じじぃの「未解決ファイル_32_常夏の島」

生物を科学する辞典 市石博、早山明彦、降幡高志、その他著 東京堂出版 2007年発行
日本が常夏の島になると?
近年、夏の東京では、かって分布していなかったクマゼミのにぎやかな声を聞くようになった。クマゼミばかりでなく、ツマグロヒョゥモンという亜熱帯性のチョウは、1990年には関東で観察されるようになった。九州や本州西部を主な分布域とするはずのナガサキアゲハは、1995年には近畿全体、2000年には関東地方に、日本海側では北陸南部で姿を現わした。このように昆虫類の北上が続いているひとつの要因として温暖化があげられる。
この100年の間に平均気温は地球全体では0.6度、日本全体で1度、大阪では2度、東京では3度も上昇しているという。2.5度上昇すると南に400km移動したのと同じだということから、南にすむ昆虫類が生息する温度条件を満たしてるのはよくわかる。ただし温度が上がればよいというわけではない。昆虫たちは北上した土地で、生きていくための食物を得なくてはならない。
一般的には、彼らが利用できる植物の分布の拡大は、自ら移動できる昆虫類に比べて遅い。新たな土地で新たな餌に適応できたのが分布を広げることができる。さまざまな樹木の樹液を吸うクマゼミは、新しい土地にも適応しやすい。ツマグロヒョゥモはスミレ類が食草だが、公園などにも植えられているパンジーも幼虫は食べられる。ナガサキアゲハの幼虫はミカン類を食べて育つが、生垣などに使われッているカラタチも食べるので北進は今後も続くと考えられている。
このような昆虫なら、私たち人間の生活に大きく影響を与えることは今のところ考えられない。ところが、北進してくる昆虫類はそのような昆虫ばかりではない。アフリカや欧州で患者が発生した西ナイル熱は、一部の患者は脳炎髄膜炎をおこし、重症者の1割が死亡するという恐ろしい病気であるが、この病気を媒介するアカイエカの幼虫が12月に近畿地方で生存していることが確認された。水中にいる幼虫は日本の冬には生き残れないという常識がくつがえされたことになる。人や物資が世界レベルになっていく中で、このウイルスをもったアカイエカが日本に入ってきて冬越しして定着する可能性は否定できない。
東南アジアなどで感染者の多いデング熱も、流行域を沖縄最南端の与那国島から110kmの南台湾まで分布が広げてきた。この病気のウィルスを媒介するのがヒトスジシマカである。この蚊の分布の北限は栃木県までだったのが、現在は秋田や岩手にまで広がっている。温度が高ければ、蚊の行動は活発になり、また生存する時期も長くなって蚊にさされる機会も増える。ありがたくない話だが、いつでもこの病気が入ってくる素地はできている。熱帯の風土病であるマラリアカによって媒介されるマラリアも日本でも発生し、平清盛の死因はマラリアだったといわれている。そのマラリアも生活環境の改善、媒介蚊の減少にともなって1959年を最後に根絶している。ハマダラカのボウフラは清流の水溜りにくらすが、温暖化にともない北進が予想される。また、海外渡航等でマラリア病原虫をもつようになった日本人が増加すれば、ハマダラカが血液を吸うことでマラリア病原虫の移動を媒介し、今後大発生をひきおこすかもしれない。悪い予測があたらないといいのだが。
日本が常夏の島になることはありがたいことではなさそうだ。

