じじぃの「水ビジネス最前線!Voice6月号」

中国が抱える水問題 3億人が飲み水を入手できず、経済損失は1.8兆円 (追加) 2012.12.16 CNN.co.jp
世界の人口の20%を抱える国が世界全体の水資源の6%しか保持していない上に、性急で長期的な視点が不十分な開発も加わり、中国の深刻な水問題はさらに悪化している。国連によると中国は、極端な水不足に直面する13ヵ国のうちの1つである。
力強い成長により世界第2の経済大国となった副作用で、揚子江の水は赤く濁り、山東省などの穀倉地帯は慢性的な干ばつに悩まされている。
http://www.cnn.co.jp/world/35025248.html
【 日本&中国&世界 】 日本と世界 : 水ビジネスで東京都と提携へ 2010年03月07日
■水ビジネスで東京都と提携へ
政府などが設立した「産業革新機構」は、世界的に需要の急増が見込まれる水ビジネスについて、上下水道の維持管理に関するノウハウを持つ東京都と提携し、日本企業による海外の水ビジネスの受注を支援することになりました。
海水を飲み水に変えたり、工場の廃水を浄化したりする水ビジネスは、新興国や中東などで需要の急増が見込まれ、2025年の市場規模は100兆円に達するという試算もあります。欧米の大手企業は、水ビジネスを設備の建設から維持管理まで一貫して受注していますが、日本では、維持管理を自治体が行ってきたため、企業にノウハウが乏しいのが弱点でした。関係者によりますと、産業革新機構は、日本企業による海外での水ビジネスを後押しするため、週明けに東京都と覚え書きを結び、上下水道の維持管理に関する技術や情報を提供してもらうことになりました。そのうえで、産業革新機構は、「三菱商事」やエンジニアリング大手の「日揮」、ポンプメーカーの「荏原」が共同で検討しているオーストラリアの水道管理会社の買収について、実現すれば、出資や東京都のノウハウなどの提供を視野に入れています。海外での水ビジネスは、政府も成長戦略の一つに位置づけており、自治体も巻き込んだ支援の動きが遅れていた日本勢の受注増につながるか注目されます。
http://knowjapan.seesaa.net/article/142984991.html
『VOICE』 6月号 2010年5月10日発売  PHP研究所
「インフラ輸出の未来を拓く『水ビジネス』最前線」 藤沢久美 (一部抜粋しています)
アブダビ原発、韓国が受注」。昨年末、閉塞感漂う日本に、未来への希望をさらに打ち砕くようなニュースが飛び込んできた。マスコミは、韓国の李明博大統領がアブダビに何度も足を運び、トップ営業を行ったことを挙げ、日本政府の協力体制が足りなかった、と書いた。一方、経済産業省のある幹部は、「これは日本ビジネスモデルの敗北です。日本は、アブダビ原子力発電所というプラントを売りにいった。しかし韓国は60年間、安定的に電気を供給すると提案した。電気を売りにいったのです」。と反省の弁を述べた。
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産業革新機構COOの朝倉氏も、米国有数の投資会社での高い実績をもつプロフェッショナルのお一人だ。水ビジネスをはじめとした日本のコンソーシアムを用いたインフラ事業の輸出について、大きく3つの課題を指摘してもらった。
1つは、長期契約と資金回収のリスクだ。前述の岩泉氏も、「フランスのヴェオリアスエズを研究すればするほど、いったいどうやって利益を出しているのだろうかと思うことがあります。中国に対して50年間の契約を結んだりしているのです。50年先なんて、どうなるかわかりませんよね。それでも、50年先までフランス側は損をせず、きちんと利益を上げていけるように考え抜かれた契約書を交わしているんです」とライバルの研究を通じて、課題の難しさを実感したという。こうした長期にわたる契約には、資金の回収が滞ることがないように、契約のなかに、さまざまな条件を入れておく必要がある。しかも、それは一方的ではなく、交渉の上で埋め込んでいくため、そうとう高いスキルが必要であることは間違いない。大手のヴェオリアスエズでも、こうした人材は、社内に2、3人程度だといわれている。はたして、日本にそうした人材がいるのだろうか。また日本企業は思い切って、こうした人材を採用することができるのだろうか。ここにもまた、従来からある企業内文化の壁が立ちはだかっているのではないかと懸念してしまう。
さらに、昨年のドバイ・ショックによって、鉄道事業の支払いが滞ってしまったというニュースは記憶に新しいと思うが、インフラ事業というのは、多額の金額が必要であると同時に、その回収は長期にわたる。それを担保にするための契約は、国の外交的な条件提示なども併せ技として必要であることは間違いない。したがって国は、インフラ事業の輸出において、長期的な資金や保険機能をコンソーシアムに対して提供するだけでなく、外交という技を駆使した両国間の契約の確実な履行という後押しもまた不可欠なのである。
