じじぃの「ボリュームゾーン2」考

新興国に低価格モデル メーカーの勝算 2009年08月04日(Tue) WEDGE編集部
「価格は(100ドルを切る)99ドルですが、性能は従来のデジカメと何ら変わりがありません。今年は全世界で200万台以上は売りたいですねえ」─。
 富士フイルムの松本雅岳・電子映像事業部営業部長は開発まもないコンパクトタイプの“99ドルデジカメ”を手に満面に笑みを浮かべた。
“99ドルデジカメ”は富士フイルムが中国やインドなど新興国市場開拓の切り札として開発した。8月から日本を含む全世界で販売するが、いくら価格下落傾向が続くとはいえ、「平均売価は180ドル前後」(松本部長)といわれるコンパクト型デジタルカメラ市場では半値近い思い切った値付けだ。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/470
INAX、水まわりブランド「アメリカン スタンダード」のアジア部門を買収 2009年05月20日 日経トレンディネット
住生活グループ傘下のINAXは5月18日、世界的水まわりブランド「アメリカン スタンダード」を保有するルクセンブルクのアイデアル・スタンダード・インターナショナル・ホールディング(ISI)から、アジア部門を買収すると発表した。これによってアジア・太平洋地域9カ国の事業拠点を獲得する。
 「アメリカン スタンダード」は、19世紀後半に米国で設立され、世界的に水回り事業を展開しているブランド。買収するのは、中国、韓国、インド、インドネシア、フィリピン、シンガポール、タイの7カ国8社の事業会社で、株式と知的財産権を取得する。取得総額は、1億1200万ユーロ(約144億円)を基準価格として、株式引渡し期日(6月30日)の資本額などで調整する。
 いずれも衛生陶器と水栓金具などの製造販売を行っており、中国・タイ・韓国を主要拠点としてアジア各国で高い販売シェアを持つ。連結売上高は約1億8000万ユーロ、総従業員は約3800人(ともに2008年末現在)。
 INAXは買収によってアジア地域での強力な販売網を獲得。既存生産拠点と合わせて生産能力を増強し、アメリカン スタンダードの販路を活用した自社製品の販売などのシナジーも見込む。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/news/20090520/1026378/
世界のボリュームゾーン 中所得者を狙え:ワールドビジネスサテライト 動画 テレビ東京 2009.05.28
高機能を追求し続け、世界で戦ってきた日本の電機メーカー。しかし世界市場の構造が大きく変わり続ける今、戦略の見直しを迫られています。
http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/highlight/o1_28.html
クローズアップ現代』「シリーズ アジア新戦略(2)“ボリュームゾーン”を狙え」 2009年9月17日 NHK
【キャスター】国谷裕子 【コメンテーター】慶応義塾大学教授 木村福成
30億人の巨大市場へと変貌し、世界経済の主役に躍り出ようとしているアジア。
欧米市場の回復が遅れ、国内の需要の先細りが避けられない中、日本企業がアジア・シフトを本格化させている。日本企業の新戦略に迫る2回シリーズ、2回目は、ボリュームゾーンと呼ばれる新しい購買層への参入に挑む製造業。エアコンメーカーのダイキンは、秘蔵の技術を渡して中国メーカーと提携した。コストを削減するための苦渋の決断だった。販売網の獲得も大きな課題になっている。シャープは中国政府が進める「家電下郷」をチャンスと見て農村部に入り込み一から販売網を築こうとしているが韓国勢などの存在に苦戦。INAXは販売網を一気に獲得するためM&Aを行ったが、販売戦略の調整に苦慮している。
どうすれば成長アジアの果実を得ることが出来るのか、あの手この手でアジア市場に挑む、日本メーカーの苦闘を追う。
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_2790.html
どうでもいい、じじぃの日記。
