じじぃの「人の死にざま_536_フォートリエ」

人質

ジャン・フォートリエの経歴と作品
http://www.b-sou.com/palm-Fautrier.htm
『すぐわかる 画家別抽象絵画の見かた』 本江邦夫/著 東京美術 2005年発行
ジャン・フォートリエ(Jean Fautrier(1898 -1964) (一部抜粋しています)
パリで生まれたジャン・フォートリエは、早い時期からロンドンで美術の教育を受けた。第一次世界大戦に従軍したあとパリに戻り、表現主義的な具象画を描き始めた。その画面には、裸婦、皮をはがされた動物など、暗い画面に浮き上がってくるような対象が描かれている。しかし、1930年代半ば〜1940年には、スキーの指導員やナイトクラブの経営など、いったんは絵画を離れる。
そして、1940年から再開された絵画は、それ以前とは全く異なった作風になっていた。変化後のフォートリエの代表作といえば、なんといっても「人質」のシリーズであろう。人質というテーマも衝撃的ではあるが、非常に厚く塗られた絵具の上に描かれた人間の顔には、強烈なメッセージが込められているようである。ここでの本当の主役は重苦しく塗りこめられた絵具そのものであり、そこに託された出口なしの実損的な状況である。
人質
1944〜1945年にかけて制作された「人質」シリーズのひとつである。2つの大きな世界大戦、とくに第二次世界大戦は、パリにいたフォートリエにとって、ナチスの脅威も生々しい実感として記憶されたことだろう。
ここには具象に近い捕虜の顔が描かれているが、それはゆがめられ、内面の苦痛を表わしているかのようである。絵の具がセメントのように厚く塗られ、ごつごつとした質感のある表情は、20世紀の歴史を物語っている。フォートリエ独特の表現が凝縮された作品だ。
古典的な要素を見出せませんか
厚く塗られた絵の具、アンフォルメル的な表現は、まさしく近代絵画独自の表現方法である。しかし、暗い色彩の背景に、そこだけ光が当てられたかのように浮かび上がってくる顔という対比は、レンブラントが模索した光と闇の関係にも連なるものであろう、古典的な手法と前衛的な表現が融合された作品ということができるのではないだろうか。

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