じじぃの「歴史・思想_459_サピエンスの未来・進化の複数のメカニズム」

10. Teilhard De Chardin

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=BrN7kpB16WM

Pierre Teilhard de Chardin

PIERRE TEILHARD DE CHARDIN’S LEGACY OF EUGENICS AND RACISM CAN’T BE IGNORED

MAY 21, 2018 Religion Dispatches
Born in 1881, Teilhard wrote dozens of books and hundreds of essays on the intersection of science, theology, and mysticism.
Soon after he began writing on evolution, however, his work was censured by his Jesuit superiors and Pontifical Councils for his desire to see the evolution of humanity as a central part of Christian theology. Nevertheless, Teilhard continued to write, and in doing so produced an expansive corpus of theological, philosophical, and mystical volumes on the possibilities of interacting Christianity with evolutionary biology.
https://religiondispatches.org/pierre-teilhard-de-chardins-legacy-of-eugenics-and-racism-cant-be-ignored/

ピエール・テイヤール・ド・シャルダン

ウィキペディアWikipedia) より
ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(Pierre Teilhard de Chardin,1881年5月1日 - 1955年4月10日)は、フランス人のカトリック司祭(イエズス会士)で、古生物学者・地質学者、カトリック思想家である。
主著『現象としての人間』で、キリスト教的進化論を提唱し、20世紀の思想界に大きな影響を与える。彼は創世記の伝統的な創造論の立場を破棄した。当時、ローマはこれがアウグスティヌスの原罪の教理の否定になると考えた。北京原人の発見と研究でも知られる。

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『サピエンスの未来 伝説の東大講義』

立花隆/著 講談社現代新書 2021年発行

はじめに より

この本で言わんとしていることを一言で要約するなら、「すべてを進化の相の下に見よ」ということである。「進化の相の下に見る」とはどういうことかについては、本文で詳しく説明しているが、最初に簡単に解説を付け加えておこう。
世界のすべては進化の過程にある。
    ・
我々はいま確かに進化の産物としてここにいる。そして、我々の未来も進化論的に展開していくのである。
我々がどこから来てどこに行こうとしているのかは、進化論的にしか語ることができない。もちろん、それが具体的にどのようなものになろうとしているのかなどといったことは、まだ語るべくもないが、どのような語りがありうるのかといったら、進化論的に語るしかない。
そして、人類の進化論的未来を語るなら、たかだか数年で世代交代を繰り返している産業社会の企業の未来や商品の未来などとちがって、少なくとも数万年の未来を視野において語らなければならない。人類の歴史を過去にたどるとき、ホモ属という属のレベルの歴史をたどるなら、100万年以上過去にさかのばらねばならない。
    ・
本書では、ジュリアン・ハックスレーやテイヤール・ド・シャルダンといったユニークな思想家の発想を手がかりとして、そこを考えてみたいと思っている。

第2章 進化の複数のメカニズム より

ハックスレーが説く進化の3つのメカニズム

ジュリアン・ハックスレーは、この全宇宙で普遍的に進行している進化が人間進化という新しい相に入ったとき、全く新しい段階に入ったというわけです。人間は特別に発達した脳を持つことによって新しい生活領域、新しい活動領域を開拓し、そこにおける新しい進化の方法を獲得したからです。脳が人間にもたらした高度な知的能力、すなわち、思考能力、推論能力、想像力、コミュニケーション能力などなどを駆使して、人間は1つの文化的な共同体世界を作り上げ、それを共有し、発展させていくことをもって、人間の主要な営みとしたわけです。
人間以前の物質進化、生物進化などと全くちがうのは、そこのところです。人間以外の生物進化が、物質的な自然環境をフィールドと展開されてきたのに対して、人間進化は、人間自身が作り上げた物質的な人工物文明と、人間の精神活動を作り上げた非物質的なカルチャーの双方が入りまじったハイブリッドな世界をその主たるフィールドとして展開されてきたわけです。そして、人間が作り上げた世界は文明も文化も基本的な知的世界です。知的世界という意味は、クレヴァーな世界という意味ではなく、ナレッジ(知識)をベースにして、その上に築き上げられた世界だという意味です。人間活動というのは、すべてが人間社会が歴史家に積み上げてきた共有知の上に乗っかっています。この共有知、知の総体をリファインしながら拡大しつづけ、それを世代から世代へ受け渡していく、これが人間の歴史の主要な骨格であるわけです。
    ・
要するに、ここでハックスレーがいわんとしていることは、すべてを進化の相の下に見るといっても、進化にはちがうレベルの進化があり、そこで必ず創発(エマージャンス)が起きるから、すべてを同じことばで語ることは不可能だということです。
物質進化、生物進化、人間進化、この3つのレベルは決定的にちがうわけです。この3つの大進化によって飛びこえられたギャップはあまりにも大きいから、そこではぜんぜん質のちがう現象が起きている。その各領域で成立しているサイエンスは、みんなちがう方法論を持ち、ちがう概念体系を持っている。だから物質科学の言葉では生物を語れないし、生物科学の言葉では、人間社会に起きている現象、あるいは人間の心の中で起きている現象については語りきれないわけです。
進化のメカニズムも三者みんなちがいます。「無機的進化のメカニズムは物理的な、ときには化学的な相互作用で、それは極端にゆっくり作用」します。「生物進化のメカニズムは自然淘汰」です。それに対して、人間社会における進化のメカニズムは何かというと、「主なメカニズムは文化的圧力を通して働く精神的社会的淘汰である」とハックスレーはいいます。
ここでハックスレーは、人間の精神活動における産物、つまり、観念とか、思想とか、価値観とか、信念、信仰といったもののサバイバル競争についていっているわけです。より多くの人により強く信じられ、支持されるものが、人間社会の精神生活の中で生き残っていく。同様に経済システム、政治システム、法制度のあり方においても、より多くの人に強く信じられ、より支持されるものが生き残っていくというわけです。

