じじぃの「ルーウィン教授の感動講義・ビッグバンはどんな音がしたのか?これが物理学だ」

エレガントな宇宙(超ひも理論)第2回"ひも"の振動が万物をうむ 動画 YouTube
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モーツァルト きらきら星変奏曲 K.265 動画 YouTube
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Mark Whittle's Home Page
http://www.astro.virginia.edu/~dmw8f/index.php 
『これが物理学だ!マサチューセッツ工科大学「感動」講義』 ウォルター・ルーウィン著、東江一紀訳 文藝春秋 2012年発行
ビッグバンはどんな音がしたのか (一部抜粋しています)
音に関するこれらのルールは地球の外でも通用するのだろうか? あなたは、宇宙に音は存在しないという話を聞いたことがあるだろうか? それはつまり、月の表面でどれほど力強くピアノを弾いても、音はまったくしないということだ。ほんとうにそうなのだろうか? 確かに、月には大気が存在しない。基本的にはその環境は真空だ。ゆえに、あなたは、おそらくやや悲しげな表情を浮かべ、星や銀河のすさまじく壮大な衝突さえもまったく音のない世界で進むのだと思うことだろう。140億年昔にこの宇宙を想像したビッグバンさえ、一切の音を立てずに起こったのだ、と思うかもしれない。しかし、結論を急いではならない。生物の大半がそうであるように、宇宙は、数十年前にわたしたちが想像していたより、はるかに混乱していて、はるかに複雑なのだ。
もちろん、わたしたちは宇宙に放り出されたら酸素欠乏ですぐ死んでしまうが、しかし宇宙は、深宇宙さえも、完全な真空ではない。それはあくまで比較の話で、惑星間や銀河間の宇宙は、地球上で作りうるどんな真空よりも完全な真空に近いが、宇宙空間に浮かぶ物質を無視することはできない。
これらの物質の大半は、プラズマと呼ばれるイオン化した気体――水素の原子核プロトン)や電子のような電荷した粒子で構成される気体――で、その密度は場所によって大きくなる。プラズマは太陽系にも存在し、太陽から噴き出すそれは、「太陽風」と呼ばれている。(この現象については、宇宙物理学者ブルーノ・ロッシがはるか昔に予見していた)。プラズマは、星にも、星と星の間にも存在し、(この場合、星間物質と呼ばれる)、銀河と銀河のあいだにも存在する(こちらは銀河間物質と呼ばれる)。天文学者の多くは、宇宙で観察される物質の99.9パーセントはプラズマだとみている。
こう考えてみよう。物質が存在するところでは、圧力波(すなわち音波)が生まれ、伝播する。そして(太陽系に限らず)宇宙のどこにでもプラズマが存在するのであれば、わたしたちには聞こえないとしても、多くの音波が存在するはずだ。わたしたちの耳は、かなり幅広い周波数の音――実際のところ、最低周波数と最高周波数では1000倍もの差がある――を聞き取ることができるが、宇宙の音を聞くようにはできていない。ひとつ例を挙げよう、ペルセウス座銀河団は地球からおよそ2億5000万光年離れたところにある巨大な銀河団だが、2003年、その銀河団に属する銀河の中心にある、巨大なブラックホールを取り巻く非常に高温のガス(プラズマ)に、波紋が発見された。それは、物質がブラックホールに呑み込まれたときに放出された莫大なエネルギーによって発生した音波だった。物理学者がその周波数を調べ、その音はBフラットだと明かした。Bフラットとは、ピアノの中央のドの57オクターブも下の非常に低い音だ。
ビッグバンの話に戻ろう。宇宙を誕生させたその爆発が、最初期の物質――一気に膨張し、その後冷えて、銀河や恒星や惑星になった物質――の中に圧力波(音波)を生じさせたのだとしたら、その名残を今でも見ることができるはずだ。そこで、物理学者たちは太古のプラズマに刻まれた最初の波と波のあいだがどのくらい離れていたか、そして、宇宙が130億年にわたって膨張してきた現在、さらにどこまで離れたかを計算した。そして、最初の波長は50万光年で、今では5億光年になっていることを突き止めた。
現在、銀河のマッピングをするふたつの巨大プロジェクトが進められている。ニューメキシコ州で進行中のスローン・デジタル、スカイサーベイ(SDSS)と、オーストラリアで進行中の2dF銀河赤方偏移サーベイだ。どちらも宇宙に刻まれた波紋を観察し、同じことを発見した。さて何だろう? それは「銀河と銀河は、5億光年離れている場合が最も多い」ということだ。つまりビッグバンが鳴らしたゴングの低い音は、現在、5億光年というとれつもなく低い波長を持っているのだ。その周波数は、わたしたちが聞き取れる音の50オクターブも下(1015分の1)である。天文学者のマーク・ホイットルはその音を特殊なソフトウエアで再現し、「ビッグバン・アコースティック」と名づけた。彼のウエブサイトhttp://www.astro.virginia.edu/~dmw8f/index.phpを訪ねれば、あなたもそれを聞くことができる。彼は時間を圧縮し(1億年を10秒に圧縮)、誕生してまもない宇宙の音を人工的に50オクターブ高くして、ビッグバンが創造した音楽を人間の耳でも聞こえるようにしたのだ。
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ここで、一気に原子より小さな世界に飛び、原子核よりずっと小さいバイオリンの善が、異なる倍音の周波数で振動しているところを想像してみよう。言いかえれば、物質の基本的構成要素は、振動する微小なひもであり、それがさまざまな規模の、異なる倍音の周波数で振動して、いわゆる素粒子――クォークグルーオンニュートリノエレクトロンを生み出していると考えるのだ。それができれば、あなたはひも理論の基本概念を理解したことになる。ひも理論は、この宇宙のすべての力、すべての素粒子を説明しうる唯一の理論を構築しようとしてきた40年にわたる理論物理学者たちの努力の結晶である。言うなれば、”万物”を説明する理論なのだ。
この理論が成功しているかどうかは、誰にもわかっておらず、ノーベル学賞を受賞したシェルドン・グラショーは、それについて、「物理学の理論なのか、哲学の理論なのかわからない」と評している。しかし、もしひも理論が正しくて、この宇宙の最も基本的な単位が、さまざまなレベルで共鳴する、想像も及ばないほど小さなひもなのだとしたら、宇宙とその力と素粒子は、単純なメロディが徐々に複雑になっていくモーツアルトピアノ曲『きらきら星変奏曲』の宇宙版と言えるかもしれない。

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どうでもいい、じじぃの日記。
ウォルター・ルーウィン著 『これが物理学だ!マサチューセッツ工科大学「感動」講義』を見ていたら、「ビッグバンはどんな音がしたのか」が出てきた。
「物理学者たちは太古のプラズマに刻まれた最初の波と波のあいだがどのくらい離れていたか、そして、宇宙が130億年にわたって膨張してきた現在、さらにどこまで離れたかを計算した。そして、最初の波長は50万光年で、今では5億光年になっていることを突き止めた」
ふう〜ん。ビッグバン爆発で第1波の波、第2波の波、・・・がそれぞれ、銀河団になっていったのか。
音といえば、周波数。周波数といえば弦。弦といえばひも理論。
結局、この世はひも理論に行き着くのかなあ?
ビッグバンは「バーン」と爆発したわけではなかったようだ。