じじぃの「未解決ファイル_91_放線菌」

ノーベル医学・生理学賞に大村智さん (追加) 2015年10月5日 NHKニュース
ことしのノーベル医学・生理学賞の受賞者に、熱帯の寄生虫の病気に効果がある抗生物質を発見したことなどで知られる北里大学特別栄誉教授の大村智さんが、アイルランド出身の研究者と中国の研究者と共に選ばれました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151005/k10010259391000.html
NITEってなぁに? 微生物いろいろ 放線菌
放線菌
主に土壌中に生息する原核(げんかく)微生物で、細胞の構造や大きさは細菌類と似ているが、糸状菌(しじょうきん)(カビ)のように放射状に菌糸(きんし)が生育しその先端に様々な形の胞子を形成する。生態系においては、落葉などの有機物の分解や物質循環に関わる分解者として大きな役割を果たしている。
http://www.nite.go.jp/kids/bio/04_04.html
イチゴ農家 甘い朗報 炭疽病害防ぐ微生物発見 静大 2010年5月1日 産経新聞
 イチゴの収穫に深刻な被害を引き起こすカビの一種の病害「イチゴ炭疽(たんそ)病」の発生防止に有効とみられる微生物を、静岡大学のチームが突き止めたことが30日、分かった。同病害による被害額は全国で年間160億円以上といわれる。この微生物を多く含む堆肥(たいひ)は、今夏にも一般に販売される計画という。
 同大農学部の徳山真治准教授によると、イチゴ炭疽病は苗や畑に、カビの一種である菌が入り込み、収穫直前などに葉が枯れてしまう病気。雨が大量に降り、翌日に晴天となった場合に、ビニールハウス内で発生しやすい。外見を見ただけでは、感染が分からないことが多く、収穫期を直前に控えた10月ごろまで育てた段階で突然枯れ、収穫できなくなる。
 同じビニールハウスの苗が全滅することもあるという。農薬などで被害を防ぐ手もあるが、残留農薬などの問題で、現在はほとんど使われていないようだ。
 徳山准教授は、700種類ともいわれる放線菌と呼ばれる微生物のうち、地中にいる3種類が炭疽病の抑制に効果がみられることを発見。試験の結果、この3種類の放線菌を使えば、25%以下に炭疽病の発生が抑えられる可能性が高いことが分かった。実験レベルでは、微生物のエサとなる粉砕したカニ殻を入れた場合は、発生がゼロだった。
 徳山准教授は「イチゴ農家の経営の安定化にもつながる。農家の存続の手助けになれば」と話している。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20100501045.html
サイエンスZERO 「夢の化学工場“放線菌”」 2015年1月11日 NHK Eテレ
【司会】江崎史恵(アナウンサー)、竹内薫 (サイエンス作家)、南沢奈央 (女優)  【ゲスト】大西康夫(東京大学大学院 農学生命科学研究科教授)
1943年に発見された結核の特効薬ストレプトマイシンをはじめ、抗生物質抗がん剤など、さまざまな薬を生みだしてきたのが“放線菌”。
非常に進化した細菌で、遺伝子の量が多いのが特徴だ。その放線菌に新しい技術を導入することで、さらに多くの種類の抗生物質などが得られるようになってきた。また、放線菌から超高性能プラスチックの原料も作れるという。放線菌をいわば夢の化学工場にしようという新しい技術を紹介する。
放線菌の遺伝子のうち約80%が、通常の生育条件では活動しない「休眠遺伝子」です。この眠ったままの遺伝子を目覚めさせることができれば、これまで以上に大量の抗生物質を、あるいはまだ実用化されていない新たな抗生物質を作り出せるかもしれない。
http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp491.html
サイエンスZERO 「つながる生物の謎 土の中の小宇宙」 2010年4月17日 NHK Eテレ
【ゲスト】茨城大学農学部准教授 成澤才彦 【コメンテーター】東京女子大学教授 黒崎政男 【司会】安めぐみ、山田賢治
1gの土の中には、バクテリアだけで50億個体もいるというが、微生物の実に99%が未知のものだと考えられている。多くの微生物は実験室では培養できなかったり、周囲の環境や植物などに依存して生きていたりするからだ。ところが近年、遺伝子解析技術が進んだことや、周りの環境との相互作用に注目した研究が行われるようになったことで、生き物同士の不思議な関係性が次々とわかってきた。なかでも植物の細胞内に入り込み、共生する微生物「エンドファイト」は、いま大きな注目を集めている。エンドファイトは、根から感染して植物の細胞に侵入するが、その際、植物と微生物がシグナル物質を出し合って、あたかも会話を交わすかのごとく、相手を確かめる様子が明らかになってきた。またエンドファイトは、植物に必要な養分を供給するだけでなく、植物の病気や環境への耐性を高めることも確かめられた。こうした性質を農業に利用することで、収量の増加をめざす試みも始まった。