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日本は地球温暖化のリスク少ない、アフリカや南アジアは大きな影響 2009年09月07日 国際ニュース
【9月7日 AFP】アフリカや南アジアの大半の国は気候変動の大きな影響を受けている一方、温暖化ガス排出量の多い国は気候変動の影響を受けにくい傾向にあることが、AFPが2日に入手した、グローバルリスクの分析を企業に提供している英Maplecroftがまとめた「Climate Change Vulnerability Index、CCVI」(気候変動に対するぜい弱性指標)で明らかになった。
これは、166か国を経済、行政機関、貧困・開発、生態系、資源安全保障、インフラから見た人口密度の6つのグループの33の指標でランキング化したもの。地球温暖化がもたらす影響へのそれぞれの国の対処能力を測る数十個の変数から算出した。ランキングが高いほど、気候変動の影響を受けやすい。
ソマリアやハイチ、アフガニスタンがランキングの上位を占めた。また、「リスクが非常に高い」と判断された28か国のうち、22か国がアフリカ諸国だった。一方、ランキング下位には、ノルウェーフィンランド、日本、カナダ、ニュージーランドが名を連ねた。これは、経済力や行政機関の高い統治能力、生態系の保存状態の良さ、資源安全保障能力の高さなどによるものだという。
Maplecroftのアナリスト、フィオナ・プレイス(Fiona Place)氏によると、日本がこの位置を占めている理由としては、インフラの整備が進んでいること、政治・経済システムが安定していること、食糧・飲料水が確保されていることが挙げられるという。日本は食糧の相当部分を輸入に頼っているが、調達先の国が多岐にわたっているためリスクは分散されているとしている。
プレイス氏は、「日本は、管理が行き届いた森林など、生物多様性が比較的豊かで、人間が引き起こした土壌浸食も深刻ではない」と語る。一方で、問題点として、日本の人口は海岸沿いに集中しており海面上昇というリスクに直面していると指摘し、「日本は、気候変動に対するぜい弱性の問題について、深刻に受け止める必要がある」と強調した。
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2638275/4544655
<温暖化>ヒマラヤの氷河、2035年に完全消失か―英紙 2008-11-18 レコードチャイナ
モバイル版URL : http://rchina.jp/article/25909.html
2008年11月17日、14日付の英紙「デイリー・テレグラフ」の報道によると、地球温暖化が今のスピードのままで進めば、ヒマラヤ山脈の氷河は2035年に完全に消失する可能性があるという。新華社通信(電子版)が伝えた。約1万5000か所におよぶヒマラヤ山脈の氷河は、インドを流れるインダス川ガンジス川ブラマプトラ川のなどの主水源で、東南アジア各国10数億人の飲料水はこれらによって賄われているという。
インドの研究所は「カシミール地区のある部分の氷河は、2007年に約22mも侵食を受け、部分的な小型の氷河は完全に消失してしまった」と深刻な状況を報告している。
また、インド気象庁は「地球温暖化が現在のスピードで進めば、氷河が消失する速度はさらに加速される」と指摘し、「近い将来、インド平原の北部を流れる各河川は、水源の枯渇によって特定の時期だけに存在する季節性の河川に変わってしまうだろう」と警告を発している。
ある科学者は「アジアの上空に漂う、厚さ約2マイル(約3.2km)におよぶエアロゾル(浮遊粉塵など)が地球温暖化を加速させている」とし、「従来はエアロゾルが太陽光を遮断して温熱化防止に役立つと考えられていたが、実際にはこれらの物質が太陽光を吸収し、地表の熱を約50%増にしている」と大気汚染が地球温暖化やヒマラヤ氷河の侵食に大きく関係しているとの見方を示している。
http://www.recordchina.co.jp/group/g25909.html
主要国の電源別発電電力量の構成比 電気事業連合会【でんきの情報広場】
http://www.fepc.or.jp/present/jigyou/shuyoukoku/sw_index_03/index.html
香港−東京の距離 1822マイル(2933km)
香港の1月最高温度 18.6 (平均最低 13.6)
香港の8月最高温度 31.3 (平均最低 26.3)
東京の1月最高温度  9.8 (平均最低 1.1)
東京の8月最高温度 30.8 (平均最低 24.2)

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どうでもいい、じじぃの日記。
ネットで「2035年の世界」をキーに検索してみた。
なぜ、2035年なのか。それは2035年には中国がアメリカを抜いてGDPが世界第1位に、インドが世界第3位になると予測している報道があるからだ。
まあ、中国、インドは人口が多いから、そうなるのかもしれない。
2035年の世界で気候はどうなっているのだろう。
地球温暖化ヒマラヤ山脈の氷河はほとんど無くなり、中国に流れる黄河、長江(揚子江)の川、インドに流れるインダス川ガンジス川ブラマプトラ川は特定の時期だけに存在する季節性の川に変わってしまうという。
中国の北京の水の水源は黄河だ。インドの綿花栽培はガンジス川を利用している。これらの川が干し上がってしまうことがあるのだ。
「主要国の電源別発電電力量の構成比」(2006年)をみると日本が石炭による火力発電の構成比が27%であるのに対して中国は80%、インドは68%、アメリカが50%になっている。
地球温暖化に貢献している国?は圧倒的に中国、インド、アメリカなのである。
来年開催される上海万博で、中国共産党は中国の国民に対してどんなバラ色の未来を描いてみせるのだろうか。
2035年の日本はどうなっているのだろう。
確かに、GDPでは中国、インドに抜かれ、世界で4番目の国になっているのかもしれない。
しかし、日本は地球温暖化の影響をもっとも受けない国の一つなのだという。気候変動の影響の最も少ない国はノルウェーフィンランド、日本、カナダ、ニュージーランドだという。
2035年までに現在の温度が2度上昇したとしたら、日本は亜熱帯の島になっているのだろうか。
東京の8月平均最低温度24.2に2度を足すと香港の8月平均最低温度26.3とほぼ同じになる。
まあ、スキーをしようと思えば、人工スキー場で滑ればいいという考えもあるが。