じじぃの「未解決ファイル_116_プラスチックは永遠なり」

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クローズアップ現代 「海に漂う“見えないゴミ” 〜マイクロプラスチックの脅威〜」 (追加) 2015年10月29日 NHK
【司会】国谷裕子 【ゲスト】高田秀重(東京農工大学 教授)
一見、ゴミも浮いていない海。しかし、その中にある微細な物質が大量に漂っている。大きさ5㎜以下のプラスチック=“マイクロプラスチック”だ。
世界中から海に流れ出るプラスチックの量は、推計最大1300万トン。それが砕け目に見えないほど小さくなり、海に漂っているのだ。“マイクロプラスチック”は、海水中の油に溶けやすい有害物質を吸着させる特徴を持っていて、100万倍に濃縮させるという研究結果も出ていて、生態系への影響が懸念され始めている。今年のG7でも、マイクロプラスチックの問題が、世界的課題だと指摘され、日本の環境省も大規模調査を開始している。世界の海で何がおきているのか。
マイクロプラスチックの海への流出量 (2010年)
1.中国      353万t
2.インドネシア 129
3.フィリピン    75
4.ベトナム    73
5.スリランカ   64
20.アメリカ    11
30.日本       3.6
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3725.html
『人類が消えた世界』 アラン・ワイズマン/著 鬼澤忍/翻訳  早川書房 2008年発行
プラスチックは永遠なり (一部抜粋しています)
ナードルと呼ばれる小さな粒は、年間5500兆個、約1億1350万トン生産されていた。ムーアはこの粒をどこででも見つけたが、それだけではなかった。クラゲやサルパ−−海中にきわめて多く生息し広く分布する濾過摂食生物−−の透明な体に取り込まれたこのプラスチック樹脂の粒をはっきり目にしたのである。海鳥と同じように、明るい色の粒を魚卵と取り違え、肌色の粒をオキアミと取り違えたのだ。いまやいったい何兆個のプラスチック片が、ボディースクラブ剤に配合され、大型生物の餌となる小型生物が飲みやすい大きさとなって海に流されているのか、見当もつかない。
海と、生態系と、未来にとって、それはどんな意味を持つのだろうか? あらゆるプラスチックは誕生してから50年あまりしか経っていない。科学的な成分や添加物、たとえば金属々などの着色剤は、植物連鎖の上位に移るにつれて濃縮し、進化の過程を変えてしまうのだろうか? 化石に記録されるほど長く残るだろうか? 何百万年も先に地質学者は、改定の堆積物中に形成された礫岩にバービー人形の残骸が埋まっているのを見つけるだろうか? その残骸は、恐竜の骨のように復元できるほど原型を留めているだろうか? それとも、分解して炭化水素を放出するのだろうか? その炭化水素は、海中の広大なプラスチックの墓場から何十億年にもわたって漏れ出しつづけるのだろうか? そして、バービーとケンの形のくぼみが化石化して石のように固くなり、さらに何十億年も残るのだろうか?
ムーアとトンプソンは素材の専門家の意見を求めはじめた。東京農工大学の地球化学者で、「性転換」を引き起こす内分泌撹乱科学物質(EDC)の専門家である高田秀重は、東南アジア全域のゴミ捨て場から垂れ流される有毒物を実地検証するという不快きわまりない仕事を担ってきた。現在は日本海東京湾から引き揚げられたプラスチックの調査をしている。彼の報告によれば、海中で、ナードルなどのプラスチック片は、しぶとい毒性を持つDDTやPCBにとって磁石とスポンジの働きをするという。
プラスチックに柔軟性を与える目的で毒性の強いポリ塩化ビフェニル(PCB)を使用するのは、1970年代から禁止されている。PCBにはさまざまな危険性があるが、なかでも、両性具有の魚やホッキョクグマに見られるホルモン異常を引き起こすことがよく知られている。あたかも徐々に成分を出すカプセルのように、1970年以前のプラスチック漂流物から、何世紀にもわたって少しずつPCBが海に溶け出すはずだ。だが、もう一つ高田が発見したのは、多種多様な投棄物から流れだして浮遊する毒素が、浮遊するプラスチックにすぐに付着することだ。毒素を出す投棄物は、たとえば、コピー用紙、自動車のグリース、冷却液、古い蛍光灯、ゼネラル・エレクトリック社とモンサント社の工場が大小の川に直接流していた悪名高い排出物などだ。
ある研究者によれば、ツノメドリの脂肪組織内のPCBと、飲み込んだプラスチックとのあいだに直接の相関関係が認められた。驚かされるのはその量だ。高田と同僚によれば、ツノメドリが飲み込んだプラスチック粒に含まれる毒素は、通常海水に存在するときの100万倍の濃度に濃縮されていたという。
ムーアによれば、2005年の時点で、太平洋で渦を巻くゴミ捨て場は2600万平方キロというアフリカ大陸並の面積に達している。ゴミ捨て場はここだけではない。地球上にはこのほかに6か所、大きな熱帯海洋還流があり、そのすべてで、醜悪な廃棄物が渦巻いているという。まるで、第二次大戦後に一粒の小さな種から生まれたプラスチックがビッグ・バンのように大爆発し、現在も世界中に拡大しつづけているかのようだ。たとえ、あらゆるプラスチックの生産が突然停止したとしても、驚異的な量の、驚異的耐久性を持つ物質がすでに存在する。ムーアによれば、プラスチックの廃棄物はいまや世界の海面で最も普通に見られる物体になっている。プラスチックはいつまで持つのだろう? 世界がこれ以上プラスチックに覆われるのを防ぐために文明社会が転換できるような、もっと環境に優しく分解しやすい物質はなかったのだろうか?
