じじぃの「ほこりから見た世界・古代ミイラの体!小さな塵の大きな不思議」

中国北部で今年最大の黄砂 北京の空が黄色に(10/03/20) 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=TD3rQTqpHxc&feature=fvwrel
エジプトミイラ 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=Sn6qHFRLX60
砂漠化が進む中国

花粉、黄砂、PM2.5の「トリプルパンチ」 要注意は「春一番」〈週刊朝日〉 (追加) 2013年3月8日号 Yahoo!ニュース
PM2.5に詳しい大分県立看護科学大学の市瀬孝道教授は、こう話す。「PM2.5は、黄砂や花粉に付着して飛んできます。黄砂が多く飛ぶ3〜5月の前でも、低気圧が大気を巻き上げれば、日本列島にPM2.5を押し流してしまうでしょう」。花粉、黄砂に加えてPM2.5という「トリプルパンチ」だと言うのだ。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130301-00000000-sasahi-hlth
塵肺 ウィキペディアWikipedia)より
塵肺(じんぱい、Pneumoconiosis)は、粉塵や微粒子を長期間吸引した結果、肺の細胞にそれらが蓄積することによって起きる肺疾患(病気)の総称。じん肺法(1960年)は「粉塵を吸入する事によって肺に生じた繊維増殖性変化を主体とする疾病」と定義している。症状として咳、痰、息切れ、呼吸困難、動悸を起こす。
【塵肺の種類】
・珪肺
 石英、珪石など遊離珪酸を含む粉塵の吸入が原因。
・アルミ肺
 アルミニウム粉塵の吸入が原因。進行が早く、数年間程度で呼吸困難、衰弱などの症状が現れる。
ボーキサイト
 アルミニウムの原料であるボーキサイトの粉塵の吸入が原因。進行が極めて早く、2〜4年で死亡にいたる。
・酸化鉄肺(鉄肺)
 酸化鉄の吸入が原因。電気溶接工にみられる。あまり進行しないといわれる。但し、吸い続けていると数十年で肺が膠の様に硬くなり呼吸困難に陥り、治療は不可能となる。
石綿
 石綿アスベスト)の吸入が原因。肺癌の合併が多い。また、悪性中皮腫を合併する。