「知的巨人」テイヤール・ド・シャルダン

ジュリアン・ハックスレーに近いのは、スペンサーではなくて、実はテイヤール・ド・シャルダンです。テイヤール・ド・シャルダンを知っている人はどれくらいいますか?(手をあげる人はほとんどなし。)そんなに知らないのかな。この人は、進化論者、古生物学者として世界的に有名な人手、20世紀の知的巨人として指おり数えられる人間の一人です。せめて名前ぐらいは知っておいてください。
ユネスコ編『科学と綜合』白揚社を示して)さっき紹介したハックスレーの「科学と綜合」というペーパーは、ユネスコ主催のシンポジウムで発表されたものだといいましたが、このシンポジウムは、この本の副題にもあるように、「アインシュタインとテイヤールをめぐって」開かれたものなんです。このシンポジウムが開かれた1965年は、2人の没後10年にあたるとともに、アインシュタイン一般相対性理論の発表後50年にあたりました。そこでそれを記念して開かれたシンポジウムなんです。されに参加した人たちはというと、オッペンハイマー、ハイゼンブルグ、ド・ブロイといった物理学者、生物学のハックスレー、哲学者のメルロ・ポンティなど、超一流の人たちでした。
きみらはその存在を知らなかったかもしれないけど、テイヤール・ド・シャルダンは、アインシュタインとならぶような20世紀を代表する知的巨人だったんです。死後10年を記念して、これだけの人が集まってシンポジウムが開かれたような人なんです。このシンポジウムの開会の辞を時のユネスコ事務局長のルネ・マウがやっています。それを読めば、もう少しテイヤールのことがわかるでしょう。

ハックスレーとテイヤールの知的交流

テイヤール・ド・シャルダンは、イエズス会の神父でした。イエズス会というのは、知的活動に熱心な組織で、ヨーロッパでは初等中等教育から大学までたくさんの有名教育機関を持っており、そういう教育機関の教師はみんなイエズス会の神父なんですね。そこから有名な学者もたくさん生まれています。
テイヤールは、古生物学者としても大変有名な人で、誰でも知っている業績の1つとしては、北京原人の発掘があげられます。
しかし、彼の進化論には、キリスト教の教義と合わない部分があり、生前は、教会から、著作の発表が禁じられていました。ですから生前は、きわめて一部の人にしか彼の思想が伝わらず、一般には無名のままに終わっています。彼の死後、はじめてこの『現象としての人間』が発表されると、世界的な反響を呼び、それから次々と彼が秘かに書きためていた膨大な著作が発表されていったわけです。
ハックスレーは、生前からテイヤールを知る少数者の一人だったので、この本の出版にあたって、「テイヤール・ド・シャルダン――生涯と思想」という長文の解説をつけ加えています。それを読むと、2人がどういう関係だったか、彼がテイヤールをどう評価していたかがよくわかります。

じじぃの「アフリカ・時間の貧困・誰が水汲みをしているのか?女性の世界地図」

Clean Water for East Africa

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=wjrNISRHdTE

Fetching water from a river in Madagascar

Bringing water to Africa’s poor

October 2007 Africa Renewal

Distant goal

Africa faces a number of constraints in achieving expanded access to clean water.
These include an insufficient number of skilled personnel and effective institutions. In some countries, water scarcity or pollution also pose particular challenges. The most common hindrance is the limited resources available to most countries. “Inadequate financing is the single most important factor affecting the continent’s fresh water delivery abilities,” Peter Akari, chief water policy officer of the African Water Facility at the African Development Bank (ADB), told Africa Renewal.
https://www.un.org/africarenewal/magazine/october-2007/bringing-water-africa%E2%80%99s-poor

BS1スペシャル 「良心を束ねて河となす ~医師・中村哲 73年の軌跡~」

NHK
2019年12月、アフガニスタンで銃撃により命を落とした医師・中村哲
長年、戦乱が続く地での医療活動に、飢餓を救うための用水路建設に奔走した中村の生涯に迫る。
https://www.nhk.jp/p/bs1sp/ts/YMKV7LM62W/episode/te/YMVW8211JW/

『女性の世界地図――女たちの経験・現在地・これから』

ジョニー・シーガー/著、中澤高志、大城直樹、荒又美陽、中川秀一、三浦尚子/訳 明石書店 2020年発行

水のために歩く より

家の外で水をくまなければいけないところでは、その仕事は多くの場合、女性か女の子の仕事である。
水汲みは肉体的につらい仕事であり、水を求めて女性が人気(ひとけ)のない場所に行かなければならないこともあり、しばしば危険を伴う。
水自体、きれいでも安全でもない。水汲みは「時間の貧困」の主要な要因である。水汲みに費やされる無償の時間によって、女性や女の子は学校に行ったり、賃労働に従事したり、余暇を楽しんだりといった、他の活動に従事する機会を奪われている。

誰が水汲みをしている?

