じじぃの「未解決ファイル_207_生命の理解」

Systems Biology Animation 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=lmB0xoRP9l4
高校理科から最先端研究へ〜つながるサイエンス〜「生物−細胞小器官編」 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=MGkmRECIjlE
クレイグ・ベンター:「人工生命」について発表する 2010年 Video on TED.com
クレイグ・ベンターのチームが歴史的な発表を行いました。完全に機能する、人工のDNAによってコントロールされた自己増殖する細胞を初めて作り出したのです。どのようにしてこれを達成したのか、この成果が科学の新しい時代の幕開けとなる理由を語ります。
http://www.ted.com/talks/lang/jpn/craig_venter_unveils_synthetic_life.html
人工生命 ウィキペディアWikipedia)より
人工生命は、人間によって設計、作製された生命。生化学やコンピュータ上のモデルやロボットを使って、生命をシミュレーションすることで、生命に関するシステム(生命プロセスと進化)を研究する分野である。人工生命は生物学的現象を「再現」しようと試みる点で生物学を補うものである。
システム生物学 ウィキペディアWikipedia)より
システム生物学(システムバイオロジー、システムズバイオロジー、英語: systems biology)は、システム工学の考え方や解析手法を生物学に導入し、生命現象をシステムとして理解することを目的とする学問分野。
ヒトゲノム ウィキペディアWikipedia)より
ヒトゲノムは、その名の通りヒト(Homo sapiens)のゲノム、すなわち、遺伝情報の1セットである。ヒトゲノムは核ゲノムとミトコンドリアゲノムから成る。

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『ゲノムが語る生命像 現代人のための最新・生命科学入門』 本庶佑/著 ブルーバックス 2013年発行
生命はどこまで理解できるか (一部抜粋しています)
ヒトゲノムの完全解読の結果、われわれは基本的に生命の設計図を手に入れたと考えられた。ここから生命のすべてを理解できるのではないかという期待の一方に、生命のすべてを理解することは永遠に不可能ではないかという悲観論も依然として存在する。まずここで、我々が生命を理解するということへの意味を考える必要がある。生命現象の基本的な原則を理解し、さまざまな生命現象を分子レベルで記載することは、生命を理解するということの1つのステップである。しかし、ゲノム上に存在する数万の遺伝子とその代謝産物、またこれらの制御因子を全体として捉えることがはたして可能であろうか。
このように、多数の分子の相互作用を一体的に理解し、分子レベルの状態から統合された生命現象のレベルにまで一気に理解をつなげようとする試みとして、システムスバイオロジーという分野が近年活発である。
システムスバイオロジーの研究者は、大きな計算能力を持つコンピューターに膨大なパラメーターを与え、数式から演繹的に生物機能を引き出すことを試みている。簡単に言えば、一種のシミュレーションとして生命現象を捉えようとするものである。この試みは、今日部分的には成功していると言える。たとえば、さまざまな物理的なパラメーターを使って心臓の拍動をコンピューター上に再現するという試みがある。ただし、これはもちろん心臓に存在するすべての分子の情報を統合することとは違う次元のものである。また、ある薬物に応答する細胞内応答機構をコンピューターシミュレーションし、細胞の反応性を測定する仕組みを立ち上げることも活発に行われている。
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さて、われわれは最初の問いに返り、生命を理解するというのはどのような状態にいたることなのかを、われわれ自身が問いたださなければならない。有限でありながらこれだけ多くのパラメーターを抱えた生物の状態は、たとえ1個の細胞の状態ですら方程式として記載することは至難の業と言わざるをえない。今日、ウイルスの遺伝子を人工合成し、これを宿主細胞に導入してウイルスを作り出すことは可能である。このことから、ウイルスレベルの生命体に関して、われわれは生命というものの働きをかなり理解したと考えることはできるかもしれない。しかし、すでに述べたごとく、ウイルスは生命体としての機能の一部を持っているにすぎず、生命の本質の全体像の理解からはまだ遠い。生命の理解に向けて、われわれはまだ遠い道のりを歩まねばならないであろう。

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どうでもいい、じじぃの日記。
本庶佑著 『ゲノムが語る生命像 現代人のための最新・生命科学入門』を読んでいたら、「生命はどこまで理解できるか」があった。
「今日、ウイルスの遺伝子を人工合成し、これを宿主細胞に導入してウイルスを作り出すことは可能である。このことから、ウイルスレベルの生命体に関して、われわれは生命というものの働きをかなり理解したと考えることはできるかもしれない。しかし、すでに述べたごとく、ウイルスは生命体としての機能の一部を持っているにすぎず、生命の本質の全体像の理解からはまだ遠い」
そういえば、2010年、アメリカのクレイグ・ベンター博士のグループが科学雑誌サイエンスに、108万個の塩基配列を持つヒトゲノムを人工的に合成することに成功した、という記事が載った。
合成したヒトゲノムを別の細菌に移植したところ、ヒトゲノムが細菌をコントロールして、細胞分裂やタンパク質合成など自己増殖する細胞を作ることができた、というものだった。
あれは、ウィルスの細胞が作れるというだけのことだったのか。
自己増殖する細菌は作れても、我々のような生命を作り出すことはそんなに単純じゃないんだ。
ウィルスは作れても、大腸菌は作れないということか。