じじぃの「人の生きざま_531_前田・浩(がん・医師)」

前田浩医師

本庶、前田、松村氏を予想 ノーベル賞の有力候補 トムソン・ロイター発表 2016.9.21 産経WEST
米情報会社のトムソン・ロイターは21日、独自に予想したノーベル賞の有力候補者24人を発表した。
日本人では、医学生理学賞の候補に本庶佑・京都大名誉教授(74)、化学賞の候補に前田浩・崇城大特任教授(77)と松村保広・国立がん研究センター分野長(61)の3人が選ばれた。
http://www.sankei.com/west/news/160921/wst1609210075-n1.html
2012/10/23:DDS研究所(発):米国国立癌研究所でのEPR効果にもとづく対癌戦略ワークショップで講演 崇城大学
去る10月10日、米国国立がん研究所(NCI)において、ナノテクノロジーにおけるEPR効果のワークショップが開かれました。
EPR効果は本学DDS研究所特任教授の前田浩先生が1986年に提唱された理論で、固型がんのピンポイントミサイル療法の基本概念のこと。米国のNCIのナノテクノロジー部門も本格的にEPR効果にもとづく対癌作戦を促進するということです。前田教授はそのシンポジウムのメインスピーカーとしてEPR効果発見の経緯、EPR効果の増強法について講演されました。
http://www.sojo-u.ac.jp/faculty/department/pharmaceutical/news/121023_004426.html
Science & Technology Trends Dec 2002 feature article 02
ドラッグデリバリーシステム(DDS)の研究開発動向
1986年に前田浩(熊本大学大学院医学研究科)らによってEPR効果(Enhanced Permeation and Retention effect)が提唱されてからは、固形がんに対するターゲッティング研究は大きく変化した。
図表5に示すようにがん組織にある新生血管は正常組織の血管に比べて物質透過性が高いため、分子サイズの大きな高分子化合物がより多くがん組織に透過・移行する。さらに、がん組織ではリンパ管による高分子化合物の回収機構が不完全なため、高分子化合物はがん組織内に滞留し易い7)。これをEPR効果という。
本効果により、がん細胞に血中の薬物を取り込ませるパッシブターゲッティングが行えるようになった。これにより、1986年以降の固形がんに対するターゲッティングは、それまでの抗原−抗体反応によるアクティブターゲッティングに対し、肝臓、腎臓での代謝を抑えることおよび徐放を利用したパッシブターゲッティングとして新たなスタートをきった。
http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/stfc/stt021j/0212_03_feature_articles/200212_fa02/200212_fa02.html
文藝春秋 2015年10月号
副作用のない抗がん剤への挑戦 ノンフィクション作家 奥野修司 (一部抜粋しています)
前田教授が新薬の開発に成功したのは3年前。臨床で使ってくれる病院がどこもなく、唯一、引き受けてくれたのが旧知のD(緩和ケアが専門)医師で、現在もD医師が自由診療を実地している。自由診療とは保険が利かない診療のことで、抗がん剤の量によって料金は違うが、1回あたり7万〜10万円かかるという。
前田教授は1938年生まれで現在76歳。東北大学農学部を卒業したあと、フルブライト奨学生としてカリフォルニア大学大学院を修了。帰国後、東北大学医学部で細菌学の助手を務めたあと、68年にハーバード大学がん研究所で”がん研究のゴッドファーザー”といわれるシドニー・ファーバー教授に師事した。71年に帰国してから熊本大学に移り、97年に高松宮妃癌研究基金学術賞、2011年には、S(前立腺がんで肺にがんが転移した患者)さんに使われた抗がん剤の開発の元になる研究成果、つまり高分子型抗がん剤の発見と作用メカニズムの研究で、がんの基礎研究で国内最高の賞といわれる吉田富三賞を受賞している。
がん研究のトップランナーにもかかわらず、日本でそれほど知られていないのは、発表する論文のほとんどが英文であることと無関係ではないだろう。しかしリサーチ・ゲート社によると、その論文の引用頻度は、今年の1月から7月までの7ヵ月間で世界中から2630回と、トップクラスなのだ。
それにしても、余命2、3ヵ月といわれたSさんがなぜ完全寛解を宣告されるまで回復したのか。なぜ副作用がなかったのか。その新薬と通常の抗がん剤との違いは、「薬が腫瘍の局所だけに届く」という優れた特性にある。