じじぃの「神話伝説_120_アダムとイブ(メソポタミア神話)」

The History Of Yahweh ..(The Hebrew God Of The Bible) 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=gC3NXOFT9no
Enki & Ninmah Sumerian Translations 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=wg7shBzVwGw
メソポタミア文明
シュメール人の文化、暮らしはいろいろな伝説や物語に、大きな影響をあたえています。
たとえば、旧約聖書にはシュメールの影響がかなりあります。
旧約聖書の最初の話、神が世界と人間を創造する話があります。
神が「光あれ」といって光ができる。これが一日目。二日、三日といろいろ造って、六日目に人間を造って、七日目にお休みします。これは、シュメールの七曜の影響。
それからアダムとイヴの話。
神が泥からつくりあげた最初の人間がアダム。一人じゃ寂しかろうと、神はアダムの肋骨を一本採って、これで女イヴを造る。二人は、裸のままの姿でそれを恥ずかしいとも思わずに、働かなくても暮らせる地上の楽園、エデンの園に住んでます。
http://www.geocities.jp/timeway/kougi-4.html
『シュメール文明―古代メソポタミア文明の源流』 ヘルムート・ウーリッヒ/著、戸叶勝也/訳 佑学社 1979年発行
人生は飛ぶ矢の如し より
最も古い時代に符号で埋められた粘土板が何語で書かれたかということを確定するのは長らく楔形文字研究者にとって困難な問題であった。デーリッチュはバビロニア語の最も古い形に違いないと主張したが、一方シュメール語であると主張する学者も、それを言語的に立証することはできないでいた。それができたのは、1957-58年にジェムデット・ナスルが発掘した起源前2800年頃の碑銘が解読された時であった。その時、後のシュメールの文章に照らし合わせて、間違いなくシュメール語であることが確認されたのである。
この謎解きに役立った碑銘はたったの3綴りから成り立っていた。初めのen とlil は、我々には馴染めの名前Enlil を形成する。しかし、このシュメールの神の名前だけでは、それが果たしてシュメール語なのかどうかをはっきりと立証することはできない。それはもしかして初期の言葉から借りてきて逐語的に翻訳したものかもしれなかったから。だが3番目の記号は、矢であり、これが楔形文字学者の研究に大いに役に立ったのである。それは、発見された粘土板の言語が、矢という符号とEnlil の名称が意味連関を持っている言語に違いないとの推測を抱かせた。
シュメール語では矢はti という。ti は武器であると同時に人生をも表わした。これで謎は解けた。En-lil-ti はシュメール語であり、その意味は<エン・リルは人生である>とか、もっと意訳すれば<神が人生を与えた給う>となる。
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しかしこのシュメール語のti という綴りは、先史時代への思弁を揺すぶるだけではない。フランスの楔形文字専門家ペール・シャイルとサミュエル・N・クレーマーは、この綴りから別の驚くべき局面を導き出したのである。それは旧約聖書創世記の中の、あの秘密めいた箇所に関連がある。その箇所をまず引用しよう。<そこで主なる神は人を深く眠らせ、眠った時に、そのあばら骨の1つを取って、その所を肉でふさがれた。主なる神は人から取ったあばら骨でひとりの女を造り、人のところへ連れてこられた>
シュメール語では、あばら骨もti で表わす。あるいはそれが矢の形をしているところからくるものかもしれないし、また昔は骨の破片から矢の先を作ったところからくるのかもしれない。ところがti には、これら互いに相似た即物的な理由づけの外に、ほとんどすべてのシュメール語同様、神話的な背景もある。
それは大地の神エンキが行った誘惑とそのみじめな結末の話に関連している。エンキが女神ニンフルサンガ作るところの薬草にあたって病気になった時、顎や歯、口や腕などと並んであばら骨も悪くなった。
悪賢い狐に逃亡先から連れ戻された女神ニンフルサンガは、病に倒れているエンキを見て、次のような詩句で問いかけた。<わが兄弟よ、どうなさいました?>と彼は答えた。<わしのあばら骨が痛むのじゃ>これに対して、ニンフルサンガは<女神ニンティを、私はあなたのためにお生みしました>と言った。
ニンティはエンキのあばら骨によって病がいえる女神である。その名前をシュメール語から翻訳する場合、ニンティはあばら骨の女神と名付けることができよう。この言葉はもっと広義にとって、生を創り出す女神と解することもできる。
シュメール神話と旧約聖書の間に見られる数多くの類似性を考えれば、イブがアダムのあばら骨から作られたとする聖書の伝承の背景には、あばら骨と人生とが同じti という多義の符号の中に表わされているシュメールの古い記憶が横たわっていると見ても、あながちはずれてはいないようである。