じじぃの「未解決ファイル_107_ウソつき村」

サイエンスZERO 「徹底解説!科学の“未解決問題” ダーウィンの進化論に異議あり!?」 (追加) 2016年12月25日 NHK Eテレ
【司会】南沢奈央(女優)、竹内薫(サイエンス作家)、中村慶子NHKアナ) 【語り】土田大NHKアナ) 【解説者】長谷川英祐(北海道大学准教授)
働き者だと思っていたアリだが、巣のメンバーの2割以上が休んでばかり。
働くアリは卵をきれいにして卵が死なないようにする。一方で働かないアリというのも全く働かない訳ではなくて、カビがどんどん生えてきて刺激が大きくなると目が覚めて働くようになる。
カッコウは、他の鳥に卵を託すという効率が悪い方法で子育てを行う。
もしかしたら、カッコウが自分で子どもを育てたら成功率100%かもしれないのに失敗することもあるようなことをわざわざやっている。逆にオオヨシキリの立場からいったら、托卵なんていうことをされたら自分の子どもが全部死んじゃう訳だから自分たちの繁殖には害になってるだけです。でも、こういう行動が何で進化の結果残ってるのかっていうのが問題になる訳です。
http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp568.html
「正直村とウソつき村」
【問題】
旅人が分かれ道にやってきた。 片方は正直村に、片方はウソつき村へと続いている。 旅人は正直村に行きたいのだが、どっちが正直村なのかがわからない。 そこに村人がやってきた。 旅人はこの村人に一回だけ質問をして 正直村に行く道を見つけだすにはなんと聞けばいいか? ただし、村人は正直村、ウソつき村、どちらかの住人ではあるが、どちらの住人かわからない。また、正直村の住人は必ず正直な答えをし、ウソつき村の住人はかならずウソの答えをする。
【答】
「どちらの住民ですか?」と聞く。
正直村の村人は「正直村」を指し、ウソつき村の村人はウソをつくので「「正直村」を指す。

                                • -

『強い者は生き残れない 環境から考える新しい進化論』 吉村仁/著 新潮社 2009年発行
ウソつき村は滅びる (一部抜粋しています)
「種のために」という古い集団選択は否定されたが、集団レベルの進化原理は否定されたわけではない。その後、集団レベルの選択が働くメカニズムが提唱されて、その有効性が再度議論の対象となった。1975年に進化生物学者ディヴィッド・スローン・ウイルソン教授が「形質群選択(trait group selection)という原理を発表し、集団選択が有効なケースを見出したのである。
ウイルソンが考え出したのは、利他遺伝子を持つ個体が集まり形質群を形成して、互いに利益供与をするケースである。この場合、利他行動により利益を享受するのは、利己個体でなく、利他個体だ。つまり、利他個体同士の協力・協調関係である。このように説明すると大変難しく感じるが、簡単に言えば、「正直者は集まれ!」だ。正直者は利他主義者で、ウソつきは利己主義者である。つまり、正直者だけでグループを形成すれば、正直者同士で協力して利益を分け合える。これならウソつきには利益が回らない。つまり、正直者が接するのは「正直な溺れる子供」であり、「ウソつきな溺れる子供」ではない。もちろん、「ウソつきな溺れる子供」がいても、ウソつきな大人は助けないので、この子は助からない。
もっとも単純な例としては、動物の雄の「レック」という交尾集団だろう。例えば、ライオンはオスが数匹でたくさんのメスを抱えるグループを作るが、このとき、このオスたちは共同でメスを防衛している。つまり、自分1匹では強いオスに対して防衛できないので、数匹が協力し合う。そして、協力によって初めてメスと交尾でき、子孫を残せるのだ。弱いオスたちの知恵といえるだろう。
クマゼミの合唱も共同行動のレックといえる。クマゼミはオス同士が集まり、大きな集団を形成する。そして、一緒に鳴くことで、たくさんのメスを引き寄せる。1匹で鳴いていてもメスがよってくる可能性は低いからだ。余談であるが、メスももちろん相手が欲しい。セミ採りでメスはなかなか採れないと思いがちであるが、実は、簡単に採れる方法がある。オスがよく鳴いている木の下を探せばいいのである。メスは、オスが鳴いていると下方から寄ってくる。だから、オスが鳴いているところには、しばしば、数匹のメスがいる。
     ・
また、生物によっては、生息場所を隔離し、無数の小さな個体群をつくることがある。そのような場合、協調派の多い個体群と非協調派の多い個体群ができることがある。すると、前者の個体群は数を増やし、新しい個体群を分派する。そして非協調派の多い個体群は絶滅していく。
狩猟時代の人類を例に考えてみよう。狩猟時代には各集落は十分隔離されており、交流は少ない。そのとき、正直者の多い集落では飢饉も協力して乗り切ることができるので、生き残る。ところが、ウソつきが多い集落では、協力して行動できないので、飢饉のときには、食糧を奪い合い、最後には、滅亡してしまうだろう。正直な集落は反映して大きくなり、新しい姉妹集落を生み出すかもしれない。
ジョージ・C・ウイリアムズが集団選択の矛盾を月、適応度は集団ではなく個体から考えるべきだという見方が確立されたものの、その見かた自体が利他行動の問題を解決したわけではない。かえって、それまで正しいとされていた集団選択節が否定されたせいで、利他行動を説明するために、個体選択に基づく新しい理論が必要なのかもしれない。それとも、人間からすれば利他行動に見える行動には、もしかしたら何かしら利己的な理由(利益)があるのかもしれない。

                                • -

どうでもいい、じじぃの日記。
『強い者は生き残れない 環境から考える新しい進化論』という本を読んでいたら「ウソつき村は滅びる」というのがあった。
結論からいうと「ウソつき村は滅びる」のである。
ダーウィンの進化論は自然選択理論であり、集団というカテゴリは入っていない。
1975年にディヴィッド・スローン・ウイルソンが「形質群選択」という原理を発表し、集団選択が有効なケースを見出した。
正直者は利他主義者で、ウソつきは利己主義者である。正直者だけでグループを形成すれば、正直者同士で協力して利益を分け合える。
この本の中に例として「ライオン」、「クマゼミ」が載っている。
ライオンの場合はオスが数匹でたくさんのメスを抱えるグループを作ったりする。このオスたちは協同でメスを防衛している。つまり、自分1匹では強いオスに対して防衛できないので、数匹が協力し合う。そして協力によって初めてメスと交尾でき、子孫を残すことができる。
集団として捉えたとき、ダーウィンの適者生存の進化論だけでは説明がつかないことが起きているのである。