じじぃの「人の生きざま_589_ゲルト・ビーニッヒ(物理学者)」

原子が踊る「世界一小さな映画」 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=ywCse6c0pxU
Gerd Karl Binnig、Heinrich Rohrer

世界最小の映画 最先端ナノテクノロジーが拓く記憶装置の未来 IBM
原子の大きさは?
どのように撮影したの?
この映画の元になった技術は?
この技術はどんなところに役立つの?
http://www.ibm.com/smarterplanet/jp/ja/atom/
走査型トンネル顕微鏡 ウィキペディアWikipedia) より
走査型トンネル顕微鏡(Scanning Tunneling Microscope)は1982年、ドイツの物理学者 ゲルト・ビーニッヒ(G. Binnig、1947年7月20日 - )とスイスの物理学者 ハインリッヒ・ローラー(H. Rohrer、1933年6月6日 - 2013年5月16日)によって作り出された実験装置。STM、走査トンネル顕微鏡とも言う。非常に鋭く尖った探針を導電性の物質の表面または表面上の吸着分子に近づけ、流れるトンネル電流から表面の原子レベルの電子状態、構造など観測するもの。トンネル電流を使うことからこの名がある。走査型プローブ顕微鏡の一つ。

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『すごいぞ! 身のまわりの表面科学 ツルツル、ピカピカ、ザラザラの不思議』 日本表面科学会/編 ブルーバックス 2015年発行
ノーベル賞】 ハインリッヒ・ローラー、ゲルト・ビーニッヒ――走査型トンネル顕微鏡の設計 (一部抜粋しています)
ローラー(画像参照)とビーニッヒ(画像参照)はスイスにあるIBMチューリッヒ研究所に勤める研究者でした。顕微鏡といえば、まずレンズを使った顕微鏡を思い浮かべるでしょう。レンズを使ってものを観る、という意味では、私たちの眼も同じです。これに対して、ローラーとビーニッヒは全く異なるタイプの「顕微鏡」を発明し、なんと1個1個の原子を鮮明に観察することに成功しました。
その顕微鏡は「走査型トンネル顕微鏡」と呼ばれ、光ではなく針を使った顕微鏡です。原子レベルで尖った針を使えば、表面の凸凹も原子レベルでなぞる(観る)ことができる、というわけです。と言っても、どうやってなぞったのでしょう。原子は、原子核とそれを含む電子の雲でできています。彼らは、針先の原子と表面の原子の電子雲同士がわずかに重なり合ったときに流れるトンネル電流を利用しました。トンネル電流は電子雲の重なり具合に極めて敏感です。トンネル電流が、一定の大きさになるように針先と表面の距離を一定に保ちつつ、針で試料表面をなぞったのです。この発明の前、彼らはトンネル接合と呼ばれる超伝導の研究を行っていましたが、その研究が別の形で活かされたのです。「百聞は一見に如かず」。それまでX線解析などの間接的な手法で解析していた表面の原子配列が、走査型トンネル顕微鏡によって直接観察できるようになったのです。
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これらの功績により、彼らは1986年にノーベル物理学賞を受賞しました。
ところで、走査型トンネル顕微鏡では、電流が流れない絶縁体を観察することはできません。これに対しても彼らは、原子と原子が近づいた時にはたらく微弱な力(原子間力)を用いて表面をなぞる顕微鏡(原子間力顕微鏡)を発明しました。いずれも、現在ではナノサイエンスやナノテクノロジーの研究に欠かすことのできない実験装置となっています。