水道がないサハラ以南のアフリカの世帯 (2006~2009年)
女性が水汲みをしている割合・・・62%
女児による・・・・・・・・・・・ 9%
男性による・・・・・・・・・・・23%
男児による・・・・・・・・・・・ 6%
   
サハラ以南のアフリカ女性は毎日延べ1600万時間を水汲みに費やしている。
男性は600万時間、子供は400万時間である。

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じじぃの日記。
『女性の世界地図』という本を見ていたら、「水のために歩く」という記事が出てきた。
「サハラ以南のアフリカ女性は毎日延べ1600万時間を水汲みに費やしている」
世界の非識字率の統計を見ると、アフリカのサハラ砂漠から赤道にかけた国々に集中している。ニジェール、マリが最低の識字率だ。

「水自体、きれいでも安全でもない。水汲みは『時間の貧困』の主要な要因である」

水汲みをしている子どもたちは、人生の貴重な時間を無駄にしている。
先日、NHK BS1スペシャル 「良心を束ねて河となす ~医師・中村哲 73年の軌跡~」を見た。
アフガニスタンで銃撃により命を落とした医師・中村哲さん。
彼は少年の頃、キリスト教に出会い洗礼を受けクリスチャンとなった人だった。
人間は幼年期にどんなことをして過ごしたか、がその後の人生を決定づけるのかもしれない。

じじぃの「歴史・思想_458_サピエンスの未来・すべてを進化の相の下に見る」

World Evolutionary Humanism, Eugenics and UNESCO Pt 1

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=5nmILo81wvE

ジュリアン・ハクスリー

ウィキペディアWikipedia) より
サー・ジュリアン・ソレル・ハクスリー(Sir Julian Sorell Huxley、1887年6月22日 - 1975年2月14日)は、イギリスの進化生物学者ヒューマニスト、国際間協力の推進者。
自然選択説を強力に擁護し20世紀中盤の 総合進化説の形成を主導した。1935年から1942年までロンドン動物学会の事務局長、1946年から1948年までユネスコの初代事務局長を勤めた。世界自然保護基金の創設メンバーでもある。
ハクスリーは書籍や記事、ラジオ、テレビで科学啓蒙活動を続けたことでよく知られていた。1953年にユネスコから科学普及の功績に対してカリンガ賞を贈られた。1956年にはロンドン王立協会からダーウィンメダルを受賞した。ダーウィンとウォレスが自然選択説を発表してからちょうど100年後の1958年にはロンドン・リンネ学会からダーウィン=ウォレス・メダルが贈られ、同年ナイトに叙された。1959年に人口問題に関する家族計画分野でラスカー財団から特別賞を受賞した。

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『サピエンスの未来 伝説の東大講義』

立花隆/著 講談社現代新書 2021年発行

はじめに より

この本で言わんとしていることを一言で要約するなら、「すべてを進化の相の下に見よ」ということである。「進化の相の下に見る」とはどういうことかについては、本文で詳しく説明しているが、最初に簡単に解説を付け加えておこう。
世界のすべては進化の過程にある。
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我々はいま確かに進化の産物としてここにいる。そして、我々の未来も進化論的に展開していくのである。
我々がどこから来てどこに行こうとしているのかは、進化論的にしか語ることができない。もちろん、それが具体的にどのようなものになろうとしているのかなどといったことは、まだ語るべくもないが、どのような語りがありうるのかといったら、進化論的に語るしかない。
そして、人類の進化論的未来を語るなら、たかだか数年で世代交代を繰り返している産業社会の企業の未来や商品の未来などとちがって、少なくとも数万年の未来を視野において語らなければならない。人類の歴史を過去にたどるとき、ホモ属という属のレベルの歴史をたどるなら、100万年以上過去にさかのばらねばならない。
    ・
本書では、ジュリアン・ハックスレーやテイヤール・ド・シャルダンといったユニークな思想家の発想を手がかりとして、そこを考えてみたいと思っている。

第1章 すべてを進化の相の下に見る より

世界をダイナミズムの相の下に見る

ぼくがジュリアン・ハックスレーにこだわっているのは、この「人間の現在」という授業でぼくがやろうとしていることが、ハックスレーがここで考えていることと、非常に近いところにあるからです。ハックスレーが何を考えていたかというと、進化という概念を中心にすえてものを見ていくと、この世界が統一的にとらえられる、ということなんです。「この宇宙全体が、単一の進化の課程にある」というのが、彼の基本的な考えなんです。
彼はこういう考えを、論文「2つの文化と教育」(C・P・スノー『2つの文化と科学革命』第3版、松井巻之助訳、みすず書房所収)の他、いろんなところで表明しています。そして、そういうものの見方をさして、「すべてを進化の相の下に見る」見方であるといっています。「進化の相の下に」ということを、ラテン語を使って、”sub specie evolutionis”と表現していますが、これは、哲学史上非常に有名なことばのもじりなんです。何のもじりだかわかりますか? (手をあげた数人の1人に答えさせて)そう、スピノザの「永遠の相の下に(sub specie aeternitatis)」のもじりなんですね。
ぼくは、かつては、スピノザの「永遠の相の下に」という言葉がたいへん好きでして、この現世の下らない皮相の現象界から離れて、もっと本質的な問題を考えたいというときに、よくこの言葉を引用して文章を書いたりしたんですが、最近どうも、この「永遠の相の下に」世界を見る見方は、基本的に誤りであると考えるようになってきたんです。
世界の正しい見方は、時間軸を抜きにして「永遠の相の下に」世界を見、世界の不変性を知ることではなくて、時間軸を入れて、世界が絶えざる変化の状態にあることを知ること、すなわち世界を「ダイナミズムの相の下に」みることではないかと思うようになってきたんです。「人間の現在」は、そういうダイナミズムの中でしかとらえられないということです。進化というのは、時々刻々のダイナミズムの変化の積分みたいなものですから、ハックスレーがいっていることとぼくのいってることの間に基本的なちがいはありません。

