じじぃの「未解決ファイル_67_田んぼの生き物」

メダカのがっこう:中村陽子のコラム
http://medaka-yoko.seesaa.net/category/5470626-1.html
第179回「村で急増!ふしぎなタカ」:ダーウィンが来た生きもの新伝説 2010.1.24 NHK
【語り】松本和也龍田直樹豊嶋真千子
日本で繁殖するワシやタカの仲間で、50つがい前後と最も数の少ないタカがチュウヒです。ところが、そのチュウヒの巣が去年、秋田県大潟村で一挙22も発見されました。巨大な湖・八郎潟干拓して作られた大潟村の環境とチュウヒの生態とが驚くほどマッチしていたのです。取材陣は大潟村のチュウヒに密着取材、本邦初公開の子育てから、ワシやタカとしては他に例を見ない飛行術、アクロバティックな求愛行動など、ふしぎなタカのふしぎな暮らしぶりを克明に記録しました。
http://www.nhk.or.jp/darwin/program/program179.html
天と地と人の間で―生態学から広がる世界』 鷲谷 いづみ/著 岩波書店 2006年発行
田んぼの生き物の将来 (一部抜粋しています)
「田んぼにはいつどんな生き物がどれくらいみられるのか?」
NPO法人「農と自然の研究所」の呼びかけに応えて、全国の志高き農民たちが田んぼの生物多様性調査を行った。その報告会を兼ねて2003年春にシンポジウムが開かれる。そこでは、「農と自然の研究所」の調査の報告に加え、農林水産省環境省が共同で実地した田んぼや水路の生物調査の結果も紹介され、農と生物多様性について、民、官、学のそれぞれの立場から、現状と将来を語り合う場ともなるはずである。
日本の生物相はじつに豊かである。その際だった豊かさは、同じ温帯地域の面積も同程度の島国であるイギリスやニュージーランドなどと比べるとよくわかる。その理由としては、南北に長く複雑な地形をもつ日本列島における環境の多様さに加えて、最終氷河期に氷河の影響をそれほどには受けなかったため古い時代の生物相が温存されていることもあげられる。しかし、それだけでなく、農耕がはじまって以来の人の自然との向きあい方や、営みのあり方も、その理由といえそうだ。
それは、日本を特徴づける生き物ともいえる両生類とトンボ類の豊さにも表れている。イギリスには7種、ニュージーランドには3種しか両生類が生息していないが、日本には61種も生息しており、しかも日本だけに生息する固有種はその74%の45種にも上る。日本には197種のトンボ目の昆虫が生息しているが、それはイギリスの53種をはるかにしのぎ、ヨーロッパ全体の種数160種よりも多い。
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近年になると、水田そのものを消失させる開発、耕作の放棄による植生遷移の進行、圃場整備による乾田化、用水路のパイプライン化と排水路のコンクリート三面張り化、農薬や過剰な化学肥料による汚染によって、田んぼや水路で生活する生物の生息条件は悪化し、かってはめずらしくもなんともなかったメダカやタガメダルマガエルやトノサマガエルが姿を消し、トンボや他の水生昆虫の種類も数が激減した。
田んぼとそれを取り巻く環境が貧しく不安定なものになったことへの危惧が広がり、今では生き物の豊かな田んぼや里山を取り戻すためのさまざまな取り組みがはじまっている。たんぼの生き物調査もそのひとつである。生き物のにぎわいのある田んぼであれば当然そこには消費者が安心して口にすることのできる農作物が育つはずだ。田んぼの生き物のにぎわいは食の安心への保証でもある。
ところが、そのような取り組みを支える科学研究や技術的な支援はいちじるしく立ち遅れている。田んぼや水路などの物理条件を生物の生息可能性にあわせるための研究は始まったものの、生態系としての田んぼや生き物のにぎわいを保ちつつ効率よく作物をつくる技術の研究に取り込んでいる研究者は、ごく、わずかである。いま流行の遺伝子組換え作物、遺伝子組換え生物農薬、「環境改善用の」遺伝子組換え微生物などの研究に大挙して取り組んでいる研究者の数に比べれば皆無といってよいほどだ。
現在の研究者と研究費の投入先が、農という産業の将来にそのまま反映すると仮定して将来像を描いてみると、次のようになる。
省力化のため水田は大規模化し、そこには多国籍企業の種子を購入して栽培される遺伝子組換えイネが整然と育ち、トンボやカエルや小魚や雑草などはすっかり姿を消している。水田から転換された大豆畑などの畑にもさまざまな目的の遺伝子操作を施した遺伝子組換え作物や花卉(かき)が栽培されている。湖や池沼の水辺からは在来の水草の姿は消え、水質浄化用に遺伝子操作されたヨシや水草の単調な群落に置き換えられいる。視覚では確認できない多様な遺伝子組換え微生物が土壌改良や水質改善という名目であちこちにまかれ、土壌の微生物相も従来のものとは大きく変えられている。
現在の研究投資が十分に有効だった場合の将来像を想像してみたが、広範な国民は、本当にそんな農のあり方を望んでいるのだろうか。
研究投資が向けられている方向と健全な生態系や食の安全・安心をのぞむ国民の願いとの間にあまりにもおおきな乖離がある、と感じるのは私だけだろうか。

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どうでもいい、じじぃの日記。
1/24、NHKダーウィンが来た生きもの新伝説」を観た。
場所は秋田県大潟村
今から50年前、ここは八郎潟という湖であった。日本で琵琶湖に次ぐ大きな湖だった。
湖の水を抜き、1964年(昭和39年)に大潟村が誕生した。
この大潟村に、タカの一種であるチュウヒが大繁殖しているのだ。
この番組は大潟村のチュウヒの子育て、変わった飛行術、アクロバティックな求愛行動など、不思議な生態を克明に記録したドキュメンタリ番組だった。
この大潟村の田んぼには、人間が一緒に共生しているのもかかわらず、昔、見た田園風景が広がっているのだ。
ほとんど、農薬の使わない水田。水田にはいろんな生き物が棲んでいる。小川にはメダカが泳いでいる。秋にはトンボが乱舞している。
番組を観て、こんなところがあったのだという驚きだった。
こんなところに住んでみたいと思っても、かなわぬ夢なのだろうが。