じじぃの「人の死にざま_1031_I・アンダーソン」

Duke Ellington - Ivie Ivy Anderson - I Got It Bad And That Ain't Good  動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=iJfII6gcVCo
Duke Ellington and Ivy Anderson, 1931 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=idPX5QzKyeM
THE FIVE O'CLOCK WHISTLE ~ Ina Ray Hutton & Her Melodears 1940.wmv 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=ORr-4tKQolc&feature=related
Ivie Anderson Wikipedia より
Ivie Anderson (sometimes Ivy) (July 10, 1905 - December 28, 1949) was an American jazz singer. She is best known for her performances with Duke Ellington's orchestra between 1931 and 1942.

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Five O'Clock Whistle
The five o'clock whistle's on the blink,
The whistle won't blow and whadd'ya think
My pop is still in the factory
'cause he don't know what time it happens
To be
The five o'clock whistle didn't blow
The whistle is broke and whadda'ya know
If somebody don't find out what's wrong
Oh, my pop'll be workin' all night long
Oh! Who's gonna fix the whistle
Won't somebody fix the whistle
Oh! Who's gonna fix the whistle
So my poor old pop
Will know it's time for him to stop
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『村上ソングズ』 村上春樹/著、和田誠/著 中央公論社 2007年発行
5時のホイッスル (一部抜粋しています)
デューク・エリントンのバンドには数多くの優れたシンガーが去来したが、誰がいちばん心に残るかと訊かれれば、まず、アイヴィ・アンダーソンの名前が浮かんでくる。声も歌心もテクニックもたたずまいも、どれをとっても文句のつけようのない見事な歌手である。残念ながら健康にめぐまれず、若くして引退してしまったこともあって、個人名義で残されたレコードはきわめて少ない。だからリー・ワイリーやミルドレッド・ベイリーといった、同時代の歌手に比べて知名度は今ひとつだが、じっくりと聴き込むと、そこには珠玉のような深い味わいがある。
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この「5時のホイッスル」はとりたてて「名曲」として後世に残っているわけではない。アイヴィはエリントン楽団とともに、遥かに有名な歌唱を数多く残している。たとえば「スイングがなければ意味はない」とか「好きだけど、つらいね(I Got It Bad And That Ain’t Good)」とか。そういうものに比べると、「5時のホイッスル」はどちからといえば軽みが強調されたコミカルな歌だ。ナンセンス・ソングと言ってもいいかもしれない。歌詞にも深みがあるとは、とても言えない。しかしひとたびアイヴィ・アンダーソンがこのシンプルな歌を取り上げると、ボビー・ショートが指摘するように、そこには何かしらもっと深い意味のようなものが感じられることになる。そこには情景が生まれ、その情景からひとつの物語が立ち上がっていく。
田舎の貧しい黒人一家、アメリカの不況の時代はまだ続いている。父親は9時から5時まで、安い賃金で工場労働をしている。5時のホイッスルが鳴ると、それを合図にみんな仕事をやめて帰宅する。しかしその日はホイッスルが壊れて鳴らない。貧しくて誰も時計なんかもっていないから、就業時間が終わっったこともわからない。「今日はなんかいちんちが長くねえか」なんて言いながら、いつまでもいつまでも仕事をしている。やっと午前2時半に帰ってきて、奥さんに「実はホイッスルが故障しててさ」と言い訳するのだが、奥さんはそんなことぜんぜん信用しない。僕らだってもちろん信用できない。そういう物語が目の前にありありと浮かんでくるわけだ。
デューク・エリントンという人はどうしても貴族的な、ちょっと気取った印象が強いのだが、彼もキャリアの初期の頃には、そういう黒人の庶民生活を温かい目で見つめたコミカルな曲をよく取り上げていた。エリントン楽団のまさに黄金時代、演奏も素晴らしい。

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Duke Ellington & Ivy Anderson Google 検索
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