人間はこの惑星の未来の進化に関して、すべての責任を負っている

こうして考えてくると(ビッグ・バン理論によれば)、この世界は、創生のはじめから進化の流れの中にあり、それは、さまざまにレベルのちがう相転移の連続だったということもできるわけです。
ジュリアン・ハックスレーがいったように、まさにこの宇宙は、「1つの壮大な進化の流れ」としてあるんです。しかし、ハックスレーがそういったとき、彼がどの程度のことを考えていたかというと、ここに述べたようなところまでは考えていなかったことは明らかです。というのは、その時代、まだ銀河進化などということは知られていなかったし、ビッグ・バン理論もまだ確立されていなかったからです。ビッグ・バン理論の根拠となる背景放射が発見されたのが1964年ですから、彼が論文「2つの文化と教育」を書いた当時は、まだ専門の天文学者といえども、ビッグ・バン説をマユにツバをつけて聞いていたひとが大半で、ビッグ・バンのプロセスの詳細などは、理論的枠組みもまだできていなかったころです。ですから、宇宙全体が1つの進化の流れにあるといいながら、この論文の中で無機的な物質進化の例としてあげているのは、実は、主として地質学の知識に基づいた、地球の地層の変化の話とか、地質的学変化で生まれた鉱物資源の話程度なんですね。あとはもっぱら、生物進化の話と、人間進化の話になっています。
ところが、60年代の後半になると、ハックスレーの宇宙における無機的進化の見方は一変します。宇宙背景放射の発見以後、宇宙そのものがとんでもなく巨大なスケールの進化をとげてきたのだということをみんな認めざるをえなくなり、宇宙進化を語ることが当たり前(とはいっても甲論乙駁の連続)になっていたからです。
「すべてを進化の相の下に見る」というのは、ハックスレーの持論でして、彼は何度か、この論文と似たようなことを別の機会にも述べているのですが、1965年にユネスコ主催で開かれたシンポジウムで語った「科学と綜合」と題するスピーチの内容とくらべてみると、そのちがいに驚かされます。
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この(宇宙進化のなかで)人間進化の側面に関して、先に引用した論文の中で、ハックスレーは次のように述べています。
「我々人間は、宇宙の残りの部分と同じ物質で作られ、同じエネルギーで動かされています。他の生物と同じような遺伝子と酵素のシステムを用いて、自己再生産とメタボリズム(新陳代謝、物質交代)を実現しています。また高次の動物たちは同じような情動、欲求、記憶のメカニズムを持っています。
しかし、それにもかかわらず、人間はやはり特別な動物です。それは特別に発達した脳によって、新しい能力を獲得したからです。――理性的な推進能力、クリエイティブな想像力、概念を駆使する思考能力、言語を使用した高次のコミュニケーション能力、こうしたものによって、人間は新しい進化の方法を獲得しました。それは、お互いの体験の中から有意味で関連性のある部分を抽出し、それを伝えあい、蓄積していくという方法です。それによって人間はこの地球における優先種となりました。人間がいるかぎり、他のいかなる動物も、この地球上で人間をしのぐ優先種となるような進化をとげることはできません。ということは、人間はこの惑星の未来の進化に関して、すべての責任を持っているということでもあるのです」
このことを、我々はいつも頭に置いておかなければならないということです。

じじぃの「日本発の抗寄生虫薬が新型コロナ治療に・イベルメクチンなぜ注目!報道1930」

【ワクチンだけで命は救えるのか?今、世界が注目 日本発のコロナ治療薬】報道1930 まとめ21/2/25放送

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=6Qhib1pbV3o&feature=emb_title

Updated: Ivermectin Mechanism of Action (MOA)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=GZoBAuR4ajs

ノーベル賞の日本薬「イベルメクチン」、新型コロナ致死率80%減少効果=英国・韓国報道

2021/01/05 wowkorea
1月4日、英国「デイリーメール」によると英国リバプール大学のウイルス専門学者アンドリュー・ヒル博士が全体臨床試験資料を総合分析した結果、イベルメクチンが投与された患者573人の中では8人、プラセボ(偽薬)が投与された患者510人の中では44人が死亡したことがわかった。
イベルメクチンは1970年代に開発された駆虫剤として、頭ジラミなどの寄生虫感染治療に広く使用されている。
https://www.wowkorea.jp/news/korea/2021/0105/10283090.html

報道1930

2021年2月25日 BS-TBS
【キャスター】高畑百合子、松原耕二 【コメンテーター】堤伸輔 【ゲスト】武見敬三参院議員、自民党新型コロナ対策本部長代理)、本庶佑京都大学特別教授、ノーベル生理学・医学賞受賞者)、花木秀明(北里大学教授、大村智記念研究所感染制御研究センター長)
日本発の抗寄生虫薬が南アでコロナ治療に。イベルメクチンはなぜ注目。世界で高評価も国内承認が遅れるワケ。