また、土の微生物と小動物とのつながりもある。多くの微生物はふだん、じっと眠っているような状態だが、ヤスデやミミズなどによって、土と一緒に食べられると、そのお腹の中で活性化し、急激に増殖を始めることも確かめられている。
私たちの足元に広がる土の中という小宇宙、そこで繰り広げられる、生き物の不思議なつながりに迫る。
http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp302.html
日本と世界の実力がわかる資源の本 世界博学倶楽部/著 PHP文庫 2009年発行
遺伝資源 自然保有国に求められる環境保護の必要性
遺伝子も立派な資源である
生物の遺伝子は独自の機能をもつものが多く、医学や生物工学に利用することで人類に有用となるケースもある。そういった意味では、遺伝子は立派な資源であり、古くからその取扱いに関する国際ルールが定められてきた。
だが、1993年に発行した「生物多様性条約」は、従来の考え方を180度転換させるものとなった。「遺伝資源は人類の共通の財産」という認識がこの条約によってひっくり返り、原産国の権利が認められるようになったのである。
たとえば、ある植物の原種を利用する場合は原産国に対して事前に同意を得なければならず、また、その原種によって利益を得た場合は原産国に配分しなければならない。もっとも、現在はこれらを規定したガイドラインに法的拘束力がないため、原産国側から先進国に対して早く制定してほしいとの要望が出されている。
なお、「生物多様性条約」のなかには、栽培植物の原種保護だけでなく、家畜などの系統保護、野生生物の地域個体群保護なども含まれている。
熱帯林は新薬開発の宝庫
遺伝資源としてとくに貴重とされているのが、熱帯林の植物である。
たとえば、アマゾン河流域に住む人々ははるか昔から独自の医療技術を培(つちか)ってきた。その技術には熱帯林の生物がもつバイオパワーを利用したものが多く、欧米の製薬会社や研究会社がそれに目をつけた。そして住民から情報を得て植物を採取し、新訳開発の参考にしたのである。
しかしながら、「生物多様性条約」以前は、こうした経緯を経て開発された新薬の利益がアマゾンの住民たちに還元されることはなかった。そこで、近年ブラジル政府はアマゾンの遺伝資源を国外へもち出すのを禁止したのだ。もち出す場合には特許料の支払いを求めている。だが、前述のように「生物多様性条約」には法的拘束力がないため、毎年100億ドルもの損失を被っている。
現在、法的拘束力のある国際的枠組みを策定することの是非をめぐって、交渉が行われている。しかし、今後の成りゆくはまだ不透明なままだ。

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どうでもいい、じじぃの日記。
4/17、NHK Eテレ サイエンスZERO 「つながる生物の謎 土の中の小宇宙」を観た。
司会の安めぐみさんが土をほんの少し採取した。驚くなかれ、1グラムの土の中にはバクテリアだけで50億個体もいるという。その微生物の実に99%が未知のものなんだそうだ。
その土の微生物の中に、いろいろな放線菌がいる。放線菌はカビに似た複雑な形態分化を行う細菌で、土壌をその主な分布域とする。
放線菌から今までいろいろな抗生物質が作り出されてきた。細菌感染症治療薬として使用されているストレプトマイシン、リファマイシン、エリスロマイシン、オレアンドマイシンなど、抗寄生虫エバーメクチン、抗ガン剤として用いられているブレオマイシンやダウノマイシン、免疫抑制剤、イネ馬鹿稲病用農薬バリダマイシンなどである。
ストレプトマイシン結核の化学療法剤として広く用いられている。
ブラジル、インドネシア、フィリピンなど熱帯地帯は、これら微生物の宝庫だ。
『日本と世界の実力がわかる資源の本』の本に「生物多様性条約」のことが書かれている。
先進国が勝手に原産国から持ち出した植物、微生物など遺伝資源から得た利益を原産国に還元せよというものだ。
遺伝資源は「人類共有の資産」から「原産国の権利」に変わった。
しかし、この遺伝資源から新たな抗ガン剤を見つけたり、糖尿病に有効な医薬品を作った場合、その開発に成功した国に莫大な富をもららすことには違いないのだ。