じじぃの「驚異の緩衝材!意外な発想にたどり着いた男」

キュービックプリンティング タイカ
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モノづくりで150億円を生む独創発想術 - 中西幹育 楽天ブックス
印刷は平面にしかできない。3次元や曲面には、通常の印刷は不可能--この常識をくつがえし、不可能を可能にしたの、が、本書の著者・中西幹育。ちなみに今や曲面印刷は、「世界の」車、約90パーセントの内装に利用されている。
「発明・開発・事業化」の天才・中西のもう一つの代表作が「アルファゲル」だ。拡大するコンピュータ社会。そこで使われるIT機器は、すこぶる衝撃に弱い。この特性に早くから注目し、驚異の衝撃吸収剤として開発されたのがアルファゲル。20数メートルの高さから生タマゴを落としても割れない、信じられないような衝撃吸収力。このアルファゲルは、スポーツシューズをはじめ身近な日用品に数多く利用されている。
なぜ「ナカニシ」は、世界に通用する技術開発を次々と連打できるのか。専門を越え領域で、ほとんど独力で独創技術を生む秘密は、いったい何か。その秘密を、本書で初めて全公開していく。「技術立国」日本の危機が喧伝されるなか、中西の仕事から学び取ることは数多い。また、食事、食材にこだわり、味噌もお手製で、作り、これまた「実験」の場にする「生活を楽しむ達人」ぶりも伝える、愉快な本でもある。
http://books.rakuten.co.jp/rb/%E3%83%A2%E3%83%8E%E3%81%A5%E3%81%8F%E3%82%8A%E3%81%A7150%E5%84%84%E5%86%86%E3%82%92%E7%94%9F%E3%82%80%E7%8B%AC%E5%89%B5%E7%99%BA%E6%83%B3%E8%A1%93-%E4%B8%AD%E8%A5%BF%E5%B9%B9%E8%82%B2-9784833418461/item/4267081/
αGEL ウィキペディアWikipedia)より
αGEL(アルファゲル)とは、タイカ社(旧ジェルテック社)が開発した衝撃吸収・振動吸収素材である。
【特徴】
シリコーンを主原料とした柔らかいゲル状の素材。αGEL(アルファゲル)は、タイカで取り扱うゲル製品の総称。
・衝撃吸収や防振、放熱、電磁波吸収などの機能がある。
・ビルの6階(18m)から生卵を落としても、たった2cmの厚さのαGELシートの上でピタリと、割ることのなく受け止めることができる。
・スポーツシューズやペン、その他ヘルメットやパソコン、携帯電話、デジタルカメラなどに活用されている。
・-40°C - +200°Cの幅広い温度で利用可能。