日本発の抗寄生虫薬が南アでコロナ治療に イベルメクチンはなぜ注目

日本医師会 前倒し解除に慎重姿勢
日本医師会中川俊男会長は緊急事態宣言の解除について、慎重に判断すべきとの姿勢を見せた。
2月26日にも先行解除を決定した大阪、兵庫、京都、愛知、岐阜、福岡について「日本医師会の方針は6つの指標でステージ2あるいはステージ3でも2に間違いなくなることが解除の条件と言ってきた。両手を挙げて賛成とは言えない」と発言。
首都圏で感染現象が鈍化している理由について「前倒し解除との報道もされ『そろそろ落ち着いてくる』というメッセージが発信されている。『解除』という言葉は国民には重い言葉。一度緩んだ意識、気持ちは戻らないと実感している」と発言。
●「イベルメクチンは奇跡の薬」
本庶佑、「医学の柱とは予防、診断、治療で、当初は予防と治療がなかった為、PCR検査がいかに重要か」
現在、新型コロナウイルスに対して、予防は「ワクチン」、診断は「PCR検査」、治療は「治療薬」となっている。
新型コロナ救命治療最前線同盟(FLCCC) 会長・ピエール・コリー博士は「イベルメクチンは新型コロナウイルスに対する『奇跡の薬』」と発言。
現在、イベルメクチンは27ヵ国で臨床試験が行われ、南アフリカスロバキア、ペルー、メキシコなど16ヵ国の国と地域で公式に治療に使用されている。
イベルメクチンの生みの親は北里大学特別栄誉教授・大村智博士。
イベルメクチンとは、1975年原料となる菌を発見、1981年動物用として米国・MSD社(米国・メルク社)と共同開発、1987年ヒト用としてアフリカで無償提供が開始され寄生虫感染症に効果があるとされる(年間3億人が使用)。2015年、大村智博士はノーベル医学生理学賞を受賞。

イベルメクチン、世界的な評価。

武見敬三、「医師の裁量権で適応外処方、これであれば施設療養の対象者に対しても実際に処方をしても良いということにした。ただ適応外処方というのは、結果といして医師の責任で行われるものですから、その点やはり医師の責任は重くなるということが1つの大きな壁になっているように思う」
●イベルメクチンとコロナ治療
新型コロナウイルスが人に感染して、増えていくメカニズムを解説。
新型コロナウイルスが人の細胞にくっつくと、細胞内に自分が持っているRNAをいう遺伝子を放出。
放出されたRNAをいう遺伝子を設計図として、あらたな たんぱく質が作られる。
このたんぱく質が細かく刻まれることによって、コロナウイルスが複製されて増殖。
イベルメクチンは、たんぱく質が細かく刻まれることを阻止するために、ウイルスが複製させない。
愛知医科大学病院感染症科・三鴨廣繁医師は「この薬に注目しているわけは、やっぱり副作用が少ないんです。全世界で何億人という使用実績があるわけです。イベルメクチンというのは単回投与製剤です。1回だけ投与すればいい薬なんです。軽症例に対してなかなかウイルスが陰性化しない方に使わせていただきました(イベルメクチンを)。使った後にウイルスの陰性化がすぐに認められています。その時にウイルスの増殖の抑制がよく効いているんだなと、患者自身も“この薬を飲んで良かった”“1回だけだし”ということを言っていた」と発言。
●「自己判断の服用は危険」
イベルメクチンの注意点。
医師の処方ない場合、購入不可。
動物用は人に使用不可。
未承認薬の使用は、被害救済制度対象外。
厚生労働省は「自己判断による服用は危険」。
菅義偉首相は「新型コロナウイルスに対する治療薬の研究開発については、1日も早く国民の皆さんの不安を解消するために必要だというふうに思っています、(イベルメクチンは)日本にとって極めて重要な治療薬だと思っていますので、最大限努力はさせていただきます」と発言。
イベルメクチンの日本での製造販売権を持つのは、米国・MSD社。
MSD社の見解として、「新型コロナの治療効果の科学的根拠はない」と、コロナ治療薬としての承認申請に消極的。
(1)開発0円→(2)治験に数十億~数百億円→(3)供給すると売れ残りリスク。
●新型コロナ治療薬の現状は
米国・レムデシビル、米国・デキサメタゾンは承認済み。
日本・アビガン、日本・アクテムラ、日本+米国のイベルメクチンは未承認。
武見敬三、「日本の承認手続きは、平時の承認手続きと有事のときの承認手続きと、全部基準が同じで当てはめようと考えるところに何か問題があるんじゃないか。科学的根拠について、政治家は確信が持てない。科学的根拠については専門的な知見を持った人が判断することによって初めて科学的根拠としての信頼性が生まれる」
●皆さまからのご意見・ご質問
質問者、「イベルメクチンはいくらなのか」
花木秀明、「日本では600円か700円、海外では20円~30円で手に入る。日本は疥癬(かいせん)とか糞線虫(ふんせんちゅう)症という特殊なものに使われるので、ある程度薬価を付けてあげないとメーカーが逆に赤字になってしまう」
質問者、「イベルメクチンの特許が消えているなら、インドの製薬会社にジェネリックと作ってもらうのはどうか」
本庶佑、「僕の知るかぎりでは、そういうことが実際に行われている」
https://www.bs-tbs.co.jp/houdou1930/

