じじぃの「人の死にざま_303_本居」

本居宣長の相関図 - あのひと検索 SPYSEE
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玉くしげ 本居宣長 動画 YouTube
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本居宣長 直毘霊 動画 YouTube
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本居宣長フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』 (一部抜粋しています)
本居 宣長(もとおり のりなが)は、江戸時代日本の国学者・文献学者・医師である。名は栄貞。通称は、はじめ弥四郎、のち健蔵。号は芝蘭、瞬庵、春庵(しゅんあん)、自宅の鈴屋にて門人を集め講義をしたことから鈴屋大人(すずのやのうし)と呼ばれた。当時、既に解読不能に陥っていた『古事記』の解読に成功し、『古事記伝』を著した。紀州徳川家に「玉くしげ別本」の中で寛刑主義をすすめた。
【生涯】
本居宣長は1730年6月伊勢国松坂(現在の三重県松阪市)の木綿商である小津家の次男として生まれた。
宝暦7年(1758年)松坂に帰った宣長は医師を開業し、そのかたわら自宅で『源氏物語』の講義や『日本書紀』の研究に励んだ。27歳の時、『先代旧事本紀』と『古事記』を書店で購入し、賀茂真淵の書に出会って国学の研究に入ることになる。その後宣長は真淵に手紙で教えを乞うようになった。宝暦13年(1763年)5月25日、宣長は、伊勢神宮参宮のために松阪を来訪した真淵に初見した。そして、かねてから志していた古事記の注釈について、指導を願うのである。その時に入門を希望し、その年の終わり頃に入門を許可され、翌年の正月に宣長が入門誓詞を出している。
【思想】
宣長の代表作には、約35年を費やして執筆された『古事記』註釈の集大成『古事記伝』や、『源氏物語』の注解『源氏物語玉の小櫛』、『玉勝間』などがある。日本固有の情緒「もののあはれ」が文学の本質であると提唱した。大昔から脈々と伝わる自然情緒や精神を第一義とし、外来的な孔子の教え(「漢意」)を自然に背く考えであると非難し、中華文明や思想を尊重する荻生徂徠を批判した。しかし、徂徠の学問の方法論である古文辞学からは多大な影響を受けていることも指摘されている。『古事記伝』の画期は、当時の人々に衝撃的に受け入れられ、やがて国学の源流を形成してゆく。師・賀茂真淵との関係では「後によき考への出できたらんには、必ずしも師の説にたがふとて、なはばかりそ」と言い、師の教えを仰ぎながらも良いと適ったことは遠慮なく主張した。

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小林秀雄の思ひ出―その世界をめぐって』 郡司勝義/著 文藝春秋 1993年発行
霊魂について(泉鏡花の世界) (一部抜粋しています、現代仮名遣いにしています)
本居宣長』の最終章つまり第50章で、小林秀雄が書いているところから、2、3引いてみよう。
≪本当に、死が到来すれは、万事は休する。従って、われわれに持てるのは、死の予感だけだと言えよう。しかし、これは、どうあっても到来するのである。己の死を見る者はいないが、日常、他人の死を、己の眼で確かめていない人はないのであり、死の予感は、其処に、しっかりと根を下しているからである。死は、私たちの世界に、その痕跡しか残さない。残すや否や、別の世界に去るのだが、その痕跡たる独特な性質には、誰の眼にも、見紛いようのないものがある。生きたに肉体が屍体となる。この決定的な外物の変化は、これを眺める者の心に、この人は死んだのだという言葉を、呼び覚まさずにはいない。死という事件は、何時の間にか、この言葉が聞こえる場所で、言葉とともに起こっているものだ。この内部の感覚は、望むだけ強くなる。愛する人を亡くした人は、死んだのは、己れ自身だとはっきり言えるほど、直かな鋭い感じに襲われるだろう。この場合、この人を領している死の観念は、明らかに、他人の死を確かめる事にって完成したと言えよう。そして、彼は、どう知りようもない物、宣長の言う、「可畏(カシコ)き物」に、面と向かって立つ事になる≫
≪生死の経験と言っても、日常生活のうちに埋没している限り、生活上の雑多な目的なり動機なりで混濁して、それと見分けのつかぬ状(サマ)になっているのが普通だろう。それが、神々との、真っ正直な関わり合いという形式を取り、言わば、混濁をすっかり洗い落として、自立した姿で浮かび上ってくるのに、宣長は着目し、古学者として、素早く、その像(スガタ)を捕えたのである≫
宣長を驚かした啓示とは、端的に言ってしまえば、「天地の初発(ハジメ)の時」、人間はもう、ただ生きるだけでは足らぬことを知っていた、そう言う事になろう。いかに上手に生活を追おうと、実際生活を乗り超えられない工夫からは、この世に生まれて来た意味なり価値なりの意識は引出せないないのを、上古の人々は、今日の識者達には殆ど考えられなくなったほど、素朴な敬虔な生き方の裡で気付いていた≫
≪人間は、遠い昔から、ただ生きているのに甘んずる事ができず、生死を観ずる道に踏み込んでいた。この本質的な事(ワザ)は、言わば、人の一生という限定された枠の内部で、各人が完了する他はないものであった。しかし、其処に要求されているような根底的な直感の働きは、誰もが持って生まれて来た。「まごころ」に備わる、智慧の働きであったと見ていい。そして、死を目指し、死に至って病むまで歩きつづける、休む事のない生の足どりが、「可畏(カシコ)き物」として、一と目で見渡せる、そういう展望は、死が生のうちに、しっかりと織り込まれ、生と初めから共存している様が観じられて来なければ、完了しないのであった≫
≪神に祈るのと、神の姿を作り出すのとは、彼には、全く同じ事(ワザ)なのであった。死者は去るのではない。還って来ないのだ。と言うのは、死者は、生者に烈しい悲しみを遺さなければ、この世を去る事が出来ない、という意味だ。それは、死という言葉と一緒に生まれて来たと言ってもよいほど、この上なく尋常な死の意味である。宣長にしてみれば、そういう意味での死しか、古学の上で、考えられはしなかった。死を虚無とする考えなど、勿論、古学のうえでは意味をなさない。死という物の正体を言うなら、これに出会う場所は、その悲しみの中にしかないのだし、悲しみに忠実でありさえすれば、この出会いを妨げるような物は、何もない。世間には識者で通っている人達が巧みに説くところに、深い疑いを持っていた彼には、学者の道は凡人(タダヒト)が、生きて行く上で体得し、信仰しているところを掘り下げ、これを明らめるにあると、ごく自然に考えられていたのである≫