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コロンブスのゆで卵』 TBS「コロンブスのゆで卵」取材班 勁文社 1997年発行
熱にうなされながら奇跡の発明をする男 驚異の緩衝材のヒントはアイスノン (一部抜粋しています)
1980年代初頭、当時隆盛を極めた半導体産業。各メーカーは、より小さくより高性能なLSIを求めて急ピッチで開発を進めていた。中西幹育は、その状況でどんな技術的問題が生じていくかを考えていた。そこにこそ、隆盛を極める半導体産業に参入し得るカギが潜んでいると考えたからだ。
そして中西の考えはまとまった。「外部からの衝撃や振動が受けやすくなるだろう」と。中西は、このときLSIの小型化に合うような素材を使って緩衝材を作ることに決めた。
開発に入った中西だったが、ことは思うように進まなかった。それまであった緩衝材は、急激に小型化したLSIには到底使えない。つまり、マイナーチェンジ的な発想ではなく、まったく新しい素材を開発する必要があったのだ。
中西は来る日も来る日も緩衝材のことだけを考えて過ごした。1日が、緩衝材のことを考えるだけで終ってしまう。こんな生活を続けるうちに、中西はとうとう熱を出して寝込んでしまったのである。
その数日後、中西に幸運が訪れた。
まだ熱が下がらず、頭の下にアイスノンを置いて寝ていた。朝、娘が薬を持ってきたとき、中西はぬるくなったアイスノンを冷えたものと取り替えるようにと言わんばかりに、娘に向かって投げつけてしまったのである。
すると、娘は乱暴な中西の態度に怒り、受け取ったアイスノンを中西に投げ返したのだ。一瞬、「おい、危ないじゃないか」と思った中西だったが、アイスノンがぶつかっても、痛くなかった。ぬるくなったアイスノンはフニャフニャで、衝撃を吸収してしまったからである。「これだ!」と中西は思った。
いままでの緩衝材とは違う感触に、中西は希望を見い出したのである。そうなると、寝込んでなんかいられない。中西はすぐさまスーパーマーケットへ駈けこみ、アイスノンに似た感触のものを買い集めたのである。
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そして、中西は突き止めた。高分子シリコンである。
高分子シリコンはゼリーと同じように、流動性が高く、いかなる衝撃も水面の波紋のように分散することができるのだ。
その後、実験を重ね、ついにミクロの世界を保護する脅威の緩衝材α-GEL(アルファゲル)が完成したのである。
地上20メートル(ビルの7階相当)から卵を落とす実験をすると、卵が重量60グラムとすれば、その衝撃度は588ニュートンにも及ぶ。その衝撃度は卵に限らず、ほとんどのものを破壊する力である。
しかし、地面に厚さ2センチのα-GELを置くと状況は一変する。卵が割れないのである。割れやすい電球を落とす実験でも、電球が壊れるということはなかった。もちろん、電球の中にあるフィラメントも無事である。また、重いために落下速度が早くなるガラスピンで試しても、結果は同じ。α-GELの実力は、それほど確かなものだった。
ある日のことである。そんなα-GELを発明した中西を頼って、ある人物が相談にやってきた。
それは「曲面に印刷することはできないだろうか?」ということだった。従来の技術では、2次元、つまり平面のものにしか印刷できなかった。印刷してから曲げることは出来ても、曲げたあとに機械的に診察するのは、不可能だったのである。
もし、凹凸のある局面に印刷することができたら、それは驚くべき技術革新。中西はまた来る日も来る日も考え、悩み続けた。そして、また熱を出して寝込んでしまった。
ある朝、娘が例によって薬を持ってきた。薬は顆粒だったが、中西はにがい薬が苦手なので、薬をオブラートで包んだ。オブラートが口の中でゆっくり溶けていくのがわかる。が、薬のにがさはなかなか伝わってこない。
「なぜだ?」中西は思った。その時、中西の頭の中にひとつのアイデアが浮かんだ。オブラートの原理を使えば、曲面印刷が可能になると。
中西はさっそく自宅の縁側で実験を開始した。用意したのは、油性スタンプとオブラート、そして水を張った灰皿である。オブラートにスタンプを押し、次にそのオブラートを水面に浮かべた。当然ながら、オブラートは徐々に水を吸って溶け始める。そこで、今回も卵の登場である。
水に浮いたオブラートに卵を押しつけたのだ。すると卵の殻にスタンプのインクが着いたのである。
ただインクを水にたらしただけなら、インクは水と混じりあってしまう。しかし、オブラートがインクを守ることで、水の上でもインクが作り出した形を残すことができる。ここがポイントだ。
オブラートが溶けはじめ、液体に近い状態に近い状態になるところを見極めて曲面状のものを水に浸けると、印刷されるという仕組みなのである。これが、中西が重いついた「オブラートの原理」なのだ。
中西が開発したこの技術、実は日本国内はもとより、アメリカの3大自動車メーカーにも採用されている。ハンドルや内装パーツに至るまで、多く利用されているのである。もちろん、自動車にとどまらず、曲面状のものや複雑な造形のもの印刷に多くに使われている。

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どうでもいい、じじぃの日記。
昔テレビで、「ビルの屋上から落としても割れない生タマゴ」とかいうのを観たことがある。
コロンブスのゆで卵』という本を見ていたら「熱にうなされながら奇跡の発明をする男 驚異の緩衝材のヒントはアイスノン」というのがあった。
「曲面に印刷することはできないだろうか?」
薬を飲むときに使うオブラートがヒントになったんだそうだ。
ビルの屋上から落としても割れない生タマゴの緩衝材も、この中西幹育さんの発明品なんだ。
ぼけっと、毎日を過ごしているじじぃ。
少しは今まで、人の役に立ったことがあったのかしら。 (^^;;