じじぃの「歴史・思想_457_韓国社会の現在・男尊女卑・キム・ジョンとは誰か」

『82年生まれ、キム・ジヨン』予告 10月9日(金)より 新宿ピカデリー他 全国ロードショー

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=flH54kr7r8I

82年生まれ、キム・ジヨン

2018年12月15日 愚銀のブログ
『82年生まれ、キム・ジヨン』は問題作だ。韓国における女性差別の実態を告発したフェミニズム小説である。
この小説に描かれたのはごく普通の女性の日常なのに、なぜこんなにも過酷なのか。女性差別と、女性差別に対して寛容な社会、セクハラ犯罪とセクハラに寛容な社会構造を、言葉にできない読者に代わって訴えた小説だ。日本の読者は、これ韓国だけに限った話じゃないと思うだろう。
それに昨今の日本、性差別事件が目立つ。セクシャルハラスメントや性的暴行は止まることがない。未だに戦時性犯罪に対する理解も度し難い。政治家やマスコミによる被害女性に対する誹謗が続いている。
http://kghayashi.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/82-6338.html

『韓国社会の現在―超少子化、貧困・孤立化、デジタル化』

春木育美/著 中公新書 2020年発行

第5章 韓国女性のいま―男尊女卑は変わるか より

キム・ジヨンとは誰か

2016年、『82年生まれ、キム・ジヨン』という小説が韓国で100万部を超える大ベストセラーとなった。著者は1978年生まれの趙南柱(チョ・ナムジュ)。放送作家を経て、2011年に長編小説『耳をすませば』でデビューした。
本作は、1982年生まれのひとりの韓国人女性の半生をフィクションで描いた作品だが、そのリアリティから多くの読者を得た。18ヵ国・地域で翻訳出版が進んでおり、2018年末に刊行された日本でも15万部を超えるベストセラーになった。
ジヨンという名前は、1982年生まれの女の子の名前でもっとも多かったことから付けられた。つまり、この小説の主人公は、特別でない平凡な、どこにでもいる女性という設定になっている。
ジヨンが生まれた1980年代は、男の子が生まれた病室は歓声と誕生を祝う親族であふれる一方、女の子が生まれた病室はひと気もなく静まりかえっていた。女の子を産んだ母親が、姑や舅の前で罪人のようにうなだれる時代だった。これは第1章で触れたように、のちに男女の著しい人口差となって社会問題化する。
あらすじを簡単に紹介しよう。1982年にジヨンは次女として生まれた瞬間、家族からがぅかりされた。娘より息子が大事にされ優先されることを不満に思いながら成長し、大学卒業後は、女性は抑圧する男性優位の社会でさまざまな不平等に直面する。
結婚して妊娠したが、出産退職を余儀なくされる。
    ・
小説の最後はこう終わる。ある日、精神か病院の女性スタッフがトラブル続きの妊娠で辞職することになった。やれやれと思いながら、担当医は心のなかでこうつぶやく。
「育児の問題を抱えたスタッフはいろいろと難しい。後任は未婚の女性を探さなければ」
結局、女性差別は変わらないのだ、という悲壮感が漂う結末は救いがない。

「やっぱり子どもは産みたくない」

その後、韓国では小説を原作とした同名の映画が製作され、2019年10月下旬に公開された。小説と映画版の最大の違いは、話の結末である。映画版はハッピーエンドとまではいかないまでも、社会とのつながりを取り戻したジヨンの嬉しそうな笑顔で終わる。
ジヨンの成長過程では、男子が優遇され、女の子というだけで差別され傷つけられる場面が幾度となく登場する。

文在寅への疑問符

朴槿恵から大統領選を奪取した文在寅は、現在のところ女性の味方を自称する、もっとも強い力を持つ男性である。フェミニストは、ことあるごとに「性の平等が、民主主義の完成である」とスローガンを掲げ、性差別の是正を政府に要求し続けてきた。人権派弁護士出身で民主化運動の闘士だった文大統領が、こうしたスローガンを意識しないわけがない。ことあるごとに、文在寅大統領は女性の味方であると公言してきた。
スタジオにいる市民からの問いかけに大統領がその場で答える「国民との対話」が、2019年11月19日に生放送で放映された。その際、質問に立った若い女性と大統領の間で次のようなやりとりがみられた。
女性「大統領が『自分はフェミニスト大統領である』と宣言されたことに、とても感銘を受けた。わが国では男女の賃金格差の開きはこの15年間、OECD加盟国のなかで不動の1位だが、この問題をどう解決していくのか」
大統領「現政権は女性差別の解消にばかり格別の関心をみせ、男性が受けている差別には無関心だと反発する人もいるだろう。私が大統領になってから、女性の社会的地位や社会進出は目覚ましく改善された。ただ、経済活動参加率や雇用率、賃金格差、ガラスの天井といった差別が残存しているのは事実だ。さらに関心をもって取り組んでいく」
ここまでは模範解答だとして、文大統領の次の一言で、質問者の顔が一瞬曇った。大統領がこう付け加えたからだ。
「こうした(女性)政策は、少子化問題とも深く関連する。ヨーロッパで出生率の低下が反転した国をみると、女性の雇用率が上がると、出生率が上向くということがわかっているからだ」
文政権がジェンダー問題に熱心に取り込んでいるのは、少子化対策のためだったのか、という疑念を抱かせる場面であった。