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『人間臨終図巻 下巻』 山田風太郎著 徳間書店
本居宣長 (1730-1801) 71歳で死亡。 (一部抜粋しています)
生来蒲柳(ほりゅう)の質に見えたが、しんは意外に丈夫で大病もせず、ただ自分の学問の道をうまずたゆまず歩みつづけるのみの日常生活に、ほとんど奇談逸話のたぐいを残さず、自説に対する自信過剰の気味はあったが、人格もおだやかで、これといった破綻も弱点もなかった宣長が、死に1年前に作った遺言書だけは異常なものであった。
それは家督や遺産についての指示ではなく、自分の納棺、葬式、戒名、位牌、墓地、供養について、微にいり細をうがち、図入りで説明した長文のものであった。
「彼は遺言書を書いた翌年、風邪をこじらせてしんだのだが、これは頑健な彼に誰も予期しなかった出来事であり、彼の精力的な研究と講義とは、死の直前までつづいたものであって、精神の衰弱も肉体の死の影も、彼の遺言書には、先ず係わりないのである。 (小林秀雄本居宣長』)
遺言書を書いた1年後の享和元年9月17、18日ごろから彼は風邪をひいて臥床(がしょう)した。25日に名古屋の門人宛ての手紙に、「愚老儀、去る17日から18日頃より風邪にて、痰気強くさし起り、大いに悩み申し候。食甚だ少なく大いによわり、一向何事も出来申さず候」とある。
それから3日目の9月28日から29日に移った時刻に、眠るように死んだ。
門人が「宣長喫煙を嗜(たしな)ムコト甚ダシク、談笑ノ裡(うち)、常ニ煙管(きせる)ヲ放タズ、タメニ室内朦(もう)々トシテ白煙満チ、コトニ粗棄ナレバニヤ、臭気甚ダシク席ニ堪エズ」と書いているから、煙草による慢性気管支炎の気味もあったのではないか。それが風と老齢のため肺炎をひき起こしたものと思われる。
「・・・・さて其(その)よみの国は、きたなくあしき所に候え共、死ぬれば必ずゆかねばならぬ事に候ゆえに、此(この)世に死ぬるほどかなしき事は候わぬ也、然るに儒や仏は、さばかり至ってかなしき事を、かなしむまじき事のように、いろいろ理屈を申すは、真実の道にあらざる事、明らけし」 (本居宣長『答問録』)

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本居宣長の言葉
「敷島の大和心と人問わば朝日に匂う山桜花」
「人の行うべきかぎりを行うが人の道にしてそのことの成ると成らざるとは人の力に及ばざるところぞ」

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本居宣長 Google 検索
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