じじぃの「人の生きざま_259_深澤・倫子」

長沼毅 南極の氷はタイムマシン 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=BkA_ltRys_0
南極 画像
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/e0/Antarctica_6400px_from_Blue_Marble.jpg/200px-Antarctica_6400px_from_Blue_Marble.jpg
深澤 倫子(FUKAZAWA Tomoko) 明治大学
研究テーマ:水素結合性物質の構造と物性
受験生・学生へのメッセージ:
私たちの研究室では,「水の物理化学」をキーワードに,水分子が関連する様々な物質の物性と機能を原子・分子レベルのミクロな視点から研究しています。特に,惑星科学・エネルギー工学の分野で注目されるクラスレートハイドレート,環境科学の分野で重要な氷,医用材料等として応用性の高いハイドロゲルを中心に研究を展開しています。
http://www.meiji.ac.jp/sst/grad/teacher/04/6t5h7p000001cfm4.html
『ビヨンド・エジソン 12人の博士が見つめる未来』 最相葉月/著 ポプラ社 2009年発行
南極の「空気の化石」に地球の歴史を見る (一部抜粋しています)
南極大陸の氷床の奥深くに、「空気の化石」と呼ばれる氷が眠っているのをご存じだろうか。冷蔵庫でつくる氷のように、南極の氷も氷床の浅い部分には気泡が含まれている。ところが、深い部分になると氷の重みで気泡が押しつぶされ、そのうち透明な状態になる。実はその中に、肉眼では見えない100ミクロン程度の小さな結晶が存在する。これが「空気の化石」、クラスレート・ハイドレートだ。
発見したのは日本人研究者の庄子仁らで、1982年夏、世界的な科学誌「ネーチャー」に発表された。以来、数十万年という長い年月のあいだに降り積もった雪とともに閉じ込められた南極の氷の中の空気は、太古から今に至る地球環境の変化を知ることのできる貴重な情報源といわれている。
明治大学理工学部応用化学科准教授の深澤倫子は目下、このクラスレート・ハイドレートの研究に取り組んでいる。
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南極の氷の研究はそもそも1970年代にロシアの研究チームによって始められ、地中を深く掘削するボーリング技術の進んだ80年代に本格的な空気組成の解析が行われるようになった。庄子仁らがクラスレート・ハイドレートを発見したのもそのころだ。
解析方法はまだ未熟だった。氷塊を溶かして計測するため、空気分子がどんな状態で存在しているかまではわからない。南極は温度が低いために雪の粒が小さく、1年間に積もる厚さは薄い。積もった雪で圧縮されるとさらに薄くなり、氷床の奥深くになると1年間にできる雪の層は厚さたった数ミリ程度だ。氷塊を溶かしてしまうと、解析の制度が落ちるのは当然だろう。
では、どの場所にどんな濃度で分子が存在するかを知るためにはどうすればいいか。そこで深澤が採用したのが、高い空間分解能、すなわち、空気分子の分布をそれぞれが接近した位置にあっても別のものと認識できる高い感度で調べることができる、ラマン分光法だった。緑のレーザーを試料にあて、試料が散乱する光の振動数と強度から分子が結合する強度や密度を測定する方法だ。このラマン分光法は、深澤の研究に思いも寄らぬ展開をもたらした。
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深澤は、このまったく新しい分子拡散のメカニズムをBBM(Breaking Bond Mechanism)と名づけ、2004年に「ジャーナル・オブ・ケミカル・フィジクス」誌に発表した。BBMは、深澤のさきがけ研究の中でも最大の発見だった。
「大気中の二酸化炭素濃度の時間変化についてはすでに南極の氷を用いたデータがあるのですが、BBMによる拡散を考慮すると少しずれてくると思います。今はまだ計算中なのですが、いずれ修正が必要になるのではないかと提案しています。空気分子の拡散の影響がしっかりと解析できれば、たとえば、温度変化と二酸化炭素とメタンの濃度変化を時間軸で見ていく場合にも、何が先に上がり始めたのか、温度が先なのか、二酸化炭素が先なのかがわかるのではないでしょうか。どういうことかというと、地球環境に変化が起こるときに、何が最初に警告を発しているかを知ることができるということです。細かい部分はまだわからないのですが、いずれは過去の大気組成復元法を確立できるだろうと思っています」
無理と思うことにチャレンジせよ――前教授の言葉を胸に走り続けた深澤が、ようやく手にした輝かしい成果だった。

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