じじぃの「エーザイが脚光を浴びる・アルツハイマー病治療薬・アデュカヌマブ!おはよう日本」

アルツハイマー病新薬 承認申請へ 2021年2月24日

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=2u9qYyjiOXI

アルツハイマー病 治療薬 承認申請へ 新薬登場でエーザイ脚光を浴びる

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=KrO6KPfdEf8

おはよう日本

2021年2月24日 NHK
【司会】高瀬耕造桑子真帆
●日米で承認申請 アルツハイマー病治療薬
2020年、米国や日本でアルツハイマー病の新薬「アデュカヌマブ」の承認が申請された。
米国のバイオジェンと日本のエーザイが共同開発した。
米国では6月までに審査結果が出る予定。
アルツハイマー病、新薬、たんぱく質、アデュカヌマブ、新薬開発についての解説。
認知症専門医・新井平伊医師、ノンフィクション作家・下山進のコメント。
https://www.nhk.jp/p/ohayou/ts/QLP4RZ8ZY3/

アルツハイマー治療薬「アデュカヌマブ」承認されるか

【執筆者】ノンフィクション作家・下山進
2021年2月15日 朝日新聞デジタル
「アデュカヌマブ」というアルツハイマー病の薬が、日米欧で昨年12月までに承認申請されました。承認されれば、アルツハイマー病の病気の進行そのものに介入する初の薬となります。人類のこの病気に対する戦いの歴史をグローバルに描いた「アルツハイマー征服」の著者であるノンフィクション作家の下山進さんが、解説します。
認知症の6割から7割をしめるアルツハイマー病。そのアルツハイマー病にはこれまで対症療法薬しかありませんでした。日本でも1999年に認可された「アリセプト」がその右代表です。エーザイが販売しているこの薬は、病気の進行そのものをとめるものではありません。その症状を緩和する働きのもので、それも8ヵ月から2年の間しか効きません。
しかし、今回承認申請がなされた「アデュカヌマブ」は病気の進行そのものに直接介入する働きをねらってつくられた根本治療薬(疾患修飾薬)です。そのことを理解するために、現在までにわかっているアルツハイマー病の進行について説明しましょう。
https://www.asahi.com/articles/ASP2D654ZP2DULBJ01S.html

アルツハイマー病治療薬候補のアデュカヌマブ 米FDA が審査期間を3ヵ月間延長 バイオジェンとエーザイ

2021/02/01 ミクスOnline
バイオジェンとエーザイは1月29日、米食品医薬品局(FDA)がアルツハイマー病治療薬候補のアデュカヌマブについて、Biologics License Application(BLA:生物製剤ライセンス申請)の審査期間を3ヵ月間延長したと発表した。新たな審査終了目標日(PDUFA)は21年6月7日。
バイオジェンは現在進行中の審査プロセスの一環として、FDAからの追加情報の要請に応え、追加の解析および臨床データを提出した。FDAは、この追加資料をレビューするために、期間を延長することとしたとしている。
バイオジェンは2020年7月にアデュカヌマブのBLA 申請をFDAに提出し、同年8月にFDAから受理されている。同時に、優先審査に指定されている。
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=70577

夕刊フジ』 2020年8月20日発行

【専門医に聞く 認知症医療の最新現場】早期発見へ承認待たれる新薬&新検査法 「アデュカヌマブ」と「アミロイドPET」

アルツハイマー認知症の検査法はいくつかあり、一つの検査だけで確定診断を下すことはできない。複数の検査結果を検証し、総合的に診断につなげていく必要があるのだ。
そんな中、近く承認される可能性のある治療薬が注目されている。この薬は、新たな検査法との組み合わせで威力を発揮するという。
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これらの結果を総合して認知症か否かを診断していくのだが、これで見つかるのは、すでに認知症を発症しているか、その前段階のMCI(軽度認知障害)の後期だ。
「この段階で診断が下ったとしても、治療によって劇的に改善することは困難。もっと早期で見つけ出し、効果的な治療につなげるべき」と語るのは、アルツクリニック東京(東京都千代田区)院長で精神科医の新井平伊医師。詳しく解説してもらおう。
しかし、新井医師はある新薬に期待する。
「『アデュカヌマブ』という薬が、早ければ年内にもアメリカで承認される見通し。これはアルツハイマー認知症の原因であるアミロイドβというタンパクが脳に沈着するのを防ぐ働きがあるとされている薬です。MCIや、その前段階のSCD(主観的認知機能の低下)の段階で使用することで、認知症の発症を遅らせたり、うまくいけば認知症にならないようにコントロールできる可能性が出てきたのです」
アメリカで承認されれば、遠くない時期に日本でも承認されるだろう。大いに期待したいところだが、問題点もある。
「この新薬を効果的に導入するには、きわめて早期での診断が求められる。従来型の検査で洗い出すのは難しい」
そこで注目されるのが、「アミロイドPET」と呼ばれる新しい検査法だ。

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どうでもいい、じじぃの日記。
私も70歳を超えた。
もうとっくに、認知症になっているのかもしれない。
リモコンって何だ? (^^;;
認知症のうち約60%はアルツハイマー型の認知症が占めるらしい。
アルツハイマー認知症の主な原因としてアミロイドβというタンパクが脳に沈着することらしい。
「アデュカヌマブというアルツハイマー病の薬が、日米欧で昨年12月までに承認申請されました。承認されれば、アルツハイマー病の病気の進行そのものに介入する初の薬となります」
「アデュカヌマブ」は米国のバイオジェンと日本のエーザイが共同開発した。
こんな記事が書けるうちは、まだ大丈夫なのかなあ。
薬も検査費用もかなり高額になるらしい。