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『小さな塵の大きな不思議』 ハナ・ホームズ/著、岩坂泰信/監修、梶山あゆみ/翻訳 紀伊国屋書店 2004年発行
古代ミイラの体を蝕んでいた塵 (一部抜粋しています)
農場や工場の塵は出どころがはっきりしているので、死者や病人が出たときにも非難の矛先を向けやすい。いぅぽう、トルコの洞窟の霊からもわかるように、もとからあった自然の塵が敵になる場合もある。住む土地によっては、自然の塵が牙をむいてくるかもしれない。そのことは、エジプトのミイラがよく知っている。
1973年、デトロイトのウェイン州立大学医学部のチームが、「ミイラ包帯除去者肺」(本当にあるのだ)になる危険をものともせず、2000年前に死んだひとりのエジプト人男性を解剖した。すると、おもしろいのが次々に見つかった。腸のなかには寄生虫のついた肉の塊。血管には動脈硬化。現代人と同じで脂の多い食事をとっていたのだろうか。そして肺は、古代エジプトの空気がどういうものだったのかを教えてくれた。かなり塵が舞っていたらしいのである。
ミイラの肺は何箇所かが線維で硬くなっていて、そこには2種類の塵が詰まっていた、ひとつは煤で、煙を吸い込んでいたことがうかがえる。解剖をおこなった医師たちは、肺に煤が溜まっているのは少しも意外ではないと指摘したうえで、こう記している。「人類が、小屋や洞窟、あるいは天幕といった狭い場所で火を起こしはじめると、肺はすぐにこうした状態になったと考えられる」
ところが、もうひとつの塵は石英だった。つまり、ミイラは珪肺にかかっていた。ミイラの手を調べてみたが、石の切りだしや細工をなりわいにしていた様子はない。これだけ石英の塵を吸い込む理由はただひとつ、砂塵嵐の多い土地で一生を送るだけでも、石英は肺いっぱいに溜まるのである。
(ミイラの骨に入りこんでいた別の塵からは、古代エジプトの空気がうらやましくなるような面も浮かびあがった。鉛の濃度が1PPM(0.0001パーセント)以下だったのだ。現代人の骨には、その6倍から20倍もの鉛が溜まっている。現代の鉛は精錬所から出るだけではない。いまだに有鉛ガソリンを使っている自動車から吐きだされたり、土ぼこりと一緒に風に飛ばされてきたりする)
ミイラの肺をむしばんだ「砂漠の珪肺」は、今も砂漠に暮らす人たちを苦しめている。この病気の事例として最初に確認されたのは、リビアの人々と、イスラエルのネゲブ砂漠に住むベドウィンだった。それ以来、ときに思いも寄らない場所に現れてきた。
1991年、インドとイギリスの医師のチームが、ヒマラヤ山脈のいくつかの村で珪肺が多数発生していると発表した。そのひとつ、チューチョット村は、標高3000メートルを超える山あいにあり、春になるとあたりが見えなくなるほどの猛烈な砂塵嵐に襲われる。もうひとつのストック村はもっと高いところにあるので、飛んでくる砂塵の量はやや少ない、それでも、どちらの村もかなりの塵を浴びていることには変わりなく、住民の肺には珪肺特有の白い星が植えつけられてしまった。住民のレントゲン検査をしたところ、チューチョット村の女性のほぼ全員、男性でも半数以上に、程度の差はあれ珪肺が認められた。(村ではほとんどの農作業を女性がおこなうため、土の塵を吸いこむ機会が多い。また、土ぼこりで汚れた床を掃除するのも女性の仕事だ)
ストックでは患者の割合が若干少なかったものの、普通の地域に比べたら途方もない数字だった。

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どうでもいい、じじぃの日記。
図書館をうろうろしていたら、『小さな塵の大きな不思議』という本があった。
「ほこり」のことを書いた本だ。約400ページもある。ぱらぱら、めくった。
宇宙の塵から大気中に漂っている塵、海の中や、氷の下の塵、家庭の中まであらゆる塵について書かれている。たかが、「ほこり」ではないのだ。
最初の方のページから、
「だが、中国からの迷惑な輸出品については少し脇に置いておこう。はるかに迷惑しているのは、地元中国の人々のほうである。汚れた空気をじかに思いきり吸っているのだから。現に、中国では14人にひとりが有害な塵のせいで亡くなっている。子供の死因の第1位は肺炎だという。肺炎は、汚れた空気を吸ったために引きおこされるケースが少なくない。すべて合わせると、毎年約100万人もの人々が塵に命を奪われている。数字のうえでは、アメリカのメイン州の全住民が毎年塵の害でこの世を去っているのと変わらない。 この有害な塵は思わぬところまで影を落としている。中国全体の作物の収穫高が減るいっぽうなのだ」
「迷惑な輸出品」とは「黄砂」のことだ。中国の黄砂がアメリカに降り注いでいるのだという。そして、中国では14人にひとりがこの塵のため亡くなっている。総計するとその数は毎年、アメリカのメイン州の全住民分(約100万人)の人口になるのだそうだ。
にわかには、信じられない数字だ。
後半部に、
「古代ミイラの体を蝕んでいた塵」というのがあった。
「ミイラは珪肺にかかっていた」
昔の人は、小屋や洞窟、あるいは天幕といった狭い場所で火を起こしたため、周りが塵だらけになり、肺もまた塵だらけになったのだという。
昔の人は、短命であった。
なるほどなあ。2010年、「はやぶさ」は「イトカワ」という小惑星から「ほこり」を持ち帰った。「ほこり」はいろんなことを教えてくれる。