたてるわけね。そのとき、当るも八卦という要素もあるんだけど、一方、それがわりと当る人と全然当らない人といるわけですよ。それが当る人、つまりその人の自然観が本当のネイチャーに近い人ほどセンスがいいということなんだろうね。バーネット(1899 - 1985)という有名な生物学者がいる。この人は免疫のクローン選択説という、免疫学におけるもっとも重要なセオリーを出した人です。その上、「免疫学的寛容」現象に説明を加えて、後者の方で1960年のノーベル賞をもらった人だけど、この人は、自然と何か特別の電波で交信して自然の秘密を教えてもらってるんじゃないかと冗談にいわれたほどセンスがよかった。この人は普通の人がとても思いつかない、まさかと思われる仮説をたてて、それがよく当ったんだね。ほとんどミステリアスといっていいくらいに当った。どうして彼がそういう仮説を思いついたのか、誰も説明できない。本人も説明できない。今回の受賞で、ストックホルムに滞在中に、慣例として毎年行われるスウェーデン国営放送のノーベル賞受賞者による座談会に出席した折にも、「科学的直感を信じるか」というテーマが出ましたが、出席者全員がイエスと答えました。しかしその直感、即ちぼくがここでいっているセンスの良さが、どこから来るかという疑問に対しては、なかなか明快な答えが得られませんでした。はっきりいえることは、いい発見をするにはハードワークも必要ですが、それに加えて運とセンスの両方が必要だということですね。このうちどれが欠けてもだめでしょうね」