じじぃの「歴史・思想_456_韓国社会の現在・国民総高学歴社会・ヘル朝鮮」

『韓国社会の現在―超少子化、貧困・孤立化、デジタル化』

春木育美/著 中公新書 2020年発行

第4章 国民総高学歴社会の憂鬱―「ヘル朝鮮」の実情 より

日本と韓国の学歴観

近似性が高い韓国と日本だが社会の構成員の属性を、学歴という観点から比較すると何がみえるのか。
国際比較でみると、韓国社会は大卒の高学歴者の多さで際立つ。2018年度版『図表で見る教育OECDインディケータ』によれば、若年層(25~34歳)で大卒以上の高学歴者の割合がもっとも多い国は韓国がトップ(70%)で、日本(60%)を上回った。両国はOECD平均(44.3%)と比べてもはるかに高い。
一方で、2009年に韓国の大学進学率(大学登録者基準)は77.8%とピークに達した後、高学歴者の就職難が深刻化するや18年には69.8%に低下した。それでも同年に57.9%だった日本の大学進学率よりは約12ポイント高い。
韓国の高騰教育課程は、大別して4年制の大学課程と、実践的な職業技術教育を行う2~3年制の専門大学過程に分かれている。4年制以上の学科の大学を韓国語では「大学校」と呼び、学校名に「大学」とだけついているのは専門大学である。
在学率でみると、約3割は専門大生である。専門大学を除くと4年制大学の進学率は50%前後となり、日本の短大を除く4年制大学の進学率(53.7%)と、実はほとんど変わらない。つまり、韓国では専門大学の存在が進学率を押し上げているといえる。
    ・
近年、日本では優秀な人材が研究職を目指さなくなっている。博士号の取得者は、韓国や欧米諸億では増加傾向にある。一方、主要国では日本だけが減少している。
文部科学省科学技術・学術政策研究所による2019年の調査によれば、日米英独仏中韓の7ヵ国のうち、人口100万人当たりの博士号取得者数で日本は118人と6位だった。1位は英国の360人、韓国は271人で3位に位置している。韓国の産業界は理系の博士号取得者の増大を求めている。
日本では博士課程に進学しても就職できず、企業からも敬遠されるため「高学歴プア」になる現実が、近年の博士課程離れを深刻化させている。これが日本が先進国のなかで低学歴国に位置づけられる一因となっている。
韓国でも文系の博士号取得者の就職難は日本と変わらないが、高度な知識や学位の獲得に価値を見出す儒教的価値観が強く残ること、大学院進学は兵役延期や就職の準備をする猶予期間として有用なこともあり、進学者は多いままだ。

成均館大学校サムスン財団

「THE世界大学ランキング」の2017版の111位から順位を上げ、18年版で82位とトップ100入りした成均館大学校は、THEの「アジア大学ランキング」で10位に選ばれた。しかも、成均館大学校は国際性、産業界からの収入、論文引用数など研究の影響力の3項目で、韓国のトップ校でアジアでは9位のソウル大学校を上回った。(日本は世界大学ランキングで、東京大学が36位、京都大学が65位)
成均館大学校が躍進した要因は、国際評価機関が重視する項目を意識した改革を次々に進めてきたことにある。留学生に対し「バティ」となる韓国人学生を1対1でつけるなど、成均館大学校は留学生のケアに手厚いことで知られる。留学生数は国内トップ級で、国際性の評価は高い。
産業界からの収入の項目に関しては、1996年からサムスン財団が成均館大学校の運営に参加していることもあり、資金投入が継続的になされているのが強みだ。
韓国では起業との提携により、産学密着型で即戦力となる人材養成を行う学科の設置や運営が盛んである。成均館大学校半導体システム工学科は、こうした企業との提携で設置した学科のモデルケースとして知られている。学生の授業料はサムスンが負担し、卒業後に希望者はほぼ全員、サムスン電子に就職することができる。
成均館大学校は、産業界のニーズの高い学科の設置にも余念がない。新しい産業として有望視されているバイオ医療の分野で、2015年にグローバルバイオ医療工学学科を新設した。産学・官学協力分野での相互協力にも積極的で、国内外のスタートアップ企業の誘致にも熱心である。こうした取り組みが、産業界からの収入の項目で高い評価につながっている。

移民の奨励、「ヘル朝鮮」批判

大韓民国の若者がごっそりいなくなるほど、中東に進出してみたらどうか。あれ、韓国若者はどこに消えてしまったのか。みんな中東に行きましたよ、と言えるくらいに」
2015年3月の貿易投資振興会での朴槿恵大統領の発言である。韓国政府は、かつて炭鉱夫や看護婦が不足した旧西ドイツや建設ブームに沸く中東へ、自国の労働者を積極的に送り出していた。外貨獲得と失業対策のためだった。朴正煕大統領の頃の話だ。
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韓国の20代は、いま自分たちが起これている境遇を「ヘル朝鮮」と自嘲する。ヘル朝鮮とは、韓国社会の不条理なさまを地獄のようだと喩(たと)えた造語である。大韓民国ではなく、なぜ朝鮮なのか。身分が固定した朝鮮時代のように、現代韓国は階層上昇機会が閉ざされた不条理な階級社会であると強調するためである。本人が選ぶことができない出身家庭や出身地域といった、生まれによって人生が決まることへの怨嗟(えんさ)が投影されている。
この造語がよく使われるようになったのは2015年以降で、ネット上に「ヘル朝鮮」というコミュニティサイトが解説されるや、就職難、失業、差別、貧困、政府の政策に対する批判などが次々と書き込まれた。進学から就職問題まで、日々直面している韓国社会の現実がつらくて地獄のようだと訴える書き込みが相次いだ。