その秋、ムーア、トンプソン、高田は、ロサンゼルスで開催された海洋プラスチックサミットで、アンソニーアンドラディ博士と同席した。博士はノースカロライナ州のリサーチトライアングル研究所の上級研究員で、東南アジアの一大ゴム産出国、スリランカの出身だ。
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彼の説明によれば、炭化水素が生分解すると、ポリマー分子はばらばらになって、元の構成要素すなわち二酸化炭素と水に戻る。炭化水素が光分解するときは、太陽紫外線が長い鎖状のポリマー分子を断ち切って短く分割し、プラスチックの張力を弱くする。プラスチックの強度はからみ合うポリマー鎖の長さによって決まるから、紫外線がその鎖を断ち切れば、プラスチックは分解しはじめる。
ポリエチレンやそのほかのプラスチックが日光にさらされて黄ばみ、劣化して崩れ出すのは誰でも見たことがあるだろう。プラスチックにはしばしば、紫外線に対する強度を増すために添加剤が加えられる。別の添加物を使えば、紫外線に弱いプラスチックができる。後者を6本パック用ホルダーに使用すれば、海の生物を多数救えるはずだとアンドラディは提案する。
だが、問題は2つある。1つは、水中ではより光分解に時間がかかることだ。陸上では、プラスチックは日なたに放置されると赤外線の熱を吸収し、すぐに周囲の空気より温度が高くなる。海中では、水で冷やされるだけでなく、付着する藻が太陽光をさえぎってしまう。
もう1つの障害は、光分解されるプラスチック製の漁網であれば、たとえ海に流されてもイルカを溺死させる前に分解するかもしれないが、化学的性質そのものは何百年も、ことによると何千年ものあいだ変わらないことだ。
「プラスチックは、しょせんプラスチックです。物質としてはポリマーのままなのです。ポリエチレンは、現実的な時間枠のなかでは生分解されません。それほど長い分子を生分解するメカニズムは海洋環境に備わっていないのです」。光分解される漁網が海洋哺乳類を生かしておくのに一役買うにしても、粉のようになった漁網の残留物は海に留まり、濾過摂食生物の目にとまることになるだろう。
「燃えて灰になったわずかな量を除けば、この50年ほどのあいだに世界で製造されたプラスチックのほぼすべてが、まだそのまま残っています。環境のどこかに存在しているのです」と、預言者アンソニーアンドラディは語る。
過去半世紀のプラスチックの総生産量はすでに10億トンを超えている。性質の異なる何百種類ものプラスチックが数えきれないほどの可塑剤、乳白剤、色素、充填剤、強化剤、光安定剤を添加してつくられてきた。個々の寿命の長さには大きな幅がある。これまで完全に消滅したものはない。ポリエチレンが生分解されるのにどれくらい時間がかかるかを知るため、研究者たちは培養したバクテリアのなかにサンプルを保存してみた。1年後に消滅していたのは1パーセント未満だった。
「実験室の最も整った条件下でこれだけなのです。現実はこいはいきません」とアンソニーアンドラディは言う。「プラスチックは登場してから日が浅いため、微生物が分解酵素を新たに生み出すところまではいっていません。その結果、微生物が生分解できるのはプラスチックのなかでも分子量のきわめて小さい部分だけなのです」。つまり、ごく小さい、すでに断ち切られたポリマー鎖だけが生分解されるのだ。植物に含まれる糖質を原料とする本当の生分解性プラスチックや、細菌を原料とする生分解性ポリエステルも登場しているが、石油を主原料とする元来のプラスチックにそれらが取って代わる可能性はあまり大きくない。
「包装というのは植物を細菌から守るために考えられたのですから、微生物が食べるようにつくられたプラスチックで残り者を包むのは、あまり賢明ではないのかもしれませんね」と、アンドラディは言う。
だが、たとえそうした新しい物質が普及するとしても、あるいは、人類が消え去ってナードルがまったくつくれなくなるとしても、すでに生産された大量のプラスチックは残る。いったい、いつまで残るのだろうか。
「エジプトのピラミッドには穀物、種子、そして髪の毛のような人間の身体の一部まで保存されていました。日光を遮られ、酸素や漆器もほとんどない状態だったからです」。アンドラディは穏やかで几帳面な印象の男性で、顔の幅が広く、はっきりした声でわかりやすく話す。「現代のゴミ捨て場も似たようなものです。水も日光も酸素もほとんどない場所に埋められたプラスチックは長いこと無傷のまま残ります。海に沈んで堆積物に覆われた場合も同じです。海底に酸素はありませんし、温度はとても低いのです」
彼はほんの少し笑ってからつけ加えた。「もちろん、そうした深海の微生物の生態に対してはあまり知られていません。もしかしたら、嫌気性の生物がプラスチックを生分解するかもしれません。考えられないことではありませんよ。しかし、潜水艇で海に潜って調べた人がいるわけではありませんからね。私たちの観察によれば、可能性はあまりなさそうです。ですから、海底での分解はもっとゆっくりと進むと予測しています。何倍もの時間がかかるでしょう。1桁多い年数かもしれませんね」
1桁多い年数ならば10倍だが、何の10倍なのだろう? 1000年? 1万年?