9/17、NHKクローズアップ現代』「シリーズ アジア新戦略(2)“ボリュームゾーン”を狙え」を観た。
『経済ワイド ビジョンe』で観たときは、ボリュームゾーンを狙えとしてダイキンの例を取り上げていたが、今回『クローズアップ現代』ではデジカメで富士フイルム、ケータイでシャープ、洋式トイレではイナックス、そしてエアコンのダイキンが例として取り上げられていた。
アジアの新中間層、ボリュームゾーンと呼ばれる年収45万〜315万円の人々が急に増えている。アジアで8億8000万人になる。
このボリュームゾーンには中国・韓国が先行してシェアを伸ばしている。
富士フイルムがこのボリュームゾーン向けに約1万円台のデジカメを発表した。
シャープが北京でケータイ2万円台の低価格商品を発表した。しかし、この分野でSAMSUNやLGの韓国製が10〜20%安い。
店員、「日本一といってもここではブランドがないのと同じだ」
店の客、「日本と韓国の品質は変わりませんよ。それなら韓国製を選びますよ」
韓国にどう対抗したらいいのか。ボリュームゾーンで利益を上げるには販路を拡大しなければならない。
シャープは中国の若者向けに15種増やした。だが、600元、約1万円が売れすじだ。
洋式トイレのメーカーイナックスの場合、リーマンショックの影響で最終赤字に落ち込んだが約150億円をかけてアジアの老舗メーカーの買収を行った。
住宅の建設ラッシュの続くアジアで風呂やトイレの需要が大きい。従来のしゃがむ方式から座る洋式の水洗へトイレの新たな需要が生まれている。この買収でアジア全域に広がる販売網と現地のニーズに合わせた商品開発のノウハウを手に入れた。そしてボリュームゾーン向けの洋式トイレの生産がベトナムで始まった。
イナックス社長、「アジアの国が経済発展すると、必ず都市化が起こってくる。ビジネスチャンスだ」
ダイキンは今年2月に中国の格力と提携発表した。格力は大幅に安い製品を大量生産する技術を持つ。
格力は提携の条件にダイキンの最新の省エネ技術の提供を要求してきた。
ダイキンが誇るインバーター技術である。モーターの回転を制御することで消費電力を3割抑えることができる。
社内で反対する社員が出た。辞めていく社員まで出た。が、社長は最新の省エネ技術を出すことに決めた。
「虎の子の技術を出すこともやむをえない」
この提携で、格力は中国で、ダイキンは自社ブランドでアジアで販売することができるようになった。
ただし、エアコンの大量生産中、製品に「ハリ」という小さな突起物があったりする映像が流れた。
ダイキン社長、「右手で握手し、左手で殴り合いだ」
国谷 ボリュームゾーンの中間層を取り込むにはどうしたらいいのか。
木村 韓国企業は日本と競合しない層を狙ってきたが、今になってそのやってきたことが当たってきた。
国谷 ダイキンの例のように、中国に大量生産技術に優れた企業が出てきたが。
木村 圧倒的な技術を持っていれば、中国に少しづつ、技術を出すということもあるだろう。
国谷 品質重視でいくのか、安さでいくのか、難しい。自分のブランドイメージをどう守るのか。
木村 アジアは成長しているので日本も頑張ればやっていける、経営者として面白いという見方もある。
国谷 日本企業はアジアに移るのか。
木村 日本にはまだ優れた企業が多い。ある工程がアジアに移っても、研究などを残していくという方法もある。
じじぃの印象。
『経済ワイド ビジョンe』で観たとき、ゲストコメンテーターとして岡野工業株式会社の岡野雅行さんが出ていたが、彼の言っていた言葉がずっと印象に残っている。
岡野さん、「安いということはどっかで手を抜くということだ。日本には春夏秋冬がある。製品にキメの細かさがある。向こうは暑いだけでしょう!」
アメリカは製造業のほとんどをアジアに移し、アメリカ国内は空洞化してしまった。
日本はコスト競争で中国には負けるかもしれない。しかし、日本国内の空洞化だけは絶対避けなければならない。空洞化させてまで、または社員を見殺しにしてまでアジアに出かけていくメリットはないだろう。
先日、9/9、フジテレビのスーパーニュースで「日本爆買現場」を観た。
中国の広州からきた中国人団体客のおばさんが言っていた。
秋葉原電気店で。
「とにかく日本製がいいのよ」 「これは、日本製よね」