じじぃの「未解決ファイル_258_DNAメチル化シーケンス」

Illumina Sequencing Technology 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=womKfikWlxM
Becoming Human - Episode 3 - Last Human Standing 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=HAaM1XHXPdc
ネアンデルタール人

スバンテ・ペーボ: DNAがつなぐ私たちの内なるネアンデルタール人 動画 ted.com
遺伝学者スバンテ・ペーボ博士が、国際的な大規模研究の結果から、現代人の祖先がアフリカを旅立った後にネアンデルタール人と交配したという、遺伝的証拠を紹介します。私たちの多くはネアンデルタール人のDNAを持っているのです。また、博士は小指の小骨から新しいヒトの種を発見した経過も説明します。
http://www.ted.com/talks/svante_paeaebo_dna_clues_to_our_inner_neanderthal?language=ja
クローズアップ現代 「“いのち”を変える新技術 〜ゲノム編集 最前線〜」 2015年7月30日 NHK
【キャスター】国谷裕子 【ゲスト】山中伸弥京都大学iPS細胞研究所所長)
アメリカでは、血液の中の遺伝子をゲノム編集し、エイズウイルス感染者のウイルスを減らす治験が行われ、効果が出ている。他にも、がんや難病など、様々な病気への応用研究が進む。一方で、今年4月、中国の研究チームが、ヒトの受精卵の遺伝子を操作、その規制の在り方が世界的な議論になっている。遺伝子を自在に操ることがきる「ゲノム編集」。その可能性と課題を探る。
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3694.html
ネアンデルタール人は私たちと交配した』 スヴァンテ・ペーボ/著、野中香方子/訳 文藝春秋 2015年発行
バクテリアのDNAを取り除く闘い より
彼(ケイ・ブリューファー)がミーティングでこの観察結果を説明している最中に、わたしにはことの次第が見えてきた。もっと早くそれに気づくべきだった! おおかたの分子生物学の教科書には、CGの配列(Cの跡にGが来る)は哺乳類のゲノムでは比較的珍しいと書かれている。なぜなら哺乳類のゲノムでは、4種の塩基の中でCのみ、それもCG配列のCのみが、特異的にメチル化するからだ。このようにメチル化したCは化学的に変化するため、DNAのポリメラーゼが読み間違えて、Tに置き換えることがある。その結果、何百万年もたつうちに、哺乳類のゲノムでは、ゆっくりとながら着実に、CGの配列が減っていったのだ。対してバクテリアのゲノムでは、Cのメチル化は起きないか、起きても稀なため、CGの配列はよく見られる。
さて、この情報をどう活用すればいいのだろう。その答えもすぐ明らかになった。バクテリアは「制限酵素」という酵素を作る。その酵素は、特別な配列(CGCG、CCCGGG)の中かすぐ隣でDNAを切断する。したがって、ネアンデルタール人のDNAライブラリにその酵素を入れたら、酵素バクテリアのDNAをばらばらに切断し、一方、ネアンデルタール人のDNAは無傷のまま残すだろう。その結果、バクテリアのDNA配列は読めなくなり、ネアンデルタール人のDNAの比率を上げることができる。
ケイはシーケンスを独自に分析し、特に効果が認められた8個の制限酵素を入れることを提案した。わたしたちはさっそくそれらの酵素でライブラリのひとつを処理し、シーケンスを行った。すると、ネアンデルタール人のDNAは4パーセントではなく、約20パーセントになった! となれば、454社のシーケンサーに700回ほどかければ、目標を達成できる。実行可能な回数だ。このちょっとした工夫で、不可能が可能になったのだ。唯一の難点は、酵素のせいで、ネアンデルタール人のDNAの一部、特にCとGが続く配列が失われる可能性があることだった。しかし、別の酵素を組み合わせたり、酵素を使わずにシーケンシングした結果と照合すれば、消えた配列を見つけることができるだろう。この制限酵素のアイデアを、454社のエグホルムに説明すると、彼は、「すばらしい!」と言った。初めて、成功の見通しが立った。
新たなシーケンサー会社に切り替える決断 より
もっとも、残念ながら、イルミナには454社のようなシーケンシング・センターがなかったので、わたしたちはそのシーケンサーを購入しなければならなかった。人気商品だったので、半年後にようやく入手できた。その頃には、性能が向上して70ヌクレオチドを読み取れるようになっていたが、依然としてエラーは多く、読み取る配列が多くなるほど、エラーも増えた。2008年にはアップグレードして、DNA断片の両端からシーケンシングできるようになった。わたしたちが持っているネアンデルタール人の断片は、平均でヌクレオチド55個分の長さしかないので、両端から読めば、ひとつの配列を2度(逆方向で)読むことになり、より正確な配列の情報が得られるようになる。
イルミナのデータを分析するという難題を引き受けたのは、マルティン・キルヒナーだ。2007年夏ジャネット・ケルソー率いる生物情報科学グループに加わった大学院生だ。少年のようなルックスとチャーミングな笑顔の裏に、傲慢と言っていいほどの自信が感じられた。おそらく彼が個人的に師と仰ぐウドの影響だろう。最初の頃はその自信に何度もいらいらさせられたが、往々にして彼の意見が正しいことにわたしは気づき始めた。実際、彼は非常に有能だった。専門的な問題をすぐ把握し、シーケンサーから続々と吐き出されるデータをいくつものコンピュータに割り振り、シーケンサーを操作している技術員に的確にフィードバックする。何より、彼は猛烈に働く。わたしだけでなくケルソーも、ほかのみんなも、イルミナのシーケンサーを操作し、コンピュータにデータ分析させるのに、マルティンはなくてはならない存在だと感じ始めた。
2008年初めには、ネアンデルタール人のゲノム解読をそれなりの期間で達成するには、454方式と手を切るしかないということがはっきりしていた。454方式の長所は、長いDNA断片も読み取れることだったが、わたしたちのDNA断片は短いので、何のメリットもなかった。わたしたちが求めているのは、大量の短い断片を、できるだけ早く解析することだ。量に関してはイルミナの方が圧倒的に勝っていた。しかし、454方式からの移行はすんなりとはいかなかった。エド・グリーンたちが懸命に組み立ててきたのは、454方式用のプログラムだったからだ。イルミナ方式に切り替えるには、データ処理方法をいちから作り直し、別のシーケンス・データと統合しなければならない。イルミナのテクノロジーは、誕生して間がなかったので、このような問題を解決する市販のソフトウェアは存在せず、わたしたちはすべてを自力でこなさなければならなかった。

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どうでもいい、じじぃの日記。
スヴァンテ・ペーボ著『ネアンデルタール人は私たちと交配した』という本を読んだ。
ネアンデルタール人は、現生人類にもっとも近いヒト族だったが数万年前に絶滅し、その遺伝子は絶えたと思われていた。
しかし、この著者たちは数十年に及ぶ苦闘の末に、化石骨からネアンデルタール人のDNAを復元した。そして、そのDNAが現生人類の中に2〜5%残っているという衝撃の事実を明らかにした。
ネアンデルタール人と現世人類の交配が起きたのは4〜9万年前だとされている。もし彼らが生きていて、街中を歩いていても気づかないだろうともいわれている。
最近では、ネアンデルタール人のクローンが提案されている。
iPS細胞にネアンデルタール人のゲノム情報を入れると、腸や肝臓、脳を再現することが可能になる。
DNA増幅の新技術「次世代シーケンサー」とスーパーコンピュータを組み合わせれば、数年内に可能らしい。
ネアンデルタール人がどんな人間だったのかを知ることは、我々の未来を知ることにもなる。