2つ目の課題は、国際標準を取ることだ。すでに、スマートグリッド(賢い送電網)などの分野や、家電や電気自動車の接続端子や形式などにおいて、世界標準を米国やEUに押さえられつつあるというニュースが飛び交っている。インフラとは、言い換えれば、さまざまなものの基礎になるものであり、それそのものがある意味、その国の標準であるともいえるものだが、世界的なトップ企業を束ねてそのインフラづくりに参画するならば、効率性を求めるトップ企業にビジネスチャンスが広がる世界標準の仕様を提示することもまた、国際競争力を高めるうえで、きわめて重要な事項となる。
たとえば、国際入札の現場において、現地資本と合弁で入札に参加しようとした場合、現地企業が合弁の判断をする一つの鍵は、国際標準をもっているかということだといえる。技術や質がいかに高くても、それが国際標準でなければ、たとえ技術や質が低くても世界標準のほうに流れてしまうのは否めない。「そもそも世界標準というのは、戦略的に取りにくいものなのです。世界標準がいかにして決められているのかといえば、さまざまな分野に標準化委員会というものがあり、そこには自国の利益を代表するさまざまな人材が各国から、戦略的に送り込まれるのです」と朝倉氏は指摘する。事実、こうした戦略に関しては欧州がやはり強く、電力インフラも、通信インフラも、だいたいがヨーロッパ型の標準になっている。では、どのように世界標準を取りにいくべきなのか。
「これを超えれば必ずうまくいくという話ではありませんが、まずは意識を外に向けていくことが重要です」と朝倉氏はいう。すでに世界標準の方向が決まりつつあるものに関しては、世界標準に近いポジションを取りにいくのも一つの方法で、それは欧州企業との合弁であったり、買収も選択肢となる。もはや、日本の中で戦って日本一になっても、世界で評価される時代ではなく、最初から世界をみていなくてはいけない時代になってしまったのだ。
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3番目の課題が、すでに挙がっている課題の根底を流れるものであるが、インフラ産業を海外に輸出することが国益にかなうという覚悟を、国と企業が本当にもつことができるかということだ。
「オリンピックにたとえると、わかりやすいかもしれません。韓国のように、オリンピックに出場できる人の数は絞り込むが、必ず金メダルを取れるように国や組織を挙げてバックアップするのか、日本のように、メダルは取れなくても、出場できる選手の数を増やして、入賞すれば良かったと評価するか、その違いです」と朝倉氏はいう。特定の産業や特定の企業を国が集中的に支援することを日本の社会は受け入れることができるか、政府は決断できるか、そして企業においても、一つの部門のチャレンジを全社的に後押しできるかという覚悟が問われているといえる。護送船団方式、横並び社会を選んできた日本において、社会だけでなく、企業内においても、目立つものは足を引っ張られるという風潮が依然横たわっている。この文化を打破して出る杭(くい)をみんなで後押しする覚悟を日本はもつことができるか。
新政権になって、公平、平等、そんな言葉が以前にも増して強く打ち出されるようになったいま、同時に議論されはじめたインフラ事業の輸出というテーマ。これはある意味、短期的な不平等を容認し、長期的な公平という経済リターンを得ようという戦略である。産業も企業も自治体も、支援を受けられるところとそうでないところが確実に出てくる。また出てこなければ、海外でインフラ事業を取ることはできない。

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どうでもいい、じじぃの日記。
『VOICE』 6月号を買った。
『VOICE』の表紙は「総力特集:サムスンに負けない!日本企業の新・成長戦略」である。
もうひとつの特集は「特集:さようなら、民主党だ。
低迷する日本に比べて、躍進いちじるしい韓国がこの本から浮かび上がってくる。
藤沢久美さんの記事「インフラ輸出の未来を拓く『水ビジネス』最前線」で水メジャーといわれるヴェオリアスエズのビジネスの実態を初めて知った。
2/18、テレビ東京 朝のニュース番組『Eモニ』をぼけっと観ていたら、武蔵情報開発の杉山勝彦さんがこんなことを言っていた。
司会者 水ビジネスは急成長ですが。2005年には60兆円だったのが2025年には111兆円が見込まれています。「水道事業」の100兆円に日本は入り込めるでしょうか。
杉山氏 「水道事業」はいわゆる水メジャーというのが存在していて、日本は食い込むことができない状態です。日本では東京都などが公共でやってきたので、民間に「水道事業」のノウハウがない。
http://d.hatena.ne.jp/cool-hira/20100219/1266527451
記事の冒頭で
「日本は、アブダビ原子力発電所というプラントを売りにいった。しかし韓国は60年間、安定的に電気を供給すると提案した。電気を売りにいったのです」
ヴェオリアスエズのビジネスの実態で
「中国に対して50年間の契約を結んだりしているのです。50年先なんて、どうなるかわかりませんよね。それでも、50年先までフランス側は損をせず、きちんと利益を上げていけるように考え抜かれた契約書を交わしているんです」
韓国のやり方は水メジャーヴェオリアスエズのやりかたと同じなのだ!!。
もしかしたら、この「アブダビ原発、韓国が受注」は日本沈没への分水嶺なのかもしれない。