じじぃの「人の死にざま_86_フグ」

アンディ・フグ - あのひと検索 SPYSEE
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アンディ・フグの生涯』 谷川貞治著 石井和義監修 広済堂出版
角田信朗インタビュー (一部抜粋しています)
アンディは本当は日本人になりたかったんじゃないと思うんですよ
−−角田さんから見たアンディというのはどういう選手だったと思いますか?
角田 アンディは「日本人を愛した」「日本人になりたかった」とか言われるじゃないですか。僕はね、皆さんの神経を逆撫でするようで申し訳ないですけど、彼はね。日本人になりたかったんじゃないと思う。彼は"空手家"になりたかったんだろうし、"侍"になりたかったんだと思う。空手というものは、日本で生まれたものだし、それは侍もそうでね。だから、その日本の哲学というか、武士道が日本の哲学であるとイコールで結べないかもしれないけど、僕自身は少なくとも彼が空手道とか武士道とか侍の中に、ピンとくる哲学を見い出だしたんだと思うんですよ。
−−なるほど。
角田 それはなんでと言われたら、彼がね、そういう業の深さというか、侍として生まれてきて、侍として35歳の若さで10万人に何人しか 罹(かか)らない病気に罹ってね。僕は亡くなったアンディに言いましたよ。「お前、ハリウッドにいくとかへったくれ言うとったけど、こんな鉄人が白血病で死ぬなんてシナリオな、ハリウッドで却下されるぞ。お前、おもろないって、こんなストーリー」って。でもね、そういう運命と業の深さを持って生まれてきた男だと思うから、なぜ武道に惹かれたかっていう理由はないと思うんです。彼は僕らがなぜか空手をやったり、歯を磨いているのかと一緒で、自分の生い立ちとか、人との偶然の出会いの積み重ねの中で、武士道、空手道というものに触れた。だから、僕ね、彼が日本の若手に対して厳しいこと言って、極真のファイターたちはスピリットがあるとか言ってたでしょ? それは彼が空手道の哲学をそこに見い出しているから、髪の毛を染めたりするファイターに対して、「空手道っていうのはそうじゃないんじゃないのか、お前たち空手道は日本で生まれたんだぞ。空手道、武士道を生みだした日本人が、なんでその哲学を否定するようなことをするんだ」という、厳しさだったような気がするんですよ。
−−それがあの発言だったんですかね。
角田 空手道とはこうだ、というカテゴリーの中での哲学が、アンディの中にはあったと思うんです。それを全うして追求していきたかったんじゃないかと。武士家とか、侍みたいなものを、自分の中で最大級に美化してそこに近づこうとしてたんじゃないですかね。ホント、アンディは伝説になるために生まれてきたんじゃないかと思いますよ。
−−そういう部分もありながら、角田さんはテレビなどでもアンディと一緒に出てましたよね。
角田 アンディはいつも「カクタンディ」って、これは「角田&アンディ」の略なんですけど、「オレたちはユニットだ」って言ってたんですよ。僕と一緒にテレビに出る時は通訳はいらないって言うんです。「カクダはオレの言うことを全部分かってるから、カクダが訳してくれたらいい」と。それで、僕が訳すと周りの反応もいいわけですよ。例えば、『生ダラ』でタカ(石橋貴明)さんが「これに買ったらk-1やらしてもらうよ」って言った時に、アンディが「DOOD SPRIT」って言ったのかな。それが通訳だったら「いい、スピリットです」って訳すでしょ。それを僕は「見上げた野郎だって言ってますよ」って言ったらドッとウケたわけですよ。アンディはそれが気持ち良かったみたいですね。去年の11月に『フレンドパーク』に出してもらった時に、ホントにアンディがね、あんなに嬉しそうにしてる顔を初めて見ましたよ。とにかく「カクタンディ、カクタンディ」って言うんですよ。「これこそ、ユニットだ」みたいな感じでね。終わった後に焼き肉を食べに行って別れる時にね「カクダさん、ホント、今日楽しかった」って抱きしめるんですよ。こっちがテレるくらい。これも今にしてみればこじつけですけど、アンディが僕とのパートナーシップというかフレンドシップという最高のものを置きみやげとして表現した、最後の仕事だったんじゃないかと思うんですよね。
−−角田さんがアンディと最後に話をしたのはいつですか?
角田 7月29日に、名古屋大会のルール・ミーティングの時にアンディが来てて「カバンを無くした」って。それで「ホント、バカ」って自分で言ってた。それで僕が「アンディさん、ホントバカだねぇ」って会話したのが、最後の会話でした。
−−角田さんは、アンディの病気の話について聞かれたのはいつでしたか?
角田 亡くなる日の朝でした。
−−それで急いで大阪から駆けつけたんですね。
角田 はい。4時過ぎくらいに病院に着いたんですよ。病室に入ったらあんな格好してるから・・・・
−−ビックリしたでしょう。
角田 第一声が「何してんねん、お前」って。「お前、言うてることとしてること全然ちがうやないか」って。とにかくこの現状を取り乱すことなく受け止めなくてはいけないと思ったから、「今の現状はもうこのまま衰弱していって、心臓が止まるのを待つ以外方法はないんですか」と聞いたら、先生から「はっきりいってそういうことです」って。そこで俺は腹をくくったからね。これはもう最後はきちっと見届けてやろうと。
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−−でも、アンディの最後はあまりにも、劇的すぎましたよね。
角田 それは、こういうふうに伝説になるために生まれてきたヤツだったからなんでしょうね。悲しいことやけど、伝説になったんやから、いいやんそれはそれで、良かったやんけアンディって思いますよ。お前の思ったとおりの死に方で、って。ホントにね。自分もこんな死に方したいって思いましたよ。僕も侍としてこんなふうに散ってみたいなって。だから、アンディの死に顔ってあんなにね、最後苦しんだにも関わらず、穏やかで笑っているでしょ。

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次回の知ってるつもり?!
2000/10/22 放送 「青い目のサムライ 〜アンディ・フグ〜」
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