答えは誰にもわからない。自然な死を迎えたプラスチックはまだないからだ。炭化水素を基本的構成要素にまで分解するこんにちの微生物が、リグニンとセルロースを分解できるようになるには、植物が出現してから長い時間がかかった。その後、微生物は油さえ分解できるようになった。プラスチックを消化できる微生物がまだないのは、50年では短すぎて、必要な生化学的組成を持つところまで進化していないからだ。
「でも10万年経ったとしましょう」と、楽観主義者のアンドラディは言う。彼が故郷のスリランカに滞在していた2004年のクリスマスに同国は津波に襲われたが、世界の終りを思わせるほどの大波のあとでさえ、人びとは希望を持つ理由を見出していた。「このじつに有益な分解能力が遺伝子に組み込まれた微生物種が、きっとたくさん見つかり、さらに増えて繁殖するでしょう。こんにち存在する量のプラスチックが消滅するには何十万年もかかるでしょうが、それでも、いつかはすべてが生分解されます。ツグニンははるかに複雑な構造にかかわらず、生分解するのですから、私たちがつくりだす物質に進化が追いつくまで待てばいいのです」
さらに、生物学的時間が尽きてもなお一部のプラスチックは残るかもしれないが、地質学的時間は存在しつづける。
「隆起と圧迫によって、プラスチックは別のものに変化するでしょう。大昔、樹木が沼地に埋まって、生分解ではなく地質学的過程を経て油や炭に変化したのと同じことです。プラスチックが著しく集中した場合にそのような物質に変わるかもしれません。時が経てば、変化するものです。変化こそ自然の特質です。変わらないものなど、なに1つありません」

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どうでもいい、じじぃの日記。
図書館から、『人類が消えた世界』という本を借りてきた。
「人類が消えた地球」はどうなっているのだろう。もし、地球から人類が消えたとしたら原因は何なんだろうと思いながら読んだ。
本を読み進めると「プラスチックは永遠なり」という章があってプラスチック汚染のことが書かれている。
1909年、レオ・ベークランドは人工合成樹脂「ベークライト」の合成の工業化に成功した。ベークライトはその後改良され「プラスチック」と呼ばれるようになった。
現在、プラスチックはナイロン、ポリエチレン、塩化ビニルとしてあらゆるところに使われている。
「過去半世紀のプラスチックの総生産量はすでに10億トンを超えている。性質の異なる何百種類ものプラスチックが数えきれないほどの可塑剤、乳白剤、色素、充填剤、強化剤、光安定剤を添加してつくられてきた」
この本に登場するアンドラディは言う。「時が経てば、変化するものです。変化こそ自然の特質です。変わらないものなど、なに1つありません」
その通りだろう。この世で変化しないものなどあり得ないのだ。
だが、それはいつ? プラスチックを分解できる生物が出てくるのはいつなのだ。
「1桁多い年数ならば10倍だが、何の10倍なのだろう? 1000年? 1万年?」
ナードルとはプラスチック原料で小さな粒のことである。
「明るい色の粒を魚卵と取り違え、肌色の粒をオキアミと取り違えたのだ」
ナードルをクラゲや小さな魚がプランクトンと間違えて食べ、そしてカツオ、マグロが、それを人間が食べる。
太平洋にはいたるところに“ゴミの山”が渦まいている。ゴミの山はナードルを含むプラスチックで覆われれいる。
人間はプラスチックの害など汚染された魚を食べることで、寿命が短くなったり、子供が生まれなかったりするまで気がつかないのかもしれない。
もしかしたら、気がついていないふりをしているだけなのかもしれない。