じじぃの「ノーベル賞の誘惑・学界を揺るがした捏造論文!悪意の情報を見破る方法」

東京大学 分生研 不正論文疑惑(コピペ画像掲載の論文捏造疑惑) 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=on5lmd-pxiU
ソウル大でまた幹細胞研究の論文捏造か  2012/6/3 日本経済新聞
韓国のソウル大教授が学術誌に投稿した幹細胞研究の論文14本に捏造(ねつぞう)の疑いが浮上し、波紋を呼んでいる。教授は「単純ミス」と釈明しているが、事態を重く見た同大は5月30日に調査委員会を設置、真相の究明に乗り出した。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0300G_T00C12A6FF2000/
エブリン・フォックス・ケラー「動く遺伝子 トウモロコシとノーベル賞晶文社 石館三枝子・石館康平訳 ちくわぶ
この本は、多様な側面を併せ持っている。読む人の視点によって、それぞれ違った物語が展開されるだろう。
ひとつは、とても幸せなオタクの物語だ。世間の人とは大きく異なる価値観を持ちながら、大好きな事を仕事に得て、充実した人生を送った人の物語だ。
ひとつは、あまりに先進的でありすぎるが故に世間に受け入れられなかった仮説が、どのように受け入れられていくか、その過程を綴った物語だ。
http://chikuwablog.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-2bab.html
『奇想天外な科学実験ファイル―歴史を変えた!?』 アレックス・バーザ/著 鈴木南日子/翻訳 エクスナレッジ 2009年発行
有能な洗脳 より
スコットランドで長老派教会の牧師の一人息子として生まれたキャメロンは、大きな野心を持ってトップへと上りつめ、1950年代後半には世界で最も尊敬される精神科医の一人になっていた。キャメロンはケベック州、カナダ、アメリカの精神医学会の会長を務め、その後、世界精神医学会の共同創設者となる。そんなキャメロンにもひとつ不満があった。それはノーベル賞を受賞していなかったことだ。そこでキャメロンは、統合失調症の治療法を発見するための実験計画に乗り出した。これが成功すれば、ノーベル賞受賞は間違いない。キャメロンは患者本人の意思にかかわらず、またときには統合失調症ですらない患者までも実験台にした。
キャメロンが思いついた治療法からは、彼の自信過剰ぶりがうかがえる。キャメロンはやみくもにいくつかの実験的治療法を組み合わせた。目に留ったものは何でも試し、そして本物のフランケンシュタインの怪物を作りだした。

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『「悪意の情報」を見破る方法』 シェリー・シーサラー/著、菊池誠/解説、今西康子/訳 飛鳥新社 2012年発行
学界を揺るがした捏造論文 (一部抜粋しています)
査読者をはじめとする科学界のメンバーは、ときに革命的アイデアを見逃してしまうばかりでなく、論文の不正を見抜けないことがある。2002年、論文捏造が物理学界を揺るがした。1990年代の末から、米国ニュージャージー州にある世界的に有名なベル研究所に所属するドイツ生まれの若手物理学者、ヤン・ヘンドリック・シェーンと同研究所の同僚たちが、複数の最先端分野に革命をもたらすような論文を次々と発表していった。調査委員会の調べでついに不正行為が発覚するまで、平均して8日に1本という驚異的なペースで主要な学術雑誌ばかりに論文を発表していったのである。
彼らはスイッチング素子(コンピューター内で電気を送ったり送らなかったりのオン・オフの切り替えを制御する極小サイズのスイッチ)の研究をしていたが、素材を組みあわせることで驚くべき性能の素子が得られたという。たとえば、酸化アルミ薄膜をのせることにより、電気伝送性の低い素材に超伝導を起こすことができたというのである。
こう述べただけではそれほどすごいことのようには聞こえないかもしれないが、シェーンの論文は物理学分野での被引用回数がトップレベルを誇り、もし後述のスキャンダルが発覚しなければ、彼の研究はノーベル賞の有力候補と目されていた。
ところが、2002年5月10日、シェーンの複数の論文にデータの重複が見られることを外部の研究者から指摘されたベル研究所は、シェーンの研究論文の調査に乗りだした。シェーンの論文のデータ捏造が明らかになる以前から、科学者たちのあいだには、この分野の研究に多大な精力と多額の資金を投入しているにもかかわらず、他の研究所ではシェーンの画期的な成果の多くを再現できないのはなぜだろうかという疑問の声が上がり始めていた。2002年9月25日、ベル研究所は、シェーンが広範囲におよぶ不正行為を行なっていたと結論づける調査報告書を公表した。
シェーンの論文捏造事件から数年ののち、韓国の研究者、黄禹錫(ファン・ウソク)がヒトクローン胚(はい)からのES細胞の作製に成功したと発表したが、やはりそれも捏造であることが判明した。今回もまた、論文が発表された後に、他の科学者がそれを精査し、実験結果を再現しようと試みるなかで、その論文に問題があることが明らかになったのだった。
実験成功のポイントを知ろうとする科学者たちは、自分が行った実験の結果と、論文に発表された同一の実験結果を比較しながら、実験の材料、装置、手順を細かくチェックする。そのようにして追試を何度試みても、その実験を再現できない場合には、元の研究論文に疑いの目が向けられることになる。
シェーンも黄禹錫もともに、先端科学分野の最前線にいた。不正を働きながら発覚せずにいられるはずがなかったのだ。もし地味な分野の研究をしていたのであれば、捏造が露見するまでにもっと時間がかかったかもしれないが、その分、頻繁に新聞雑誌の見出しを飾る興奮を味わうこともなかったはずである。彼らがなぜ倫理にもとる行為をしたのかはおそらくわからぬままだろうが、いずれにせよ、彼らが科学者として生きる道は閉ざされてしまった。シェーンがデータを捏造したという証拠は見つからなかったが、それでも大学側は彼の博士号を剥奪した。先例のない制裁措置だった。
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マクリントック、シェーン、黄禹錫の事例から見えてくるものこそ、エブリン・フォックス・ケラーがバーバラ・マクリントックの伝記『動く遺伝子――トウモロコシとノーベル賞』の中で、科学知識の成長を規定する「個人と集団力学の絡みあい」と呼ぶものに他ならない。個人が単独で科学知識を押し進めようとしても、それは実際不可能なこと。個人と集団とのさまざまなレベルでの交流を通じてこそ、科学は発展していくのである。

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どうでもいい、じじぃの日記。
図書館の中で新刊書コーナーを覗いてみたら、『「悪意の情報」を見破る方法』という本があった。
パラパラ、本をめくっていたら「学界を揺るがした捏造論文」があった。
この本には、すでに広く浸透している世界観を覆すような発見をしたと主張する者があらわれたら、まずその研究者の人間性を疑ってみることが必要だ、と書いている。
発表者が健全なる精神の持ち主なのかどうか確かめろ、ということらしい。
そういえば昔、ノーベル賞がほしくて、金をばら撒いて掴み取った政治家がいたらしい。
http://yoshiko-sakurai.jp/2009/09/03/1306